モーツァルト序曲集(クラシック・マスターズ)


サー・ネヴィル・マリナーが、手兵アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズを率いて、最後の来日公演をするということで、期待に胸膨らませて聴きに行って来ました。なんせヴォーン=ウィリアムズをやるということで、RVWファンの僕にとってはワクワクが収まりません。まあ、マリナー&アカデミー室内管というと、膨大な数の録音があってクラシック音楽ファンなら誰しも一度は聴いたことがあり、そのどれも安定のクオリティで中庸の美を保ち、まあイジワルな言い方すれば常に可もなく不可もなく、といったイメージを抱きがちなんですが、ライブだとどんなものなのか、それも楽しみの一つでした。


【マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団 来日公演】
(2016年4月9日、東京オペラシティコンサートホール)
プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調 作品25「古典交響曲」
ヴォーン=ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
アンコール
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
ダニーボーイ(ロンドンデリーの歌)
指揮:サー・ネヴィル・マリナー


まずは古典交響曲、始まってすぐにマリナー&アカデミーらしい、各声部が生きたクリアーな響きが心地良いです。少人数だからこそなせる精密なアンサンブル、オーケストラの壮大さ、その良いとこ取りが上手くできていて、これぞ我々の想像通りのアカデミー室内管といったところです。後半になると、亀仙人みたいな顔したフルート奏者(Michael Coxさん)が大暴れしていて、まるでフルートコンチェルト(笑)本当に、赤いフレームの眼鏡だったので、ものすごく亀仙人っぽかったですね。勿論フルートはめちゃ巧いですよ。僕の大好きなヴォーン=ウィリアムズのタリスの主題による幻想曲、これも良かったですね。アンサンブルの上手さといい、各ソロの渋い歌の魅力といい、文句なしでした。英オケで聴くRVWは最高です。


メインのベートーヴェン第7、驚くべき気合い。マリナーから何かとてつもないオーラが出ているかのような。いやあ、こんな小規模のオーケストラで、どうやったらこんな大迫力が出るのか、びっくりぽんですね。渾身、気迫のベト7では、さすがに暴れん坊の亀仙人フルートも押され気味(というかちょうどいい)なほど。アカデミー室内管がこんな音を出すとは、予想だにしていませんでした。アンコールでは「なんとなくモーツァルトが聴きたいなあ、モーツァルトやってくれるよね、フィガロとか」なんて思っていたら見事に的中してしまったフィガロの結婚。このモーツァルトですよ、慣れ親しんだモーツァルト。そして、予想外のアンコール2曲目、ダニーボーイ。英オケでイギリス音楽聴きたいですし、聴衆の求めているものをよく理解してらっしゃるなあと。心の底から我が歌を歌う、というような、熱いロンドンデリーの歌で、大満足でした。


中庸の美はまさしくその通りといった演奏でしたが、こんなにもフレッシュでビビッドな音、本当に驚きました。素晴らしいオーケストラと、それを創り上げてきたマリナーにブラボーです。本当に良い演奏会でした。

モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」&第41番「ジュピター」
マリナー(サー・ネヴィル)
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