スパーク イーナの歌:ずっと心のなか

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スパーク イーナの歌


こう必然的に家にいる時間が長くなり、幼児2人の子守をしていると、おかあさんといっしょをいつも以上によく見ることになる。今日は「赤い屋根の家」を聴いた。電車の窓からー、見えるー赤い屋根ーは、という歌詞の、昔からある歌だ。なんとなくノスタルジックでいい曲だと思う。
僕も子どもの頃から好きな歌で、調べてみたら1989年におかあさんといっしょで放送されてから、今まで30年以上愛されているそうだ。僕は今日も口ずさんだが、子どもたちはもっとリズミカルな楽しい歌の方が好みかな?


なんでこんな話をしたのかというと、僕自身の好みは、やっぱり子どもの頃からメロディ重視というか、美しい旋律の曲を好きになる傾向は今も変わらないなと、「赤い屋根の家」を聴いてふと思ったからだ。これは自分がどんなにクラシック音楽に詳しくなって、無調の作品や旋律を重視しない作品を楽しめるようになったとしても、根本的に自分はどういうタイプなのかを今一度考えると、やはりメロディが好きだと思う。
これもまた偶然だが、昨日はTwitterでスパークの「イーナの歌」“Song for Ina”を見かけ、懐かしくて後で聴いたのだが、これも本当にメロディが美しい曲だ。「オリエント急行」や「ドラゴンの年」などで有名なブラスバンド・吹奏楽の作曲家フィリップ・スパークが作ったユーフォニアムのための作品で、ピアノやブラスバンド(吹奏楽もあるかな)で伴奏する、5分程度の曲。変イ長調でLentoの穏やかな曲調は、柔らかく素朴な音色の中低音楽器ユーフォニアムによく合う。
1993年、ニュージーランドのユーフォニアム奏者、リキ・マクドネルによる委嘱作品。イーナとは、当時亡くなったばかりのマクドネルの義叔母の名前だそうで、詳しいことはわからないが、穏やかな気持で故人を偲ぶような音楽と言えるだろう。


僕はユーフォニアム好きを自称しているし、よくこのブログでも関係ないところでユーフォニアムの話を出したりすることがあるが、考えてみるとユーフォニアムの曲について書くのはこれが初めてだった。チューバは書いたけどね。オリジナル作品は増えてきているが、さほど多いとは言えないし、勘弁していただきたい。
でも前回の記事(ホ・アリス・ピン・イ)でも話題にしたし、それ以外にも、バリチューバアンサンブルの演奏会でドラムや打楽器のトラをやったこともあるし、同級生のユーフォニアム吹きとシューマンの森の情景をアレンジしてやってみたりしたこともある。吹奏楽から離れてしまった自分には、どれも懐かしい思い出である。


初めてユーフォニアムを好きなったきっかけはなんだろう。最初はホルストの「吹奏楽のための第2組曲」の長いユーフォニアム・ソロかもしれない。あれも美しいメロディなのだ。その次がスパークの「イーナの歌」かな。これはこじつけかもしれないが、僕は自分の声域がバリトンだからユーフォニアムとかチェロを慕ってしまうのかもしれない。
しかしユーフォニアムはチェロよりも、金管楽器の制約上、超絶技巧よりハーモニーに存在意義があると言っていい。もちろん、同じくスパークの「パントマイム」や「ハーレクイン」、僕も実演で聴いた三枝成彰の協奏曲のような技巧的な作品もあるが、大体は吹奏楽では目立たないが重要なハーモニー要員である。
普段は目立たないし、トロンボーンやホルンやチューバはオーケストラに入るのにユーフォニアムだけは入らないからこそ、ブラスバンドや吹奏楽を扱う作曲家でユーフォニアムを愛する者は、まるで使命であるかのように、バンド作品でソロを吹かせ、オリジナル独奏曲を書くのだ。


僕は自分が吹く訳でもなければ作曲家でもないが、この楽器を愛好する者としての使命のようなものは持っていないこともない。だから、ただのハーモニー要員じゃないんだぞと紹介したいし、紹介するならテクニカルな曲ではなく、圧倒的にメロディが美しい曲がいいと思って、イーナの歌にした。美しいメロディを聴きたいというのは、僕の心の底からの願いであることは既に書いたし、多くの人に、この曲のメロディの美しさ、ユーフォニアムという楽器の音色の素晴らしさを感じて欲しいのだ。


もう1つ、僕がイーナの歌を好きな理由は、もしかするとこれかもしれない。上は「赤い屋根の家」、下は「イーナの歌」の、中間部の旋律である。


これは偶然かしら?だとしても、僕はこういうメロディに弱いんだなと、はっきりわかった。おそらくこの近似に気づいた人はそうそういないだろう。僕も偶然、昨日「イーナの歌」を聴いて、今朝「赤い屋根の家」を聴かなかったら気づかなかったと思う。そう、偶然、高校生のときに吹奏楽のための第2組曲と出会わなければ、あるいは偶然、ユーフォニアム吹きの高校の同級生と同じ大学に進学していなければ……音楽との出会いは大体偶然で、好きになるのもそう。
ちなみに、あの中間部の2番の歌詞は「いつかいつか ぼくだって 大人になるけど」で、昔住んでた赤い屋根の家はビルの裏側にかくれて見えなくなってしまうが、「ずっと心の中 赤い屋根の家」で終わる。ずっと心にある思い出、美しいメロディ、「イーナの歌」は僕にとっても色々な思い出、ノスタルジーを感じさせる曲で、故人の思い出を偲ぶ曲の聴き方としても、素敵なんじゃないかと思っている。


Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック・ファンです。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、つまりひたすら聴くだけ。演奏することにはほぼ興味・情熱はありませんが、それでもときどきピアノを弾いたり、バンドでドラムを叩いたりシンセサイザーを演奏したり、あるいは作曲・編曲をしたりします。more

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