バーンスタイン : ワンダフル・タウン / サー・サイモン・ラトル | ロンドン交響楽団 (Bernstein : Wonderful Town / Sir Simon Rattle & LSO) [SACD] [Import] [日本語帯・解説付]


なかなか良いプログラムを引っさげてやって来たな、という印象で、ツィメルマンとのバーンスタイン「不安の時代」という日もあれば、ヤナーチェクのシンフォニエッタ、マーラーの9番など、気になるところも多かれど、唯一行ける土曜のマチネに参戦。千秋楽ですね。ラヴェル、シマノフスキ、シベリウスという、これも良いプログラム。ラトルを聴くのは2016年のベルリン・フィル来日以来2年ぶり、ロンドン響は2015年のファイナルシンフォニー以来、あれは本当に良かった……ブログに感想書いてないけど。クラシックを聴くのは2013年ハイティンク指揮来日公演以来。ついこないだのような気がしますが、5年前か。月日が経つのはあっという間。


【ラトル指揮ロンドン交響楽団 来日公演】
(2018年9月29日、サントリーホール)


ラヴェル:マ・メール・ロワ
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番(ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン)
 アンコール ラヴェル:ハバネラ形式の小品(ピアノ:サー・サイモン・ラトル)
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82
 アンコール ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 Op.72-7
指揮 サー・サイモン・ラトル


まず何よりも、ヴァイオリンのジャニーヌ・ヤンセンが素晴らしくて感激です。これは参った。重く濃い音から軽やかでスマートな演奏まで、こんな良いもの見れたら降参ですという感じ。曲が良いのもあるんですが。シマノフスキ、これは抜群に良いチョイスでした。うっかりベトベンやチャイコを持ってこないで、いいトコ突いたなあと。アンコールはラトルがピアノ伴奏を弾くサプライズ。下手奥の打楽器の横のピアノでデュオ。ナイスなファンサービス、P席にいた人ラッキーだなあ、最高の席でラヴェルのハバネラ形式の小品を聴けましたね(笑)


オケの方のラヴェル、1曲めのマ・メール・ロワ、かわいくて好きな曲ですが、なんとまあ、渋い音(笑)もっとロンドン響は華のある音色も出せたと思うんですが、どうなんでしょうか。1曲めでしたので、「あ、今回はこういう感じなんだ……」と、ちょっと頭を整理して聴き直しました。弱音の研ぎ澄まされた極限的小ささなんかは思った通りのロンドン響でしたが、全体的に精彩を欠くぼんやりした音。渋いのはわかるんですが、なんか今ひとつ足りない。というかコンマスのシモヴィッチがひどい。何回ソロの後首かしげたのか。クソみたいなソロ弾いて。オーボエのコッホも。頼むよマジで。マーラーのプロ終わったから今日は消化試合だったのかな?


と、マ・メール・ロワは僕の理解を超えた芸術だったのですが、シマノフスキは先も書きましたが素晴らしかったですね。オケもよく食らいついていました。それこそ、ベルリン・フィルならもっと出来たでしょうが、そんなこと言っても仕方ない。まあ僕はロンドン響でももっとできると思って期待していましたが。後は別件ですが、演奏後に握手で手を差し出した美女ヤンセンにハグで答えた罪深いシモヴィッチはソロの不出来と合わせて反省文2枚提出だな。さらに別件ですが、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲はタンバリンが大活躍するんですが、1回ロールするごとに指ペロしてるの(ナイル・パーシーだったでしょうか)、やはりおじさんの指ペロは、新聞めくるのもそうですが、あまり見栄えの良いものではないですね(笑)しかし大変なんですよね小さい音のロールの連続、お疲れ様でした。


メインのシベリウスも、ド頭からホルンが外してどうなることかと思っていました。さらにトランペットも出で外す。おいおい。心配しましたが、その後はなんとか持ち直しました。ここでもオケの震えるような弱音は冴えていましたね。ファゴットの長いソロ、本当に素晴らしい。合奏フォルテもさすがに(曲のおかげもありますが)、前2曲よりはずっと響く。おお、これだね、と。アンコールはスラブ舞曲。これも普通。なんとか最後までやりきったぞという感じ。それにしても、なぜか全体が上手寄りの配置なのは何か意味があるのだろうか。わからん。


アンコール前のラトルの挨拶と退団するレノックス・マッケンジーへの花束贈呈のアナウンス、ラトルは上手な日本語で話して盛り上げました。オーラスなのとラトル人気でしょうか、一般参賀あり。舞台に戻って来たラトルが、片付けで舞台に残っていたティンパニのナイジェル・トーマスを称えたのは面白かった。ナイジェルも思わず苦笑い。


まだまだラトルとのタッグはこれからなのか、プログラムがヴァラエティ豊か過ぎたのか、あるいはコンマスの所為か、知りませんが、僕の数少ない生演奏の体験だけで言えば、ラヴェルはロイヤル・フィルの来日(2013)の方がずっと感動したし、シベリウスはフィルハーモニア管の来日(2015)の方がずっと良かった。でもロンドン響は好きなので、ライブも録音もこれからも聴きますよ。ラトルが就いてまずますプログラムも凝ってくれるんだと思いますが、英国作曲家の音楽ファンとしては、ぜひそれも頼みます。マーラーとかベートーヴェンとかも結構ですが、来日したらまだまだ日の目を見ないイギリスの名曲をやってください。