クラシック音楽の楽曲に関する話題を中心に、芸術について考えたこと、哲学・文学・美学などのちょっとアカデミックな話、聴きに行った演奏会や観に行った展覧会、うちの猫ちゃんのことやクラシックCD聴き比べ、その他日常の諸々を含め、適当な文章を書き綴っていきます。「ボクノオンガク」というブログ名は、よくあるパソコンの音楽フォルダ名“My Music”の和訳と、小澤征爾さんの本『ボクの音楽武者修行』から。

シューベルト
シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」:真に輝くものは

シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」:真に輝くものは

シューベルト 弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810「死と乙女」 何度かシューベルトの楽曲をこのブログで取り上げており、その時いつも言っているような気がするのは、シューベルトは基本的にシャイなので、本当に彼が言いたいことは色々あるだろうけれども、音楽ではその全てを語りきっていないということ。 だから前提として、この曲でもおそらくシューベルトは彼の本心をあからさまにさらけ出すような真似はしないし、当 […]
シューベルト 交響曲第1番:愛すべきエピゴーネン

シューベルト 交響曲第1番:愛すべきエピゴーネン

シューベルト 交響曲第1番 ニ長調 D82 シューベルトが第一交響曲を仕上げたのは1813年の10月18日、彼がまだ16才のときで、コンヴィクト(寄宿制の神学校であり、アントニオ・サリエリの下で音楽を学べた)を去る直前の頃だとされている。 1楽章には大きな繰り返しもあり、また草稿にあまり苦労した形跡が見られないため、相当の速筆だったのではないかとされることもあるが、一度聴けば非常に印象的で、よく磨 […]
シューベルト 即興曲集 D.899, D.935:終わらない歌

シューベルト 即興曲集 D.899, D.935:終わらない歌

シューベルト 即興曲集 D.899, D,935 クラシック音楽に詳しくない人にシューベルトの即興曲の話をすると、「これは即興で作った曲なの?」と聞かれることがしばしばある。ジャズの名盤では、様々なプレイヤーの即興演奏が録音されたものが沢山あるが、シューベルトが即興曲を作った19世紀前半には、即興演奏を録音する技術も当然無く、その場ですぐに誰かが譜面に起こしたのでもない。 とは言え、幾らか即興の要 […]
シューベルト アヴェ・マリア:祈りを……

シューベルト アヴェ・マリア:祈りを……

シューベルト アヴェ・マリア(エレンの歌第3番 作品52-6 D.839) あまりにも有名なシューベルトの美しい歌曲、アヴェ・マリア。 「アヴェ・マリア」(Ave Maria!)とは日本語では「めでたしマリア様」という意味。 聖母マリアに祈りを捧げる歌ではあるが、いわゆる宗教音楽ではないので注意。ウォルター・スコットの叙事詩「湖上の美人」をもとに、シューベルトが7曲の歌曲を作った。そのうちの第6曲 […]
シューベルト 交響曲第5番:シャイな美しさ

シューベルト 交響曲第5番:シャイな美しさ

シューベルト 交響曲第5番 変ロ長調 D.485 シューベルトの交響曲と言うと、グレートと未完成が名高いが、それ以外の交響曲も非常に魅力的な作品である。 というのは、1番から6番までの、シューベルトが青年期に作曲した作品群は、それ以降のものより編成も小さく、演奏時間も短めで、非常に聴きやすいからだ。そして美しい。 何もグレートが長すぎると文句を言っているのではない。僕だってグレートは大好きである。 […]
シューベルト ピアノ三重奏曲第1番:悲観と楽観の深遠へ

シューベルト ピアノ三重奏曲第1番:悲観と楽観の深遠へ

シューベルト ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 D.898 シューベルトの音楽はその本質的に内気なものが多いというのはよく知られている。 問題はその内面に向けられたシューベルト自身の目が、どういう意図やニュアンスを持っているのかという点である。 ピアノ三重奏曲は、弦楽五重奏曲や後期ピアノ・ソナタなど、後期の傑作群と同じ時期に作曲された。 この後期の作品群に特徴的なのは、とにかく濃厚・重厚・長大で、そ […]
シューベルト さすらい人幻想曲:ピアノを生かすアルペジオ

シューベルト さすらい人幻想曲:ピアノを生かすアルペジオ

シューベルト さすらい人幻想曲 D760 こんな曲は悪魔にでも弾かせればいい、とシューベルト自身が語ったという逸話は有名。 技術的にも表現的にも難易度の高い曲である。 歌曲「さすらい人」のテーマが使われているが、「さすらい人」についてはまた後にゆっくり語ることにして(これもまた語る要素があふれる心打つ名曲であるが)、今回はあくまでこの「幻想曲」について。 この曲が難曲とされている理由のひとつに、ア […]