一宮市消防音楽隊の第35回定期演奏会に行って来ました。名古屋から東海道線に揺られ、尾張一宮駅へ。この駅はデザインが凝っていて、とても綺麗な建物でしたが、2013年度のグッドデザイン賞を受賞していたんですね。そこからタクシーで数分、会場の一宮市民会館へ。日帰りの弾丸ツアーでしたが、それでも来て良かったと思える、楽しい演奏会でした。プログラムは以下。


長生淳:輝く若葉
ヘス:グローバル・ヴァリエーションズ
真島俊夫:3つのジャポニスム(コンポーザーズ・エディション)
鈴木英史:信長 〜ルネサンスの光芒
伊藤康英:吹奏楽のための抒情的「祭」
伊藤康英:津軽三味線協奏曲(一宮市消防音楽隊2013年委嘱初演作品)
「千と千尋の神隠し」ハイライト
ディープ・パープル・メドレー
 津軽三味線独奏:山口晃司
 司会:白井奈津(ラジオDJ)
 指揮:鈴木竜哉


テーマは「世界の中の日本」ということで、工夫したプログラムになっていますね。全体として「和」のイメージが強いという感想で、久しぶりにこういう日本の吹奏楽を聴く楽しみを味わいました。長生淳の曲は、指揮者さんいわく「最近の日本吹奏楽界において、一番脂がのっているであろう作曲家」だそうです。僕はあまり詳しくないのですが、面白味のある和声の使い方をするんですね。調性感はあるけど解決しない感じ、こういうの嫌いじゃない感じです。高田三郎とかフランセとか、気の利いた小洒落た和声の使い方に似ていますね。ヘスの「グローバル・ヴァリエーションズ」は、僕も以前演奏したことのある曲で懐かしかったです。打楽器は大忙しなんだよな……(笑) 鈴木英史の「信長」は、初めて聴きましたが、西洋音楽を日本で初めて聴いた武将とされる信長が、馬に跨った姿や、西洋音楽に触れて感動する様(ちなみにジョスカン・デ・プレの曲だそうです)が描かれていて、面白かったですね。


「信長」の後に休憩があったのですが、幕間で消防隊の人たちによる「平成予防太鼓」なる和太鼓の演奏があり、ここではこってりとした和の雰囲気。その後の、救急訓練のような寸劇もあり、こちらは会場大ウケの、体育会系のノリで楽しい寸劇でした。


さて、一番楽しみにしていたのは第2部の伊藤康英「津軽三味線協奏曲」、これは何とも、聴く価値のある作品だったと思います。協奏曲の前に、こちらも吹奏楽の名曲、同じく伊藤康英の抒情的「祭」で青森の音楽をやった後の、津軽三味線の登場。良いですね~。この協奏曲は、三味線のロック的な激しさと、「音合せ」それ自体が音楽の一部になっているという点を、上手く取り入れた協奏曲で、なかなか西洋楽器の協奏曲には真似出来ない稀有な音楽だと思います。つまり、ソリストが楽章間でチューニングをし直すようなことを、それもまた三味線特有の音楽の在り方なのだとして敢えて曲として(そういうカデンツァとして)提示しているんですね。そこが面白かったですよ。まあ、津軽三味線の大名人である高橋竹山大先生は、「調弦すらできない奴に三味線を弾く資格なんかない」と言っていますが、仕方なくずれた音を直すという意味の他に、この協奏曲では、「三下り」という異なる調弦にする必要があり、そのための音合せもまたカデンツァなのです。


「三味線がロック」だというのは、長年の邦楽のファンの方はどうか知りませんが、僕なんかはむしろ吉田兄弟とかしか知らなくて「おー三味線もかっこいいじゃん」なんて思うような人であって、そういう人も多いとは思うので、まあまあ認知度としては普通だと思うのですよ。最近は2CELLOSがチェロ2本でバリバリロケンロールやってますが、別に弦楽器でロックなんてごく当たり前の時代です。だから、単に三味線がロックしたところで、三味線の協奏曲として面白味なんてないんですよね。そういう意味では、この曲は、最後の方がまるで矢代秋雄の交響曲のスケルツォのような変拍子と、ロックテイストな音楽とが、丁度半々くらいのバランスで現れ、あまり安っぽい音楽にならなかったのが、さすが一流作曲家先生だなと感心した次第なのであります。


三味線奏者の山口さんも、なかなかポップなノリで、トークも面白かったですよ。協奏曲終わった後にはガッツポーズしてました(笑) その後、ポップス2曲も弾いてましたが、これはどうなんでしょうね。ディープ・パープルのソロや、アンコールの独奏、速弾きが盛り上がっていたので、やっぱり聴衆としてはそういうのを求めてるんでしょうね。単音の旋律を吹奏楽と一緒に弾くのはあまり求められてないのは、当然っちゃあ当然か。まあ、津軽三味線の大名人である高橋竹山大先生は、三味線は叩くものでなく弾くものだと言っていますし、メロディー歌うのも良いんですが……(笑) 音数の少ない減衰楽器が歌うのに適したメロディーと、そうでないものがあるということですか。エフェクター付けたりしたら本末転倒だしね(笑) とまれ、協奏曲はブラヴォーでした。これは吹奏楽ファンなら、好き嫌いはあるでしょうが、一聴の価値はありそうです。


なんだか久しぶりに、上手な吹奏楽の演奏を聴いた気がします。嫁さんも吹奏楽をやっていたので、とても楽しんだようです。帰りはあまり時間もなかったので、名古屋でエビフライと味噌カツときしめんが全部セットになっているのを食べました。味噌カツのこのタレがあれば、カツってなくてもいいんじゃないかな、なんて風にも思いました。なのでおみやげに味噌ダレを買って帰りました。

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