ベートーヴェン:管楽器とピアノのための作品


良い席が安く手に入ったのでルンルン気分でオペラシティへ。えらく久しぶりにHUBのエールを飲んで、心も体も準備万端です。


【レ・ヴァン・フランセ 来日公演2016】(2016年10月24日、東京オペラシティコンサートホール)
エルサン:復活祭の歌〔レ・ヴァン・フランセのための新作/日本初演〕
ベートーヴェン:五重奏曲 変ホ長調 Op.16
マニャール:五重奏曲 Op.8
プーランク:六重奏曲
アンコール テュイレ:六重奏曲よりガヴォット


レ・ヴァン・フランセ
エマニュエル・パユ(fl)
フランソワ・ルルー(ob)
ポール・メイエ(cl)
ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(hr)
ジルベール・オダン(basson)
エリック・ル・サージュ(p)


前半がフィリップ・エルサンという現代の作曲家(ジョリヴェの弟子ですね)の委嘱新作と、ベートーヴェンの古典。エルサンの曲はオープニングにしては静的で、旋法と変奏で聞かせる作品だったので、ダンディなおじさまたちがブイブイ吹くのを楽しみにしていた我々(というか多くの若い女性ファンたち)は肩透かしを食らったでしょう。イマイチの盛り上がり。若かりしベートーヴェンの五重奏曲は、モーツァルトの五重奏から影響を受けて作った曲というのもあり、また同時に彼らレ・ヴァン・フランセがドイツものをゴリゴリに吹くわけもなく、まさに「ベートーヴェンの上澄み」とでも言わんばかりの、ほんのりベートーヴェン風な木管サウンド。眠かった……(笑)。25分くらいでしたかね。いやあ体感時間長かったなあ。


休憩を挟んで、マニャールとプーランク、お国ものでロマン派と六人組ですから、ここからが本領発揮でしょう。アルベリク・マニャールはヴァンサン・ダンディに学んだ作曲家で、「ドイツ後期ロマン派を思わせる陰影の濃い感情表現」などと書いてありましたが、確かに雰囲気としてはドイツっぽさや或いはラフマニノフっぽい感じもなくはなく、しかしやはり根っからのおフランス色全開ですね。フランクやショーソンを思わせる重音の響きに、半世紀後に生まれたジャン・フランセも真っ青の洒脱さ。こんな名曲がまだ世の中には隠れているもんですね。またそれを完璧超人たちが楽しそうに吹くのを見て、もう開いた口が塞がりませんでした。ホントにミスしないんですね……素人の僕が認識できるのはせいぜいル・サージュが少しだけミスタッチするくらいで、あとは何もわかりません。いやあそれにしても、マニャールのときのル・サージュのピアノは本当にすごかった。こんなにも多彩な音色、もうハープが見えましたよ(笑)。35分くらいある長い曲なんですが、最初から最後まで、完全に彼らの世界に引き込まれてしまいました。


プーランクはもう十八番すぎて逆にコメントも出ません。プーランクの室内楽全集で六重奏曲のメンバーがホルンを除けばほぼレ・ヴァン・フランセそのものですので、よく聞いているものですが、なんだかあまりにもあっさり演奏できるもんだから、これはもう「挨拶」程度なんでしょう。別に構いません。プーランクの小品はそういう演奏も似合います。アンコールもかわいい曲で憎い演出です。


全員超人的に上手いのですが、特に印象深いのはオーボエのルルーですね。プーランクの全集くらいしか聞いたことありませんでしたが、まあこの人のオーボエは本当に魔法のような音が出ます。僕はもっとメイエがグイグイ引っ張るのかと勝手に思っていましたが、ルルーとパユがブイブイ吹いて、それを冷静に支えるメイエとヴラトコヴィチとオダン、という印象でした。メイエって案外クールなんでしょうか、あの甘いマスクでクールとはけしからんですね。まあまあ、パユがグイグイなのはともあれ、ルルーのオーボエはすごかった……。僕の語彙では「すごかった」が限界です。


こんなに若い女性客が多いコンサートも久しぶりでした。学生さんも大勢いたことでしょう。サイン待ちの大行列も女性ファンがずらり。モテたい男子諸君は管楽器をやりましょうね。

管楽器とピアノ~レ・ヴァン・フランセの真髄 管楽器とピアノ~レ・ヴァン・フランセの真髄
レ・ヴァン・フランセ,カプレ(アンドレ),プーランク,ファランク,ルーセル,モーツァルト,トゥイレ,リムスキー=コルサコフ,パユ(エマニュエル),メイエ(ポール),ルルー(フランソワ)

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