Wiren;Serenade for Strings

ヴィレーン 弦楽セレナード 作品11


ダグ・ヴィレーンはスウェーデンの作曲家である。その信条たるは「私は神と、モーツァルトと、ニールセンを信仰します」。これは恐れいった。
初期は新古典主義寄りの作風で、徐々にミニマリズム風のスタイルを取り入れるようになった。近年再評価されてきた作曲家で、演奏機会も少しずつ増えてきたところだ。
スウェーデン作曲家協会の司書として働き、後に「スウェーデン日報」で音楽評論家として務めた。フリーの作曲家として活躍するようになってからは、ストックホルム王立音楽アカデミーで教師をするまでになる。
ヴィレーンが作曲家としての確固たる地位を得ることとなったきっかけの曲が、彼の代表作でありもっとも有名な作品、この「弦楽セレナード」である。
まさしくこれは、彼の敬愛するモーツァルトからの影響そのものの体現であるといえるだろう。
つまり、ヴィレーンの弦楽セレナードもまた、コンパクトにまとまった中に、風がそよぎ、ごく自然で、そして楽観的な、そういう音楽が繰り広げられるのだ。
また、ニールセンへの信仰も、この曲の北欧らしさという点から感じ取ることができるだろう。そよぐ風は実に涼やかだ。
少し滑稽さすら感じられる。ヴィレーンを知らない人が聴いたら、プロコフィエフの作品かと思うかもしれない。


4楽章構成で、時間は15分ほど。このコンパクトさ。モーツァルトも笑顔になるだろう。
1楽章プレリューディウム、グリーグのホルベルク組曲を彷彿とさせる伴奏に乗って、息の長い旋律が「走る」。この颯爽とした雰囲気は実に心地よい。ウィットに富んだという形容も相応しいだろう。行進曲風でもあり、これはセレナードの伝統を踏襲している。
対して2楽章アンダンテ・エスプレッシーボは、ピッツィカートが特徴的な楽章。どことなく暗い音色が似合う曲だが、全体を包む楽観的な雰囲気の中にあるこの楽章は、丁度いい休息の時間だ。
3楽章スケルツォ、喜びを感じる音楽だ。跳ねる音。ここでもピッツィカートが生かされている。中間部のトリオでもそうだ。トリオの旋律もピュアな美しさ。
終楽章は行進曲。これもセレナードの伝統である。どことなく、童謡の「ふしぎなポケット」に似ているメロディー。子どもにもわかるような、親しみやすい旋律。かつてBBCの番組でもテーマとして用いられたことがある。
20世紀に活躍した作曲家だが、モーツァルトが20世紀に生きていたら、そして北欧に生まれていたら、こんな音楽を作ったのではないだろうか、そう思わせる音楽である。
モーツァルトを敬愛する音楽家は多い。また、モーツァルトの愛好家もまた数多くいる。そういう作曲家と聴衆と、ともにモーツァルトに熱い者たちがつながる音楽として、ヴィレーンの音楽は見直されても良いだろう。
チャイコフスキーやドヴォルザーク、エルガーなどの弦楽セレナードも非常に良い曲だが、ヴィレーンの作品はこうした有名作曲家にも負けない名曲になっている。これも、こうした作曲家たちの大先輩にあたるモーツァルトの弦楽セレナードへの、ヴィレーンの強い思いによるものだろう。

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