ドビュッシー:ピアノ曲集

ドビュッシー ベルガマスク組曲


「月の光」で有名なこの組曲は、ドビュッシーのピアノ曲の中でも人気の高い作品で、ピアノの演奏会はもちろん、様々にアレンジされて演奏されている。
1890年、ドビュッシーの作品としては初期の方に当たり、まだまだドビュッシーのオリジナリティという点では後期の作品群と比べるとやや劣るが、印象派らしさはうかがえる。
「前奏曲」、「メヌエット」、「月の光」、「パスピエ」の4曲からなり、あの有名な「喜びの島」も加わる予定だったが、大人の都合で入らなかったようだ。
和音の趣きの変化とフレージングが愛おしい「前奏曲」、この曲も大好きな曲で、初めて聴いたのはきっとまだ幼いころ、ピアノ教室をやっている我が家のピアノ部屋から聴こえた音。低音から始まる印象的なこのイントロの1小節は、心の奥深くに刻まれ、自分をドビュッシー好きにさせた1つの原因ではないかとも思う。
「メヌエット」は弦楽を思わせる。レガートとスタッカートの差が小さく心躍らせる。まるでピッツィカートのような可愛らしい音と、ピアノならではの美しさを持つグリッサンドで終わる最後は実に可憐だ。
何も言うことが出来ないのは「月の光」で、この曲を愛してやまないし、様々なアレンジも全て美しいと思える。それだけに、この音楽は「音色」が勝負なのだ。どんな楽器にしても、この曲における「音色」はまさしく「光」そのものに違いない。ヴェレーヌという詩人の詩に影響された曲で、『穏やかに降り注ぐ悲しく美しい月光は、木々の鳥たち、そして恍惚のうちにすすり泣く泉へ夢をもたらす(Au calme clair de lune triste et beau, qui fait rêver les oiseaux dans les aubres, et sangloter d’extase les jets d’eau)』(拙訳)という一節をイメージしている。
組曲を通して弾いたとき、このブルターニュの舞曲「パスピエ」で最後ということになる。「月の光」をはじめ、組曲から抜粋されて演奏されることも多いのだが、もしこの曲で終わることに愛らしさを感じることが出来るなら、きっと「抒情的散文」や「3つの夜想曲」、「艶なる宴」、「忘れられたアリエッタ」などが愛しくてしょうがなくなるであろうが、とにかくドビュッシーの音楽の楽しみ方を発見出来ているということだろう。


綺麗な月が出ていると、ついこの曲を想起してしまう。美しい。月の光は何をか照らさん。
F,C,の音にGmの和音が重なり、プレリュード、夜が幕を開ける。
そんな夜なら、そんな夜に夢を与える月の光があったら、貴女は誰と踊るだろうか。何を踊るだろうか。エクスタシー湧き上がる泉に、何が映っているのだろうか。
「今夜は月がきれいですね」などと言って美人に声をかけるのも悪くないが、黙ってピアノの蓋をあけて、同じ月の光に照らされているであろうあの人を思いながら、ふと鍵盤を押さえてみる、そんな夜もちょっとロマンティックで、素敵だ。

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ロジェ(パスカル),ドビュッシー

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