先月末ですが、東京都現代美術館で行われている「名和晃平 ─ シンセシス 展」に行ってきました。


同時に開催している「木を植えた男。」展が盛んにテレビCMなどで宣伝されている一方、ひっそりとやっているこの現代アートの展示ですが、率直な感想としては非常に興味深かったと言えます。これは行って良かった展覧会。珍しく美術館好きな友人と一緒に行きました。友人はあまり現代アートには興味が無いようでしたが、それでも案外楽しんでもらえたみたいでした。僕も楽しかった。現代アートは、特にインスタレーション系は、全然アートのことを知らない人でも案外楽しめるものです。


今回の展覧会は、「Cell」という概念をもとに、先鋭的な彫刻・空間表現を展開する名和晃平(1975年生まれ)さんの個展でした。こういう説明をすると少し硬いですが、体験としてはとてもすんなりと身体感覚に入ってきます。そこが今回最も素晴らしいと感じた点ですね。


左上の鹿のはく製のようなものが、今回の展覧会のメインということになるのでしょうか。“BEADS”というカテゴリの作品ですが、この作品の解説は、読んでみてもさっぱり理解できませんでした。友人もわからなかったみたいですので、一安心ってことでいいよね(笑) 泡のようにまとわりついているかと思えば、はく製の毛が拡大されて見えていたり、視覚的に面白かったし、これはこれで不思議な美しさがありますね。


右上は“SCUM”というカテゴリの作品ですね。発砲素材を様々なものに吹きつけてあるんですね。元が何だったのかわかるものもあれば、わからないものもありました。解説には「膨張した形態に(イモの形に意味がないのと同じで)モチーフや記号的な要素は無く、ただ意味性、ストーリー性の欠落した「ボリューム」がそこにある。」とありました。なるほどね。小さなものから、巨大なものまで、これは答え合わせするのが楽しかったな。


左下は“LIQUID”カテゴリのもの。ボコボコと泡が出てくる謎の水槽が床に埋め込まれている展示でした。ライトアップの効果もあり、「絶え間なく生成するセルは見る者の感覚を刺激し、ある飽和点を超えると、麻酔のように作用する。 」の通りでした。長時間見ていたくなってしまいますね、こういうものは。小さいものがインテリアとしてあったら、ちょっと買いたいなんて思ったりも(笑)


ラスト、右下は“MOVIE”カテゴリのもので、ライトが床に変な色の・不思議な動きのドットを映し出し、一風変わった空間に人を誘います。手書きで作ったドットのようで、微妙なブレなどが、それこそこちらも麻薬的な効果を発揮します。ついつい動きを眺めてみたり、或いは自分の影を眺めてみたり、影を重ねてみたり……。


他にも展示は沢山ありました。どれも全て面白かった、なんてことは言いませんが、実に興味深いものが沢山ありました。そして、最初は解説のキャプションも何もなしで見て周り、すべて見終わってから解説の紙を渡してもう1周するというスタイルも良かったですね。1口で2度美味しい、楽しい展覧会でした。

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