ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18


最も人気のあるピアノ協奏曲といったら、やはりラフマニノフの2番なのではないだろうか。
有名なエピソードがある。1897年、交響曲第1番がグラズノフ(ほろ酔い)指揮による駄演で大失敗に終わり、ショックで後3年間想像力が全く湧かない程にうつ状態に陥ったラフマニノフが、すぐれた催眠療法の医師であるダール氏の治療を受け、彼から繰り返しこの言葉を受ける
「あなたは協奏曲を作り始めるだろう……あなたは素晴らしい才能を発揮する……その協奏曲は最高のものになる」
そうして1901年に完成させたのが、この傑作ピアノ協奏曲第2番である。


ロシア正教の鐘を思わす冒頭の和音は魂をわしづかみにする。
開始数秒で全身がもだえるようなピアノ協奏曲が他にあるだろうか!
古代ロシア聖歌のような第1主題でもう鳥肌である。名演ならここですでに涙が落ちる。
第1楽章ではあまり全面的にピアノが出ないのだが、後半、第1主題の再現と情熱的なピアノのパッセージが重なる部分は、この作品屈指の聴きどころだろう。
弦楽がほぼ全体を統一させているが、ピアノは時に陰で支えてていたり、時に眩く君臨したりと、オーケストラをさりげなく支配している。
この曲は難易度の高さでも知られるが、求められる超絶技巧は、聴衆に披露するものだけでなく、音楽全体を支配し統一する面もあるのだ。


コープランドがラフマニノフを「彼の大掛かりな交響曲や協奏曲を1曲でも座って聴き通さなければならないと考えると、率直に言って気がめいりがちになります。ああした全ての音符は何のために並んでいるのでしょうか?」と批判した。
確かにコープランドの協奏曲もなかなか良い曲だから、まあ批判するのもわからなくはないが、僕はどうも納得いかない。
この圧倒的に美しく、情感たっぷりに歌われる歌は、いつまでも終わらなくていい程に心を捉える。
全ての音符が輝き、それらは聴衆の感情に訴える。
だからこそピアノ協奏曲の代表格となったのだ。

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