R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」:交響詩とはこうありき

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R・シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 作品28


6月11日はR・シュトラウスの誕生日だったということで、彼の作品を取り上げてみよう。
長大な作品も多いR・シュトラウスだが、15分程のこの交響詩は聞きやすく、人気も高い。
あの「のだめカンタービレ」でも取り上げられていた。
ホルンの活躍する曲として有名。ティル・オイレンシュピーゲルのテーマは最初にホルンによって奏される。
ティル・オイレンシュピーゲルとは、14世紀に北ドイツで実在したとされる、伝説の奇人である。
要はいたずら者で、様々なことをやらかしていた。それがまとめ物語となって語り継がれている。物語の最後では、ティルは捕まって処刑されることになっている。
そういった彼の素行を面白おかしく、または力強く、そして美しく描いたのが、この交響詩だ。
「交響詩」の名の通り、様々な場面描写と簡単な筋書きが存在する。 まさに交響詩とはこうありき、と言える模範的な曲かもしれない。
スメタナのモルダウやリストの交響詩なども分かりやすいが、この曲もそういう意味で、初心者にもウケの良い交響詩だ。


昔話を始める「むかしむかし……」から始まる丁寧さ。これは弦楽が奏でる。
ホルンはティルのメインテーマ、クラリネットはティルの笑い声、独奏ヴァイオリンがティルの欠伸、ひとつひとつ考えられた巧妙な描写。R・シュトラウスの技が光る。
ナイトに扮して惚れた美女を口説くティルの音楽は艶やかで美しい。聞きどころのひとつだろう。
いきなりおぞましい場面に転換したら、ティルが捕まった合図だ。彼は死刑になり、断頭台で最期を迎える。
ティルは死すともいたずらは死なず、というように、最後にティルの笑い声が聞こえるところも面白いだろう。
両手離しで楽しめる音楽であるが、テクニカルに難しい点も多く、R・シュトラウスの中で最も演奏される機会に恵まれる曲ではあるが、これだ! と言える演奏に出会えるかどうかは難しいところだ。
僕は別段カラヤン信者ではないが、カラヤンとベルリン・フィルの演奏は素晴らしいもののひとつだろう。
交響詩のお手本とも言える巧みな描写を、くっきりと浮かび上がらせる構造を見せるカラヤンの手法や、当時のベルリン・フィルのテクニカルな力量も、この曲にぴったりと言えよう。
そして何より、この曲は楽しい。真面目すぎるいぶし銀な職人が作る音楽でもつまらないし、楽しいだけで上手くなくては光らない曲。しかし、それだけ難しい分、良い演奏を聴くのは心から楽しめる、そんな曲に思う。

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オムニバス(クラシック),ヤノヴィッツ(グンドゥラ),R.シュトラウス,カラヤン(ヘルベルト・フォン),ベーム(カール),ハウプトマン(ノルベルト),ブランディス(トーマス),シュヴァルベ(ミシェル),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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