レハール ピアノ・ソナタ ニ短調:がんばれメロディ

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レハール ピアノ・ソナタ ニ短調

喜歌劇「メリー・ウィドウ」や「微笑みの国」、ワルツ「金と銀」などで有名なオーストリアの作曲家、フランツ・レハール(1870-1948)のピアノ・ソナタを紹介しよう。
このブログではあまりオペラやバレエについて書いていなくて、実際は大好きなので別にそれらの話も書けないこともないのだけど、長くなってしまいそうで、あまり取り上げていない。オペラやバレエの話題はTwitterでよくつぶやいているので、興味ある方はそちらをぜひ。以上、宣伝でした。

さて、レハールが有名なウィンナ・オペレッタ以外の音楽を作っていることはあまり知られていないだろう。と言ってもそう多くはないし、ピアノ・ソナタも実はリンクを貼っているCPOレーベルのCD1枚しか知らない。ブックレットには初録音と書かれていないから、もしかすると古いLPで録音が存在するのかもしれない。
CPO盤はヴォルフ・ハーデンというピアニストの録音で、ヘ長調とニ短調のソナタ、幻想曲の3曲が収録されている。今回はニ短調のソナタについて語ろう。

レハールの父フランツ・レハール(同名である)は、自身が苦労して軍楽隊の指揮という仕事に就いた経験から、息子には早くから訓練させて、演奏者として働けるようにさせてやりたいと思い、息子フランツにヴァイオリンを学ばせた。裕福な家庭ではなかったが、息子フランツは優秀で、プラハ音楽院の学費が全額奨学金で賄えたそうだ。
しかしレハール(以下レハールは息子フランツのこと)は、長時間の練習が苦痛で、ヴァイオリンを嫌いになってしまう。そこで、音楽院とは別に、チェコの作曲家でレハールの才能を高く評価していたズデニェク・フィビヒから作曲の個人レッスンを受けた。学課以外の個人レッスンは禁止されていたので、音楽院をやめるかフィビヒのレッスンをやめるか選ばなければならなくなったレハールは、結局フィビヒのレッスンをやめることとなる。その後もレハールはほぼ独学で作曲を極めていくこととなった。
レハールが唯一頼ったのはドヴォルザークであった。ドヴォルザークは自作をよく学生たちに演奏させており、レハールもその機会に自ら書いたピアノ・ソナタ ニ短調を弾いた。そこでドヴォルザークは「ヴァイオリンをやめて、作曲をしなさい」とレハールにアドバイスしたそうだ。1887年、レハールが17歳のときの出来事である。
さらに、詳しくはわからないが、レハールはブラームスの前でもこのニ短調のソナタを披露したらしい。ブラームスはとても気に入って、ヴァイオリンをやらせたいレハールの父に対し、ブラームスからのお墨付きの手紙、要は作曲家を目指す上での推薦状のようなものを書いてくれたそうだ。
音楽院卒業後はオーケストラのヴァイオリン奏者になったレハール。結局ピアノ作品は16~17歳のときに書いた4つのソナタ、2つのスケルツォ、幻想曲、そして1909年に出版された12のサロン音楽のみ。オペレッタ作曲家として大活躍していく。

ドヴォルザークやブラームスに高く評価されたというニ短調のソナタ、4楽章構成で演奏時間は40分近くもある大作である。
第1楽章Andante – Allegro moderato、スケールの大きさもさることながら、メロディの可憐さ、美しさに聞き惚れてしまう。ドヴォルザークやフィビヒを思わせる、哀愁あるボヘミア風のフレーズも特徴的だ。まるで弦楽がざわめくようなトレモロも見られる。
第2楽章Allegretto、シンプルな音の重なりだが、ロマンに溺れすぎず、古典派のような趣き。いつまでも続くかのような穏やかな美しい調べ。第3楽章はScherzo: Vivace、スケルツォ楽章でも縷々として語られる旋律。少しハミダシもののようなトリオも可愛らしい。
第4楽章Finale: Allegro vivace、まるでシューベルトの交響曲の終楽章のようだ。可愛らしい旋律のオンパレード。派手なピアニズムの発露はない。最後こそ堂々と華やかに終わるが、小さな歌の連続でできている音楽だという点は1楽章から一貫している。

と、褒めちぎってみたものの、いわゆる古典派やロマン派のピアノ作品として有名どころの曲と比較すると、いささか未熟な音楽に聴こえる。ソナタとしての構造であったり、立体的なハーモニーや主題の展開、凝った和声などを楽しむのは難しいだろうし、レハールの確固たるピアニズムのようなものを感じることはできない。だからコンサートや録音で多く取り上げることはない理由もわかる。技巧的にも見せ場がないし、しかも長い。
だが、ドヴォルザークやブラームスの慧眼にならって、ここからレハールのメロディメーカーとしての才能を見出すことは可能である。様々な雰囲気を持った歌の美しさ。僕は「ああ、オーケストラで聴いたらもっと素敵かも」と思う瞬間が何度もあった。レハール本人もそう思っていたのかも……それはともかく、サロン的に気楽に聴いて、美しいメロディを堪能していただきたい。
いわゆるオペラ作曲家の室内楽や器楽曲などは、実はとても素敵な曲があったりして、色々聴いてみるのも楽しい。僕もどんどん開拓したいと思っている。


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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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