Holst Vaughan Williams British Wind Band Classics

ホルスト 吹奏楽のための第1組曲 op.28-1


最も有名な吹奏楽曲と言っても過言ではない、ホルストの吹奏楽のための組曲。
1909年に作曲されたいわゆる吹奏楽の「古典」であり、今なお多くのファンから愛されている作品だ。
ホルストやヴォーン=ウィリアムズは、当時の吹奏楽、つまり英国の軍楽隊にとって、安直なクラシックの編曲くらいしか演奏する曲がないという状況を憂いていた。
「吹奏楽にも本当の音楽を」という意図で、芸術として良い音楽を目指して作られたのである。
シャコンヌ、間奏曲、行進曲の3曲で構成される10分程の曲で、吹奏楽のコンサートでもよく取り上げられる。


この曲の魅力とは?
吹奏楽に尽力したフレデリック・フェネルはこの曲を吹奏楽のバイブルのように思っていた。
構造美と旋律美、理論に基づいた芸術性と感性から生みだされた芸術性を併せ持つ、芸術音楽としての吹奏楽のある種の極地であること――そのことを、フェネルは自身の努力と演奏で我々を説得させてきたのだ。
そしてこの曲の持つ古き良きイギリスの香りもまた魅力と言える。ときに洗練され、ときに荒さを見せるような管楽器と打楽器の音、吹奏楽の持つ素朴な美しさを堪能するのには持ってこいだろう。
こういった芸術的魅力はもちろん素晴らしい。だが僕はこの曲について、芸術的魅力よりも、もっと違った面の魅力を語りたくてしかたないのだ。
はっきり言うと、僕はこの曲以上に、日本人の心の中にある、在りし日の「青春の甘酸っぱさ」を駆り立ててくれる曲を知らない。
そう、これは思い出の曲、この曲を演奏したことのある人、吹奏楽を経験したことのある人はもちろん、吹奏楽の音をバックにグラウンドで練習していた運動部の人にとっても、学生時代の甘酸っぱい青春の思い出を蘇らせてくれる曲なのだ。
そりゃあ言わせてもらえば、バッハやパーセルの面影さえ意識させるシャコンヌの反復性と反行主題、軽快さと楽器群の出現法が特徴的なスケルツォとしてのインテルメッツォ、そして軍楽隊の真骨頂とも言えるマーチに組み込まれる1楽章シャコンヌとエルガーの戴冠式頌歌「希望と栄光の国」を思わす主題の美しさ…!
だがこんな細かいことは放っておいてもいいのだ。そういう議論が好きな人たちに任せておこう。
思い返す場所はどこでも良い。中学校でも高校でも大学でも、放課後の教室、部室、体育館、音楽室……恋・友情・努力・汗・笑顔・涙、何か甘酸っぱい青春の思い出のワンシーンのバックに、低音から静かに始まるシャコンヌを流して欲しい。
ふと、心の琴線に触れる瞬間があるだろう。甘酸っぱい青春の思い出というのは、実はこんなにも美しいものだったのか、と教えてくれるのはこの曲だ。
少なくとも僕はそうだ。もう帰れないセピア色の時間を、色鮮やかに蘇らせる音楽。

Holst Vaughan Williams British Wind Band Classics Holst Vaughan Williams British Wind Band Classics
Gustav Holst,Johann Sebastian Bach,Ralph Vaughan Williams,Timothy Reynish,Royal Northern College of Music Wind Orchestra

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