シューベルト アヴェ・マリア:祈りを……

Spread the love

アヴェ・マリア~ドミンゴとウィーン少年合唱団

シューベルト アヴェ・マリア(エレンの歌第3番 作品52-6 D.839)


あまりにも有名なシューベルトの美しい歌曲、アヴェ・マリア。
「アヴェ・マリア」(Ave Maria!)とは日本語では「めでたしマリア様」という意味。
聖母マリアに祈りを捧げる歌ではあるが、いわゆる宗教音楽ではないので注意。ウォルター・スコットの叙事詩「湖上の美人」をもとに、シューベルトが7曲の歌曲を作った。そのうちの第6曲であり、エレンという人物が出てくる歌の第3番であるため「エレンの歌第3番」とも呼ばれる。
ところで、僕がブログに曲の紹介を書くときは、特にそれが有名な曲の場合、「この曲には本来こういう意味があります、でも、そんなのはどうでも良いので、ただ単に聞けば良い曲だなあと思いますよ」といったスタンスを取るのだが、これは正直な僕の気持ちの反映である。
この曲にしても、しっかりと意味を理解して聴くもよし、そうでなくなんとなく耳を傾けるだけでもよし、そう、音楽はいつも懐が深く、誰にでも門を開いているのだ。
そういう前置きをしっかりと語っておいた上で、この曲の深奥に迫ってみよう。といっても、スコットの叙事詩はなかなか長いので、できるだけピンポイントで、かつ短文で!


エレン父娘は、国王の仇討から逃れるために、スコットランドはハイランドの洞窟に身を隠し、ハイランドの族長ロデリックに匿われていた。エレンはこの窮地に、聖母マリアに祈りを捧げる。その祈りの歌は、戦いのため遠く離れた山奥にいたロデリックにまでも届いた。
なんていうお話。歌詞はこちら
祈りのシチュエーションがわかると、この曲がもっともっと美しく響くだろう。日々の安寧や幸福を感謝する祈りではない。これは心から救いを求める者の祈りなのだ。
シューベルトのアヴェ・マリアは、何よりその旋律の美しさが魅力。聴く者は、旋律美と声の響きにうっとりするものだ。
もちろん、それで何も問題はない。ただ、できればエレンに感情移入して、己の悲しみを、誰かの悲しみを、逆境を、苦境を――今の世の中を見て僕は祈りたいことが山ほどあるが――祈って聴いてみても良いと思うのだ。
これは人を鼓舞するようなものではないし、あまり元気を与えるというベクトルのものではない。
静かな、そして敬虔な乙女の祈り。しかしその祈りは強く心に響く。

アヴェ・マリア~ドミンゴとウィーン少年合唱団 アヴェ・マリア~ドミンゴとウィーン少年合唱団
ドミンゴ(プラシド)&ウィーン少年合唱団,ドミンゴ(プラシド),ウィーン少年合唱団,ウィーン合唱団,ルター,ヘンデル,フォーレ,アイブラー,フロシャウアー(ヘルムート),ウィーン交響楽団,ゾンライトナー(ヨハン)

BMG JAPAN
売り上げランキング : 21291

Amazonで詳しく見る by AZlink


ここまで読んでくださった方、この文章はお役に立ちましたか?もしよろしければ、焼き芋のショパン、じゃなくて干し芋のリストを見ていただけますか?ブログ著者を応援してくださる方、まるでルドルフ大公のようなパトロンになってくださる方、なにとぞお恵みを……。匿名で送ることもできます。応援してくださった皆様、本当にありがとうございます。励みになります。

Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

にほんブログ村 クラシックブログへ にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ 
↑もっとちゃんとしたクラシック音楽鑑賞記事を読みたい方は上のリンクへどうぞ。たくさんありますよ。

Spread the love

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください