ル・コルビュジエ展 記念コンサート vol.1 佐野隆哉

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Douze Études


今年の東京・春・音楽祭は、全くもって行けると思っていなかったのですが、たまたまこのミュージアムコンサートのみ行けそうだったので、行ってみることにしました。イタリアのドンが幅を利かせる(適当)春祭でフランスものというのもあれですが(嘘です)、それこそ10年近く前の春祭で聴いたフランスものは大変素敵だったので、そんなことを思い出していました。


【「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ」展 記念コンサート vol.1 佐野隆哉(ピアノ)】
(2019年3月25日、国立西洋美術館)

サティ:ジュ トゥ ヴ
《6人組のアルバム》より
1.オーリック:前奏曲
2.デュレ:無言歌
4.ミヨー:マズルカ
6.タイユフェール:パストラール
オネゲル:ショパンの思い出
プーランク:《ナゼールの夜会》
アンコール プーランク:愛の小径


1920年代のパリがテーマということで、サティ、オーリック、デュレ、ミヨー、タイユフェール、オネゲル、プーランクという、これまたシャレオツな名前がずらり。ということで、国立西洋美術館内の会場は、マダムで溢れかえっておりました。僕の周り全方位がマダム。すごい。僕がマダムキラーだったら会場殲滅させてますね。まあ冗談はともかく、まだ満開ではないですが桜も咲き始めた上野で、天気も良くて、コンサート日和です。


定刻になり、さあ始まるぞと思いきや、国立西洋美術館の副館長である村上博哉さんが出てきて、まずはル・コルビュジエ展のお話がありました。内容はとても興味深く、面白かったのですが、さあこれからピアノが聴けるわと思っていたマダムたちには不意打ちだったようで、しかも話が結構長かったから(20分って言ってたのに30分近く話していた)、かなり皆様寝落ちしておられましたね。僕も、簡単な解説やル・コルビュジエとの話を挟みつつ演奏があるのかなーなんて思っていたら、ガッツリ話の後にようやく演奏でしたから、ちょっと面食らってしまいました。


しかし、眠そうなマダムは置いといても、話の内容も面白く、このお話の後にフランス6人組の音楽を聴くというのが、個人的にはとても良かったですね。展示内容に沿ったお話でしたが、ル・コルビュジェがどうしてピュリスムを提唱していくに至ったのか、第一次大戦後のフランス芸術はどうあるべきかと考えたのか、つまりロマン主義的ではなく、近代芸術は秩序と調和に基づくべきであり、シンプルで幾何学的な素材で表現すべきである、そしてこれはまた偉大な時代、古代ギリシアの芸術にも通ずるのだ、というル・コルビュジエらが『エスプリ・ヌーヴォー』誌で論じていったものを紹介し、さてでは同時代の6人組の音楽はどうか、という流れ。もっとも、音楽については詳しくは語っていませんでしたが、それは聴いてねということですね。


コルビュジェのピュリスムが「キュビズム以降」という歴史の流れの中にあるのと同様に、フランス音楽もサン=サーンスやフォーレというロマン主義の巨星が作り上げたという歴史あっての6人組の独自性である、という流れを意識しないと、我々現代日本人は、なかなかそのあたりのフランス音楽を「純粋化」や「秩序と調和」なんていうフレームワークで解さないですよ。あまりに遠い国、遠い時代の話のですから。でも、まあこういう説明があれば、プーランクでもオーリックでも、リズムの反復やシンプルなモチーフの規則性を特に意識して聴けますし、実際に佐野さんの演奏も、かっちり切れ味鋭い演奏で、知的好奇心的にもかなり楽しんで聴けました。ナゼールの夜会は圧巻でした。世界作ってるなあ……。が、しかし!結局客ウケ(主にマダムの方々)は、圧倒的にジュ・トゥ・ヴであり、愛の小径なんですねえ。芸術の道ってのは険しいですねえ、ル・コルビュジエのピュリスム絵画も全く売れなかったって村上さんも話してましたが、さもありなん。


でもお陰様で、良いお話と良い演奏で、フランスのエスプリには触れられました。これはフランス音楽家を褒めるときにやたらと常套句として使われるアレではなく、言葉通りの意味の、1920年代フランス音楽家たちのエスプリ。彼らのエスプリが、何があったから何に対してどのようにヌーヴォーであったのか、少しわかりました。なおこのチケットでル・コルビュジエ展自体も入場できる、お得なチケットです。この写真は撮影可のところを撮りました。確かにいつも特別展って新館でやってましたが、今回はル・コルビュジエにちなんで、ちゃんと彼が設計したとこでやってるんだそうです。

佐野隆哉: Danza-liszt, Ravel, Ginastera, Poulenc, Saint-saens, Chopin
ピアノ作品集
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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック・ファンです。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、つまりひたすら聴くだけ。演奏することにはほぼ興味・情熱はありませんが、それでもときどきピアノを弾いたり、バンドでドラムを叩いたりシンセサイザーを演奏したり、あるいは作曲・編曲をしたりします。more

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