ワーグナー ジークフリート牧歌:ロマンティックとは

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ワーグナー ジークフリート牧歌


このブログも3年近くやっていますが、なんと今回初めてワーグナーについての記事。
というのも、僕はややアンチワグネリアン寄りな時期もあり、ワーグナーやブルックナーを聞き出したのは、クラシック音楽を聴くようになって結構経ってからなのだ。
ワーグナーと言えばもちろん彼のロマンティック・オペラだが、オペラについて書くのはなかなか難しいし長くなる(実際『魔笛』の記事はかなり長くなってしまった)ので、今回取り上げるのはこの管弦楽曲、ジークフリート牧歌である。
この曲には有名なエピソードがあり、ワーグナーが妻コジマの誕生日そしてクリスマスの贈り物として密かに作曲し、12月25日、ルツェルンの自宅でサプライズ初演を行い、コジマをいたく感動させたというもの。
もはやこの挿話だけでお腹いっぱいなくらいロマンティックだが、音楽はましてロマンティック。
ドイツと言うと厳格で堅固なイメージがあると同時に、ドイツロマン主義というものもある。
西洋全般に言えることだが、ある種淡々とした科学的・合理的なところと、それと反するようなロマンティックなところがあり、それが西洋文化の面白いところだ。


このサプライズ初演に、コジマが大変驚き感激し、演奏はその日のうちに数回繰り返されたという。
また、オーケストラが階段上にいた為、長女イゾルデ(当時5歳)と次女エヴァ(当時3歳)はこの曲を「階段の音楽」と呼んだ。演奏が終わると、ワーグナーはコジマにスコアを手渡す、とまあ、イケメンとはまさに彼のこと。このとき彼は57歳だが。
しかし誤解のないように言っておくと、ワーグナーという人物は当然モテる男であって、不倫やら何やら色々やらかしていた人物だったそうだ。
1836年、ワーグナーは女優のミンナ・プラーナーと結婚。十余年の結婚生活を経て、彼は数人の女性と不倫交際に至る。特にチューリヒで援助を受けていた豪商ヴェーゼンドンクの妻マティルデと恋に落ち、ミンナとは別居。この不倫の恋は『トリスタンとイゾルデ』のきっかけとなった。
ではこのコジマという女性はどのような人物なのか。彼女は作曲家リストの娘で、少女時代からワーグナーの才能に感銘を受けていた。
そしてワーグナーの支持者であった指揮者ビューローと結婚し、2人の子を儲けるのだが、この頃コジマはワーグナーと深い仲となり、ついにはワーグナーの娘イゾルデを産む。このとき2人とも離婚していない。なんと!
ワーグナーの正妻ミンナが病死(1866年)した後、コジマはビューローと離婚してワーグナーと再婚(1870年)。
当然ビューローはワーグナーと決別し、当時ワーグナー派と敵対していたブラームス派に加わることとなる。


まあ、倫理観は人それぞれだから特にコメントしないけれども、リヒャルト・ワーグナーという人物はなかなかの色男だったことは間違いないだろう。
世の中サプライズ・プレゼントというものを喜ぶ女性は多いと僕もよく耳にするが、ここまでロマンティックにやってくれたらそりゃあ嬉しいだろう。
そして何より確かなのは、コジマとリヒャルトの愛が本物だったことだろうか。彼の伝記からはわからないかもしれないが、彼の音楽からは、それが十分伝わってくるのだ。

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Author: funapee(Twitter)
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“ワーグナー ジークフリート牧歌:ロマンティックとは” への1件の返信

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    funapeeさん、こんにちわ。
    ジークフリート牧歌は他のブログで話題になっていましたので、YOU TUBEで聴いてみました。
    ワグナーのイメージとは異なりすごく穏やかで美しい音楽でした。テーマ自体はソーーードレミファソーー(移動ド)のようでシンプルですが心休まります。
    ワグナーは序曲集程度しか聴いていませんし、歌劇・楽劇本体は、とても巨大で観念的な芸術なので、とてもこなせません。
    ワーグナーがイケメンで不倫をするなどは、芸術家にありがちな紙一重の世界でしょうか。
    普通の人間にはできないことでしょうね。
    芸術は爆発。ですから……..。
    でも、この牧歌は見直しました。
     

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