クラシック音楽の楽曲に関する話題を中心に、芸術について考えたこと、哲学・文学・美学などのちょっとアカデミックな話、聴きに行った演奏会や観に行った展覧会、うちの猫ちゃんのことやクラシックCD聴き比べ、その他日常の諸々を含め、適当な文章を書き綴っていきます。「ボクノオンガク」というブログ名は、よくあるパソコンの音楽フォルダ名“My Music”の和訳と、小澤征爾さんの本『ボクの音楽武者修行』から。

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マニャール ピアノと木管楽器のための五重奏曲:古典を意識しつつオリジナリティを出す

マニャール ピアノと木管楽器のための五重奏曲:古典を意識しつつオリジナリティを出す

マニャール ピアノと木管楽器のための五重奏曲 作品8 アルベリク・マニャール(1865-1914)はフランスの作曲家で、「フランス山人の歌による交響曲」で有名なヴァンサン・ダンディの弟子である。フランク門下でもあるが、ダンディの方が好みだったそうだ。 ヴァンサン・ダンディもまたベートーヴェンやワーグナーなどのドイツ音楽に深い敬愛を抱いていたが、その敬愛はマニャールにも受け継がれているのだろうか、フ […]
ベートーヴェン 交響曲第2番:古典派の臨界点

ベートーヴェン 交響曲第2番:古典派の臨界点

ベートーヴェン 交響曲第2番 ニ長調 作品36 かつてこのブログで交響曲第3番「英雄」を取り上げた際、「英雄」は交響曲の革命児だと書いた。ということは、その1つ前の第2番は革命を起こす直前、いわばアンシャン・レジームの真っ只中にいるわけだ。ものは言い様かもしれないが、確かにこの作品には熟れに熟れた古典派交響曲の魅力が詰まっている。 ハイドンやモーツァルトの交響曲の様式から脱却してオリジナリティを表 […]
ブラームス 交響曲第1番:ベートーヴェンの後継者とは

ブラームス 交響曲第1番:ベートーヴェンの後継者とは

交響曲第1番 ハ短調 作品68 指揮者のハンス・フォン・ビューローがこの曲を「ベートーヴェンの第10交響曲」と呼んだことはよく知られているが、その際ビューローは「第10と言っても、第9の延長線上ではなく、第2とエロイカ(第3)の間に来るだろう」と語ったことまで知っている人はどれくらいいるだろうか。多くの音楽関係者諸氏の中にもおそらく知らない人は大勢いるだろうし、手放しで「第10交響曲」と賛美する風 […]
スクリャービン ピアノ・ソナタ第3番:全てのソナタを代表して

スクリャービン ピアノ・ソナタ第3番:全てのソナタを代表して

スクリャービン ピアノ・ソナタ第3番 嬰ヘ短調 作品23 スクリャービンがピアニストのイサコヴィチと結婚したのが1897年、夫婦でパリへ向かい、そこでスクリャービンはピアノ・ソナタ第3番の作曲に取りかかる。1898年に完成し、出版。国際的な賞賛も得て、長女も生まれ、モスクワ音楽院の教授に就任する。スクリャービンの人生の中で、最も幸福な時間だったに違いない。この曲の構造美から、スクリャービン自身は古 […]
ヴァイゼ 交響曲第5番:ロマン派時代の古典派交響曲

ヴァイゼ 交響曲第5番:ロマン派時代の古典派交響曲

ヴァイゼ 交響曲第5番 変ホ長調 クリストフ・エルンスト・フリードリヒ・ヴァイゼ(1774-1842)はデンマークの作曲家で、ほぼベートーヴェンと同時代を生きた人物だ。アルトナという当時のデンマークの主要な港町で生まれ(現在はドイツ領)、15才でコペンハーゲンへ移り研鑽を積み、20才頃からコペンハーゲンのいくつかの教会でオルガニストを務め、45才で宮廷作曲家になる。晩年にはリストやウェーバーが表敬 […]
ラロ チェロ協奏曲:セロ弾きのオルフェ

ラロ チェロ協奏曲:セロ弾きのオルフェ

ラロ チェロ協奏曲 スペイン交響曲で有名な作曲家ラロは、一応誤解のないように言っておくが、スペイン人ではなくフランス人である。 さらに言えば、この人の音楽性が最も発揮されているのは室内楽だ。これは間違いない。何かの文章で「ラロのオーケストラ作品を理解するには、彼の室内楽作品を聴けばよくわかる」というようなよくある文言を目にして、本当かなあと疑いながら聴いてみたら、これが思いの外素晴らしい作品だらけ […]
バックス 交響詩「春の火」:音楽のダフネフォリア

バックス 交響詩「春の火」:音楽のダフネフォリア

20世紀の初め頃、ロンドンでリヒャルト・シュトラウスやドビュッシー、シベリウスらが認知されてきた頃に、イギリスの作曲家サー・アーノルド・バックスは若くして円熟期を迎えていた。 自身のルーツであるアイルランドの音楽と、ヨーロッパのビッグネームたちが作っていた印象派やロマン派の音楽の影響と、彼の中にコンフリクトがあったことは窺えるものの、バックスは彼らからの得たものを、自身の音楽言語の中にすっかりと吸 […]
グラナドス ヴァイオリン・ソナタ:近代フランス音楽へのアプローチ

グラナドス ヴァイオリン・ソナタ:近代フランス音楽へのアプローチ

グラナドス ヴァイオリン・ソナタ グラナドスのヴァイオリン・ソナタに関する情報は恐ろしく少ない。少ないが故に話題にする人もおらず、たまにインターネット上で見かけても、詳しく語っているものはほとんどない。 しかし、この曲の演奏の録音を聴いて、あっという間に魅了されてしまった。こんなにも美しい名曲が埋もれたままだなんて勿体ない! そこで今回ブログで取り上げることにした。多分このページが、素人の音楽ファ […]
シューベルト 交響曲第1番:愛すべきエピゴーネン

シューベルト 交響曲第1番:愛すべきエピゴーネン

シューベルト 交響曲第1番 ニ長調 D82 シューベルトが第一交響曲を仕上げたのは1813年の10月18日、彼がまだ16才のときで、コンヴィクト(寄宿制の神学校であり、アントニオ・サリエリの下で音楽を学べた)を去る直前の頃だとされている。 1楽章には大きな繰り返しもあり、また草稿にあまり苦労した形跡が見られないため、相当の速筆だったのではないかとされることもあるが、一度聴けば非常に印象的で、よく磨 […]
スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」:“自叙伝カルテット”のパイオニア

スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」:“自叙伝カルテット”のパイオニア

スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」 6年間もブログを続けてきて、未だに1曲も記事を書いていないビッグネームがちらほらいるのだが、スメタナもその一人で、本日解禁。 ロマン派音楽というのは、古典派からの移行期であるシューベルトにしろ後期のマーラーにしろ、大まかに捉えるとプライベートな感情の音楽であると言えるが、それに国民性という特徴を付したのがスメタナの大きな功績である。 いわゆる「国民楽派 […]
カントルーブ オーヴェルニュの歌 第1集:情緒と表現に酔いしれて……

カントルーブ オーヴェルニュの歌 第1集:情緒と表現に酔いしれて……

カントルーブ オーヴェルニュの歌 第1集 おそらくこの曲を愛好する日本人の中で、実際にオーベルニュに行ったことがある人はほとんどいないだろうが、たとえオーヴェルニュのことを何一つも知らないとしても、この曲の持つ普遍的な美しさを味わうことは可能だ。 そもそもオーヴェルニュがきっかけでこの曲を知る人よりも、むしろお気に入りのソプラノ歌手が歌っているのを聴いて知るという人の方が多いのではないだろうか。マ […]
コーツ ダムバスターズ・マーチ:もうひとつの威風堂々

コーツ ダムバスターズ・マーチ:もうひとつの威風堂々

コーツ ダムバスターズ・マーチ なんと、エリック・コーツ(1886-1957)という偉大な作曲家が、日本語のウィキペディアには載っていないのだ。イギリスのノッティンガムシャーに生まれ、クラシックとポピュラーの中間のような所謂「ライト・ミュージック」を開拓した第一人者である。先達たるアーサー・サリヴァンが道を照らし出してくれたこともあってか、この時期のイギリスはライト・ミュージックの世界を代表するよ […]