Gustav Holst: St Paul's Suite for string orchestra Op29/2

ホルスト 2つの無言歌


ロイヤル・ウエディングでてんやわんやな英国だが、この「2つの無言歌」は対照的、ホルストによる素朴な民謡風の音楽。
田舎風の優しい歌と、英国らしい高貴さ香る行進曲と、両方楽しめるこの2つの無言歌は、ホルストの中では知名度の低いものだが、僕の大好きな曲の1つだ。
ホルストは学生時代にヴォーン・ウィリアムズと知り合い、とくに故郷を同じくグロスターシャーとすることもあり、親交を深めた。
この曲は1906年に作曲されたものだが、作曲のきっかけとなったのはヴァーン・ウィリアムズから民謡を主題にした曲を作るよう勧められたことで、実際ヴォーン・ウィリアムズに献呈されている。
初演は1906年7月19日王立音楽大学にて。「田舎の歌」と「行進の歌」の2曲からなる。
特に後者は“無言歌”というほど無言ではないような気もするが、まあそんな冗談は置いておくことにして、紹介して行こう。


「田舎の歌」クラリネットのソロによる民謡の旋律から始まる。フルート、弦楽器がメロディーを受け継ぎ、のどかな田舎の情景が浮かぶ。
次いでオーボエを中心とした木管楽器が軽快なメロディーを奏で、弦楽器、金管楽器も加わり、舞踏的な音楽へと移る。主題が繰り返されていき、最後は静かに終わる。
「行進の歌」はその名の通り、勇敢な行進曲風の音楽。民謡を基にした旋律が、弦楽器によって奏でられ、これが管楽器に引き継がれていく。
悠々とした中間部やそれに続く金管の叫びと流れる弦奏はまるでヴォーン・ウィリアムズを思わせる。
さらに、クライマックスはエルガーの威風堂々よろしく、力強さ・高貴さをも感じる。
ホルストの無言歌というと、「吹奏楽のための第2組曲」の2楽章の方が有名かもしれない。
とはいえ、こちらの方の無言歌も、エルガーやヴォーン・ウィリアムズといった他の英国作曲家の影も見えつつ、ホルストらしい東洋趣味も感じられる、隠れた名曲と言えるだろう。
こういった英国の佳作はなかなかスポットが当たらないのがさみしい。
できればこのブログでも、機会があるごとに取り上げて、英国クラシックを広めていきたいものだ。
ロイヤル・ウエディングのテレビ放送でも、式典そのものやテレビのBGMで多くの英国クラシックが流れた。まことに結構なことだ。

Gustav Holst: St Paul's Suite for string orchestra Op29/2 Gustav Holst: St Paul’s Suite for string orchestra Op29/2
Gustav Holst,Richard Hickox,City of London Sinfonia

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