三菱一号館美術館の開館記念展「マネとモダン・パリ」に行ってきました。
4月に開館したばっかりなんですね。少し狭い感じもしましたが、中も周囲の雰囲気もオシャレで良かったです。

 


「近代絵画の創始者」と呼ばれることもあるマネですが、なかなか日本でこうやってまとめて見る機会はありません。
左は「ラトゥイユ親父の店」です。自然主義的な雰囲気ですが、緑の色彩と人物の表情が良いですね。
右は「エミール・ゾラ」、彼は自然主義を提唱したフランスの文学者です。彼との交流がマネの自然主義的な情景描写に影響を与えたことは言うまでもありません。


マネはルーブル宮殿にほど近いところで生まれ育っており、ルーブル美術館にもよく行ったとのこと。
特にルーブル宮内で開かれた「スペイン絵画展」では、スペインのリアリズムに大きく影響を受けました。
左の「ローラ・ド・ヴァランス」はスペインのバレエ団のプリマを描いた作品。いわゆる「バレリーナ」の印象とは違う、ラテン系と思しき彼女からは、スペインらしいエネルギッシュな舞踏が思い浮かびます。
右の「死せる闘牛士」は、もとは別の絵の一部分でした。極端な遠近法を批判されたマネは、それに対抗して絵を切り取り、その前景の部分だったものがこれです。


マネの傑作、左は「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」、右は「散歩」です。
モリゾはマネの弟子でもあり、兄妹のような関係だったようです。それ以上の関係があったかは謎ですが、モリゾをモデルにした絵はたくさんあります。中でもこの作品は、その圧倒的な「黒」に引き込まれてしまいそうです。
晩年の傑作「散歩」は友人のガンビー夫人がモデルです。療養中だったマネが描く生命感あふれる女性の絵は、まさに「生」の美しさを湛えた作品と言えるでしょう。


左はマネの最もスキャンダラスな作品、「オランピア」です。ルネサンスの画家ティツィアーノの傑作「ウルビーノのヴィーナス」(右)をモチーフにしているのですが、当時はこれがヴィーナスをモチーフにしたとは認識されず、オランピア(娼婦)の裸像を直接的に描いた卑猥な作品として非難されました。足下の黒猫にもご注目。


マネはルーブルで古典美術に多く触れていたため、それらを現代的に表現しようと思っていました。ヴィーナスをモチーフにしたとはいえ、それが認識されなければ意味はないですし、娼婦を描くというのはやはりタブーなことだったようです。
娼婦が身につけている腕輪は、マネ自身が身につけていたものだそうです。母親の毛髪が入った腕輪であり、マネ自身と娼婦を重ね合わせているとも言われています。ヴィクトリーヌ・ムーランという女性をモデルにしているのですが、この女性が娼婦だと印象付けるのは、やはり彼女の表情でしょう。なんとも艶めかしく誘惑するような表情をしています。もちろん、この黒人の召使いがいる点や、裸婦なのでもちろん少ないのですが、装飾品が見られる点などもありますが。娼婦であると考えることで、彼女の片足のサンダルが脱げていることが処女の喪失を、足元の黒猫の尻尾が立っていることが性欲の象徴を表していると考えられます。ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」には、従順を示す犬が足元で穏やかに佇んでいるのに対し、尻尾を立てた黒猫を描いているというところが面白いですね。こういった不道徳性は非難こそされましたが、彼の古典を意識した絵画表現へのアプローチは、マネが近代絵画を創始したと言われる所以の一つのようにも思います。


マネ以外の画家の作品では、ジャン・ぺローやジェームス・ティソなどがありました。
左の豪華な絵はペローの「夜会」、右の黄色が印象的な絵はティソの「舞踏会」です。
パリの暮らしはマネにも大きな影響を与えていたことでしょうね。


左はヨンキントの「パリ、セーヌ川とノートル=ダム大聖堂」、右はシニャックの「ジェヌヴィリエ街道」。
こういったものを見ると、印象派っていいなあなんて思ってしまいます。


マネは日本の浮世絵や版画からも影響を受けたのですが、特にこの猫なんてそんな風に見えませんか?
あまりにもかわいかったので、ポストカード買ってきました。
 

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