シベリウス:交響曲第3番/第5番

シベリウス 交響曲第3番 ハ長調 作品52


フィンランディア、交響曲第1番、第2番で成功を収めたシベリウスは、ヘルシンキで豪奢な生活を送っていた。
彼は酒とタバコに浸り、その生活は享楽を極め、徐々に健康を害し、家計も圧迫し、ついには彼の創作活動にまで影響を及ぼしだした。
そこで彼は一念発起し、ヘルシンキ郊外の自然に囲まれたヤルヴェンパーという地に家を建て、そこで暮らすようになる。
創作意欲を取り戻したシベリウスは、この交響曲の作曲に取りかかった。
この第3交響曲から、彼の作風は大きく変化することとなる。
北欧の美しい自然に囲まれた生活が、その作風に大いに影響を与えていることは言うまでもない。
また、形式の面でも、彼の他の交響曲との比較することで、シベリウスの音楽的な深まりを見ることが出来る。
3楽章構成の作品だが、それは第2交響曲での3楽章と4楽章が切れ目無く繋がることの発展型である。
第5交響曲でも同様の手法が取られ、第7交響曲では遂に単一楽章となる。


以前は、僕にはもうシベリウスと言ったらフィンランディアしか頭になかったのだけど、後期作品の魅力に触れてから、かなり見方が変わった。
大地を震撼させるような魅力が、第2交響曲やフィンランディアにはあって、それがシベリウスを聴くときの醍醐味だった。
だから高校生の頃とかは、他の交響曲はちょっと退屈だった。
しかし、シベリウスの晩年のピアノ作品を聴いて、「あれ、シベリウスってこんな感じだっけ?」と不思議な感覚を持って以来、少し考えるようになった。
それらについてもまた語りたいとは思うが、この第3交響曲は、シベリウスが音楽を外部へではなく、自己の内へと向ける転換期の作品である。
煌びやかな音楽は姿を消し、澄んだ空気の中に静かにそびえる木々のような、或いは朝霧の漂う湖畔のような、素朴な旋律が現れる。
第2交響曲とのギャップに驚くほどの慎ましい佇まいを見せるが、第4番ほど渋くもない。
彼の境遇と才能が生んだ、実にいいシンフォニーだと思う。

シベリウス:交響曲第3番/第5番 シベリウス:交響曲第3番/第5番
セーゲルスタム,ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団,シベリウス

Ondine
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