Gould: West Point Symphony/Hovhaness: Symphony No.4/Giannini: Symphony No. 3


ジャンニーニ 交響曲第3番


ヴィットリオ・ジャンニーニ(1903-1966)というイタリア系アメリカ人の作曲家を紹介しよう。フィラデルフィアで生まれ、9才でミラノ音楽院に留学し、15才でアメリカへ戻りジュリアード音楽院で学ぶ。1932年にはアメリカ・ローマ大賞を受賞しローマに留学。アメリカの様々な学校で教職に就き、A・リードやコリリアーノ、あのハービー・ハンコックも彼から学んでいる。
今回取り上げる「交響曲第3番」は、ジャンニーニの最も名高い作品だ。前衛音楽が各地で流行していた時代に、ハワード・ハンソンやバーバーと並び、敢えて新ロマン主義的な作風を貫いた作曲家で、この曲も多分にロマンティック。交響曲という名前だが、第3番は吹奏楽のための作品である。ジャンニーニはナンバリングのある交響曲を5番まで書いているが、3番以外は管弦楽である。ジャンニーニの父は歌手であり地元の歌劇場の創設者でもあるが、ロイヤル・マリーンズ・バンドとも関わりがあり、オペラや管弦楽に加えて、吹奏楽というのも彼にとっては親しんだ編成であったのだ。
1958年の作。そんな時代にこんな作風だったため、ジャンニーニは音楽史上に大きく名を残すことは叶わなかったが、名声の大きさと良し悪しは別である。管弦楽のための交響曲やピアノ協奏曲なんかも、もうとってもとってもロマン派で、フランツ・リストかラフマニノフかってとこだが、これが全然流行らない。嫌だねえオーケストラって、いつでも最先端気取っちゃってさ、こういうのは見向きもしないの……でもいいの。歌を捨てるものあれば歌を拾うものあり。こういうのは吹奏楽のジャンルで生き延びたのだ。だからこそ、この「交響曲第3番」だけが、ジャンニーニの代表作たりえたのだ。


デューク大学バンドの指揮者ポール・ブライアンの委嘱で、休暇先のローマで書かれた作品だそうだ。徹底した絶対音楽であり、ジャンニーニ自身「私は作曲する時何の「主義主張」ももたない。私はその時に考え、感じていることを作曲し、伝達しようとしている」とコメントしているので、自由に聴くべし。
1楽章Allegro energico、ソナタ形式。21世紀に生きている皆さん、まず聴いてみてください、「これはゲーム音楽か!」というような、RPGゲームの開始、あからさまに勇壮で、力強く、「一狩り行こうぜ!」と冒険が始まるような……。ヴァイオリンではない、刻むのはクラリネット、これである。第1主題の提示が終わると、急にテンポを落とし定石通りの構成で、不思議な新ロマン派の和声が。これも素朴な管楽器のハーモニーだから嫌味がない。スネアドラムのロール、サスペンデッドシンバルが盛り上げ、盛り上がりの頂点で入るバスドラの一撃!からの!トランペットの神々しさ!これぞ!まさに!吹奏楽の魅力! 少し熱くなりましたが、これで熱くならない人はこの曲に向いていないので、ここでお帰りください。続く木管楽器のフーガ風も良い。これぞ!以下略!そして当然ですが、勇壮な主題が再現されて、ああ!これぞ!以下略!
2楽章Adagio、オーボエの独奏から始まる。フルートが受け継ぐどこか奇妙で腑に落ちないメロディが良い。中低音の金管がコードで動くのも、艶こそ少ないがとことん抒情を湛えている。トランペットの渋いソロにも注目だ。少しずつ世界を押し広げて行くような雰囲気のメロディを中心に据えて、もそもそ動く音塊、それをじっと観察するのだ。君は何をか思う。
3楽章Allegretto、いわゆるスケルツォ・ロンド楽章である。あるいはインテルメッツォか。木管群の軽いリズム伴奏に、こちらもサックスによるリズムカルなメロディ、これも現代に生きる僕にはゲーム音楽っぽく聞こえる、まあ知らんけど。森の中を走ったり敵(ボスじゃなくてザコ)と戦ったりしてそうですよね、FFのイメージだけどね。軽快に駆け抜ける音楽とポリリズムで交差する悠々とした音楽、いかにもFFの戦闘じゃないですか?
4楽章Allegro con brio、はい、これ!ド頭の急速音階がたまらない!この疾走する音階はアイキャッチとして効果的に使われる。突如始まる行進曲っぽいのは何ですか、勝利の凱旋歌ですか。まあ交響曲だしね、ベートーヴェンも喜ぶでしょう多分。ちょっとバカっぽいんだけどそれを徹底的にやる、そういうもんですよねお祭りって。突如始まるズッチャズッチャしてる舞曲っぽいのは何ですか、お祭りですか、そうですか。ウォルトンもホルストもびっくりの、英国風セレモニアルな音楽も現れる。中低音メロディによるカンタービレ、響け!ユーフォ!クライマックスへ向かえ!そしてクライマックスもくどいくどい!たまらんですね!
思わずテンション上がってしまう、古き良き吹奏楽曲のひとつ。オーケストラに見捨てられた、時代の遺物か、いやいや永遠の「交響曲」に違いない。

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