Concertos Symphoniques Nos.3 & 5-Romantic Concerto

リトルフ 交響的協奏曲第3番 変ホ長調 Op.45「ナショナル・オランダ」


題名だけ見るとリトルフという作曲家がオランダ人であるかのようだが、リトルフはイギリス出身でフランスで活躍したピアニスト兼作曲家兼楽譜出版者である。
彼の最も有名な作品は、5つの「交響的協奏曲」というピアノ協奏曲である。このスケールの大きな協奏曲は、フランツ・リストに高く評価され、リトルフの手法を参考にしてリストが作曲した「ピアノ協奏曲第1番」は、リトルフに献呈されている。
リスト関連でリトルフの名を目にしたことがある人はいるかもしれないが、なかなか彼の作品を聴く機会はないと思う。
1846年にイギリスからオランダに逃亡したリトルフは、オランダの聴衆から人気を博し、暖かく迎えられたとのこと。
リトルフは感謝を込めて、交響的協奏曲第3番に「ナショナル・オランダ」と名づけ作曲したのである。
僕はこの曲の4楽章を聴いて、一気に虜になってしまった。隠れた名曲であると確かに保証できる。


第1楽章は Maestoso、ティンパニによる幕開けの後、高揚感のあるメロディーが奏でられる。軍隊的で颯爽とした雰囲気。やがて力強く煌びやかにピアノが現れる。
メユールのフランス革命オペラやケルビーニ、ル・シュウールの影響が見られる。
第2楽章 Prestoはピアノとオーケストラの対話形式で展開するスケルツォ的楽章。オランダの童謡“Al is ons Prinsje nog zoo klein”(直訳:私の小さな王子さまはとっても小さいけれど)が主題となっている。
第3楽章は Andante、ノクターン的な緩徐楽章。リトルフお得意のチェロのメロディーは、リストやショパンのような雰囲気も感じられる。
ふと沈鬱な旋律も顔を出すが、すぐにメインの美しくドラマティックなメロディーに。
そして第4楽章 Allegro vivace、この明朗で生き生きとした終楽章は、メンデルスゾーンを思わせる。
音楽は広がって行き、当時のオランダ国歌“Wien Neerlands Bloed ”が高らかに鳴り響く。
この変ロ長調のメロディーは金管から始まり、ヴァリエーションチックなピアノ、リトルフの愛する低弦へと移り変わる。それぞれがそれぞれの楽器の魅力を十二分に発揮すると、変イ長調を経て変ホ長調へと戻る。いくらか可愛げのあるブリッジを経て、華やかな金管楽器が鳴り渡るコーダへ。
何といっても“Wien Neerlands Bloed ”が抜群に格好良い。現在のオランダ国歌よりこちらの方が格好良いと思う。とまれ、4楽章の魅力は全く語り得ない。
リストも参考にしたというのは頷ける、ロマン派らしい美しいピアノ協奏曲である。
しかし皮肉なことに、こういったロマン派のピアノ協奏曲の多くは、大作曲家リストの協奏曲の影に身を潜めてしまっている。残念でならない。

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