ジャン=マルク・ルイサダ ピアノリサイタル

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ショパン:14のワルツ


「スーパーピアノレッスン」でお馴染みのジャン=マルク・ルイサダのリサイタル、前からずっと行きたい行きたいと思いつつ、なかなか都合が合わず行けなかったのですが、ついに念願叶いました。しかもプログラムが素晴らしいですね、ルイサダと言えばショパンはもちろんですが、シューベルトの21番とは……。ショパンの幻想曲も含め、僕の大好きな曲をやってくれるので、期待しまくりです。


【ジャン=マルク・ルイサダ ピアノ・リサイタル】
(2018年9月27日、ヤマハホール)
ショパン:4つのマズルカ Op.6
     5つのマズルカ Op.7
     4つのマズルカ Op.17
     4つのマズルカ Op.24
     幻想曲 ヘ短調 Op.49
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960
 アンコール エルガー:愛の挨拶


ルイサダは楽譜を見て弾くスタイルで、マズルカ17曲をまるで家で楽しみながら弾いているのかのような演奏でした。譜めくりの女性もいましたが、曲の途中でめくるときだけ譜めくりの人がめくって、曲の終わりでめくるときは、それはもう美しい所作で、音楽の一部のようにルイサダ自身がめくっていました。なんだが温かい雰囲気で良かったです(笑) ペダルのコントロールがすごい。素人くさいコメントですが、素人なので許してください。右足はもちろんのこと、ミュートの使い方もすごいですね。ああ、これぞショパンの小品、というような癖の強いリズムと耳に残る特徴的な装飾音の処理、堪能しました。


マズルカでサロン的な雰囲気を味わった直後、一気にギアチェンジして幻想曲へ、この魅せ方、持っていき方はさすがですね。マズルカでは炸裂するような強奏は見せなかったわけですが、本当にこのコントラストが巧みです。ルイサダのメッセージを引用すると、


私にとってショパンのマズルカを弾くということは、
ロマン主義の世界の神髄を旅するということであり、
彼の幻想曲を弾くときも同様で、情熱、メランコリー、
憤り・・・などの感情の間を行き来する感じと言うのでしょうか・・・


ということです。模範的なロマン主義を体験したという感覚が大きいです。痺れますね!


休憩を挟んでシューベルトのソナタ21番、これはこれは、なかなか聴けない良いものを聴かせていただいたなあという感じです。徐々に徐々にクラシカルからロマンティックに移ろうような演奏で、目からうろこです。ルイサダのメッセージに


ショパンもシューベルト最晩年のソナタも、私の中では
「さすらい人」というキーワードで繋がります。
このシューベルトのソナタD.960は、死へのさまよい、
そして死後、苦悩から解き放たれ天へ向かう旅の体現だと思うのです。


とありましたが、まさにこういうことなのか、と。最晩年のソナタで、シューベルトの死後の音楽史、めくるめくロマンの世界へと旅立っていくということでしょうか。知りませんが。1楽章はオーソドックスな古典派アプローチ、安心します。第1主題の低音トリルの後のフェルマータも絶妙な間、もうここで涙が出そうでしたね。てっきりこういう解釈で行くのかと思っていたところ、2楽章でちょっとロマン派風のルバートが入って驚きましたが、アンダンテ・ソステヌートですし、そんなに不自然にはならないんですよね。3楽章で「え!」と思うような、急にショパンかシューマンかという、大げさなダイナミクスやアーティキュレーション、特に耳を劈くようなフォルテピアノ、ハイドンのびっくり交響曲かと思うほどの、目の覚める音。考えてみればこれも、スケルツォとしてのあるべき姿の一つなのかなと納得しました。するともう4楽章は完全にロマンティック一直線。テンポ変化も、フレーズごとの表情の変え方も、目の回るような情報量。こういうのこそ、バカの一つ覚えみたいに使われる「フランスのエスプリ」の正しい使い方でしょう。だって絶対、真面目に独墺音楽取り組んでこういう弾き方はできないでしょ。さすがはルイサダ、さすが天下のショパン弾きですよ。


シューベルトの1楽章の終わりで客席から一斉にゴホゴホ咳ばっかりでうんざり、と思ったのは僕だけではないでしょうし、ピアニストが一番イヤだったんじゃないでしょうかね。2楽章からはアタッカで弾いてました。しかも楽章の変わり目でもうすぐ楽譜めくる準備して、即次の楽章へ。「咳休憩」を与えない、ナイス対応でした。アンコールは愛の挨拶。アンコール弾き終わってからのカーテンコールで、ルイサダがピアノの前に行くもんだから、客席はみんなもう1曲やるのかと思ってさっと拍手止めたんですが、ルイサダ照れ笑いしながら、楽譜回収して帰りました(笑) ヤマハのピアノの音にふさわしいシューベルトの表情も見れたので、満足です。ショパンはぜひヤマハ以外のピアノでも聴いてみたいなあ。あと、85年のショパンコンクールプライズウィナー組は、ヤブウォンスキ、小山実稚恵、ルイサダは聴いたので、そろそろ1位のブーニンを生で聴きたいところですね。

ショパン:バラード(全曲)

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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック・ファンです。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、つまりひたすら聴くだけ。演奏することにはほぼ興味・情熱はありませんが、それでもときどきピアノを弾いたり、バンドでドラムを叩いたりシンセサイザーを演奏したり、あるいは作曲・編曲をしたりします。more

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