ゴリホフ ロクテクヤ:甦るユダヤの調べ

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ゴリホフ ロクテクヤ


久しぶりに、ちょっと珍しい曲であろう「ロクテクヤ」。偶然ラジオで流れていたのを聴いて、ハマってしった。
クレズマー音楽の継承者であり、アルゼンチンで活躍する作曲家ゴリホフ(ゴリジョフ)の手による混合四重奏。
クレズマー音楽とは、ユダヤの民謡をルーツとする音楽。もとは結婚式や祭りなどの場でユダヤ人の音楽を演奏する演奏家のことを指す言葉だったが、今ではユダヤの伝統音楽のことを指す言葉になっている。
音楽史的に、初期の頃はヴァイオリンが主に使われたりもしたが、今日のクレズマー音楽は、多くの他の音楽と渾然一体となり発展してきた。
例えばジャズなどのアメリカ音楽の要素や、伝統的な西洋芸術音楽の室内楽など。その結果現代では、クラリネットやフルートがソリストとして超絶技巧を発揮する音楽となり、現代においても様々な作曲家がオリジナルの音楽を提供し続けている。
ゴリホフは1960年生まれの作曲家で、現代音楽と言えばまあそうなのだが、クラシカルな伝統も汲んでいる。また、グラミー賞受賞経験もある。
クレズマー音楽からの影響に加え、ピアソラのタンゴの中で育ったと自ら語っている。彼の音楽には、そういった独特のリズム感が存在しているのだ。


クラリネット、ヴァイオリン、エレクトリック・ヴィオラにベース、実に奇妙な四重奏。ジャズのような趣もあるが、ジャズとはまた異なるアンサンブル感がある。
そこにはやはり伝統的なクレズマーの演奏スタイルを意識しつつ、エレクトリックなサウンドも使用する、というゴリホフの意欲的が見られる。
クラリネットの超絶技巧、ヴァイオリンの金切り声のような力強さ、即興演奏のような技巧は聴く者を魅了する。
エレクトリック・ヴィオラはフュージョン・ジャズのような空気をかもし出す。やはりこれがミソだろう。一気に違和感というか、異色な空気に変えるのはこの楽器の仕事。
そして音楽を運ぶ絶妙なグルーヴのベース。やみつきになるような、このベースがしつこく繰り返すコードの上でソロ・クラリネットが暴れまわる様は聴きものだ。
ユダヤの伝統とアメリカンなジャズが融合したような不思議な響きと、奏者、特にクラリネットとヴァイオリンの技が光る、なんとも不思議な音楽。
信仰が作るユダヤの祈りが、ソリスティックで個性的な楽器演奏と相まって、現代に強烈なユダヤの調べを甦らせている。

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