マーラー 交響曲第1番「巨人」:クラシックの本質へ

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マーラー:交響曲第1番

マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人」


さて、マーラーについて書くのは、いささか面倒なことである。
というのは、このブログは、高度に専門的な、あるいは理論的な切り口で音楽を紹介するのを目指してはいないからだ。
それに僕は別に専門的に音楽を学んではいないので、そんなことを書いてもしょうがない訳だ。
ということで、マーラーやブルックナーは今まで避けてきたのだが、まあそろそろ解禁しても良いかな、と思い、「巨人」を取り上げることにする。
僕は個人的には「悲劇的」が好きだが、ひとまずこのブログでは1番から当たってみよう。


マーラーの交響曲の中で、最も演奏される機会が多いのがこの1番「巨人」である。
演奏時間は約50分と、マーラーにしては短い方だし、特に3楽章は有名な童謡の旋律がモチーフであり、全体的に「聴きやすい」。
ジャン・パウルの「巨人」という小説から標題を付けているが、マーラーは後にこれを破棄している。
あまり考えず、単純に絶対音楽として聴いても良いのではないかと思う。


1楽章の冒頭、フラジオに乗っかり徐々に展開する動機を聴いてしびれたなら、或いはふいに現れるピッツィカートに体が震えたら、もうそこはマーラーが提案する、クラシックの世界、交響曲の世界だ。スケルツォと童謡を味わった後、予定調和のソナタを、大迫力のオーケストラで楽しめば、一通り満足はいく。
マーラーの交響曲へのこだわりは、殊にオーケストレーションであると思われる。
改訂を繰り返したマーラーの作品へのこだわりを感じるには、最も良い音の「重なり」を感じることかもしれない。
さらに言えば、この曲からマーラーの持つ「若さ」や「悩み」、あるいは彼の音楽的なそれらの解放を見ることも楽しみの1つだ。


マーラーの作品、特に交響曲は、長大なものが多く、一般的に「口当たりの良い」クラシックではない。
しかし、クラシック音楽の世界に一旦浸かった者から見れば、彼の交響曲はあまりにも完成度が高く、実に名曲であることがわかる。
クラシックの世界の外から眺めたときの名曲は、交響曲においてはやはり「運命」であり、「第九」である。
しかし、こういった「ファン達の世界」に支えられて、クラシック音楽は受け継がれてきたのであり、その中でマーラーは非常に多くの名曲を残している。
一時の「マーラー・ブーム」が終わっても、「クラシック音楽」という一般世界とは異なるところで、マーラーは永遠に讃えられるし、この音楽飽和の時代、クラシックとはそういうものだ。

マーラー:交響曲第1番 マーラー:交響曲第1番
バーンスタイン(レナード),マーラー,ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

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