テレマン&クレプス:協奏曲集

テレマン オーボエ・ダモーレと弦楽のための協奏曲 イ長調 TWV51:A2


僕はバロックの協奏曲が大好きである。
バロックの室内楽や協奏曲というのは、同時代の宗教曲やバロック以降の協奏曲と比べて、非常に聴きやすい。
以前コープランドのところで「何もない」などと書いたが、まあそれに近いようなもので、バロックの協奏曲は大体その性質上、聴く者に特に深い知識や気合い十分な心構えを必要としない。
僕みたいに何も考えないでぼーっと聴くのが好きな人には本当にうってつけである。
ただし、逆に演奏するのは非常に深いという特徴も併せ持つ。
特にテレマンやアルビノーニの曲は、バッハやヘンデルの持つ精神的な深みとはまた別の、旋律美を追究する深さがある。
演奏家にはそういう難題があり、やはり名演駄演とある訳だが、まあ聴く方は名演を選んで聴くだけなので、楽なものだ。


テレマンの作品数は半端じゃなく多いので、生きてる内に全部聴く人はそうそういないだろうが、数多く聴けば聴くほど、自分の趣味や感性にマッチした曲と出会える確率は大きくなる。
バッハにしてもそうだが、全部が全部自分の肌に合うかというと、ちょっと疑問である。
そこでテレマンの「オーボエ・ダモーレと弦楽のための協奏曲イ長調」だが、これが僕の好みにぴったり合ったのだ。
オーボエ・ダモーレの曲というのがそもそも数多くはないのだが、バッハのオーボエ・ダモーレ協奏曲と比べると、なんとまあ晴れやかなことか。
オーボエ・ダモーレというのは、オーボエとイングリッシュ・ホルンの中間のような楽器なのだが、テレマンの協奏曲ではどちらかというとオーボエ寄りと言えばよいのだろうか。
オーボエの煌びやかさはないが、包容力がある高音が体を包み込んでくれるような1楽章。
2楽章では活き活きと、3楽章では短調で静かに、だがどちらも決して精神的な「暗さ」は一欠片も見えないほどの純粋な旋律美。
4楽章、とめどなく流れるオーボエ・ダモーレに絶妙な弦楽との掛け合い、無限に美を紡ぎ出すことが真のヴィルトゥオーソなのかと思いさえする。
本当に何の構えも無しで聴ける、こういう音楽はバロックならではの魅力なのだろう。
オーボエ・ダモーレの音色とテレマンの甘美な旋律、体が疲れているときなんかには特にいい協奏曲だ。

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カメラータ・ベルン,テレマン,クレプス,フューリ(トーマス),ホリガー(ハインツ),コプレイ(マイケル),デーラー(イェルク・エーヴァルト),ニコレ(クリスティアーヌ),ジャコテ(クリスティアーヌ),ニコレ(オーレル),ペレリン(ルイーズ)

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