ディーリアス管弦楽曲集

ディーリアス 「フロリダ」組曲


ディーリアスはイギリス生まれの作曲家だが、両親はドイツ人で、フロリダ、ライプツィヒ、パリと放浪の青春時代を過ごし、北欧の作曲家グリーグとも親交があった、というなんだかすごい人である。
彼の作品が世界的に広まったのは、指揮者のサー・トーマス・ビーチャムの功績が大きい。
ディーリアスもビーチャムに絶大な信頼を置いており、ビーチャムが彼の作品のオーケストレーションに手を加えることもしばしばあった。
この「フロリダ」組曲は、ディーリアス初期の管弦楽組曲である。
故郷ヨークシャーのブラッドフォードからフロリダに渡ったのが22歳の頃、音楽の勉強をしにライプツィヒへ渡ったのがその2年後である。
2年間を過ごしたフロリダの地を思い起こし、その1日を描いた作品である。
1.夜明け 2.河畔にて 3.夕暮 4.夜に
という表題があり、「夜明け」の中の舞曲は歌劇「コアンガ」のラ・カリンダに転用されている。


とにかく、美しすぎる。
ディーリアスの作品の中でも、特に美しさにかけては群を抜いているように思う。
オーボエのソロが「夜明け」を告げ、日が昇るにつれ、踊りが起こる。活き活きとした人々の生活が始まる。
ディーリアスは「河畔にて」、ゆるやかな河の流れに思いをはせていたのだろうか。中間部の美しいヴィオラの調べは、ゆるやかに流れながら、弦楽のユニゾンへと広がっていく。
チェロの旋律で夕暮れを迎えると、黒人の踊りが始まる。徐々に激しさを増し、クライマックスを迎えて、闇の中へと消えてゆく。
「夜に」再びオーボエの主題が現れ、ホルンの主題に入れば、もうすっかり暗闇である。弦楽が幸せなフロリダの1日を締めくくるように流れ、美しい1日は終わる。
エルガーやヴォーン・ウィリアムズとは一線を画する、イギリス作曲家の異端児ディーリアスらしさは、ふと顔を出すこの曲のアメリカ音楽らしさにあると思う。
だがそのこと以上に、この曲の美しさには言葉もない。
全楽章が素晴らしいのだが、僕は、悠々と流れる河を思い描きながら2楽章を聴くと、もう胸がいっぱいになり、本当涙があふれてくる。
ディーリアスの作品の魅力はまだまだあるが、その紹介は別の曲のときにさせてもらおう。
彼の幸福な青春時代の思い出をおすそ分けしてもらって、ただただ美しい音楽に浸れる、なんて幸福な時間!

ディーリアス管弦楽曲集 ディーリアス管弦楽曲集
ビーチャム(トーマス),フォレスター(モーリン),キャメロン(ジョン),ディーリアス,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

EMIミュージック・ジャパン
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