井上道義指揮新日本フィル 定期演奏会 ルビー第23回

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ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」


井上道義指揮によるオール・ショスタコーヴィチプロ、これは期待だぞとチケットを取りました。錦糸町に来たので、以前ネットで見てから一度食べてみたかった麺魚さんの真鯛らーめんを食べました。これがうまい。もうめっちゃ鯛、鯛、鯛って感じでした。錦糸町パルコのカフェテリアにあるんですが、ここ良いですね。きれいだし、美味しそうなの色々。名前も「すみだフードホール」だし(笑)


【井上道義指揮新日本フィル 定期演奏会 ルビー第23回】
(2019年6月28日、すみだトリフォニーホール)
ショスタコーヴィチ ジャズ組曲第1番
ショスタコーヴィチ 『黄金時代』組曲 作品22a
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調 作品47
アンコール ショスタコーヴィチ バレエ「ボルト」作品27より荷馬車引きの踊り
指揮:井上道義


素晴らしい名演だったと思います。ジャズ組曲と黄金時代の間の舞台転換の時と、5番が始まる前の休憩のラストと2回もミッチーの解説トーク(というか漫談)付き。この話がとても面白かったですね。中でも、


ミッチー「今日は3階席が多いですね」
ミッチー「皆さんの黄金時代っていつですか、今って人はおかしい、大体過去なんですよ。皆さん今が黄金時代ですか?今はシルバーじゃないですか」


いやいや、綾小路きみまろか(笑) 笑わせていただきました。もっとも、ちゃんとした音楽の話もありましたよ。アヴァンギャルドの時代、ソビエトでハワイアンギターやバンジョーを入れた曲を作った作曲家のすごさ、黄金時代のスコアの表紙は金ピカだということ、ミッチーが交響曲第5番をずっと好きになれなかったこと、この曲で言いたい「気をつけろ!」のメッセージ、カルメンの音型や長調と短調の存在、色々なことをユーモアを交えて、ピアノも弾きつつお話ししていました。


ジャズ組曲1番、小編成を指揮するミッチーの華麗なる舞、ハワイアンギターを見せる際にスマートに譜面台を動かしたり、突然花を持ち出したり、面白かったですね。黄金時代のただただ楽しいと語る音楽を、目一杯の楽しい音楽として演奏してくれました。


メインの第5番も良かった……。「不倫相手の名前だのなんだのとあるけど長調と短調があるだけ、それだけです」と言い捨てるように語った直後の演奏、不要な脚色はなし、楽譜にあるものが全てだという意思のあるい演奏で、とても心打たれました。僕は高校生の頃、バーンスタインの録音でこの曲を知りました。おそらくこれは大衆迎合的な演奏でしょう。ミッチーが「今までこの曲を好きになれなかった理由は、聞いた演奏がみんなダメだったからだ」と言っていましたが、僕も思わずなるほどと頷いてしまう、説得力のある言葉・演奏でしたね。重厚な4楽章のテンポからも、音楽へのシビアさを感じました。こうすることでしか表しえないものがありました。シロフォン1音出が遅かったのも許しましょう。素晴らしい音楽でした。


なお会場の大半を占める黄金、ではなくシルバーの方々の中には、第5番の3楽章はお昼寝タイムの方もいらっしゃいました。でも4楽章が始まると、有名ですし、皆さん続々と頭を上げ出すんです、ですが、上述したようなシビアな解釈で、極北的な演奏の方向性だったもので、せっかく上がったシルバーの方々の頭が、彼方此方で一つまた一つと落ちて行くのも、面白かったです。芸術ってのは難しいものです。ミッチー、やっぱりこの人は色々変わってるけど、すごい人ですね。前半のコミカル曲での指揮姿も、音楽に真摯でありつつ笑いも取れるトークも、確かに一流のエンターテイナーでした。しかし後半の第5番の妥協の無さ、大衆迎合しないシビアさもあって、うーん、とても良かった、良かったしか出ないです。ご自身で「ショスタコーヴィチの二面性がはっきりしてるところが好き」と言っていたのが、まさしくその通りといった演奏会だでしたね。選曲も、トークも、演奏も、その通りでした。


アンコールも言わずもがな。今回は開演前にコンマス崔さんとハープの見尾田さんのロビコンも聴けました。間近でハープの調弦や演奏中の手元を見れたのは面白かったです。


なおここからは全くの余談ですが、ショスタコーヴィチの5番に関して前々から気になっていた「人格の形成」という表現について、オヤマダさんがライナーで触れていました。ソースは書かれていないので詳しくは謎ですが、やはりどこかにあるのは確か。この件はネットでは(僕がこのブログで2013年に書いたもの以外で)ほぼ見当たりません。と思ってたんですが、一応終演後にググったら、なんとN響の2018年1月公演(広上指揮)の解説にありました。書いたのは中田朱美氏。ヴラーソフの証言とありますが、いやヴラーソフって誰だよ……(笑) いかんせんはっきりしたソースの表記はなく(そもそも求める人もめったにいないよね)、多分作曲家のウラジーミル・ヴラソフ(1903-1986)のことでしょう。中田朱美氏は2015年2月のN響公演(P.ヤルヴィ)の際にも解説を書いており、その時はこの件に触れていません。「僕は2013年にもうブログに書いてたもんねー!」なんて息巻いていたら、なんと2003年の東芝フィルの曲目解説のページに発見しました。すごい。だってここ日本だよ?オタク共の世界は深いねえ……。まあとりあえず、N響解説に学者が書いていれば、しばらくは安心でしょう。ネットの海に存在する貴重な情報はどんどん消えてきます。学者先生はこういうほっといたら消えるオタク情報を、きちんと整理して、世に末永く残す活動を頑張ってください。オタクたちが産み落とした宝の山だったジオシティーズはもう無くなってしまったんだ……。

ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
井上道義(指揮)大阪フィル
オクタヴィア・レコード (2014-11-21)
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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック・ファンです。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、つまりひたすら聴くだけ。演奏することにはほぼ興味・情熱はありませんが、それでもときどきピアノを弾いたり、バンドでドラムを叩いたりシンセサイザーを演奏したり、あるいは作曲・編曲をしたりします。more

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