前橋汀子 ベスト・コレクション


雨がしとしとと降る中、神谷町駅前の上島珈琲店でアイスコーヒーを嗜みつつ、スナイダーの弾くショーソン詩曲を聴いてわくわくを高め、いざサントリーホールへ。それにしても、チケットも大変良心的な価格でしたし、プログラムも珠玉の名曲ばかりということで、会場はマダムの方々でごった返していました。僕の隣の席のマダムも「良いお席ですわね」なんつって、マダムな口調でお話しされていましたわ。


【前橋汀子 アフタヌーン・コンサート Vol.11】
(2015年6月21日、サントリーホール)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24「春」
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
ヴィエニャフスキー:モスクワの思い出
クライスラー:ウィーン奇想曲
パガニーニ(クライスラー編):ラ・カンパネラ
ショーソン:詩曲
マスネ:タイスの瞑想曲
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ 作品28
アンコール
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
モンティ:チャルダッシュ
エルガー:愛の挨拶
ヴァイオリン:前橋汀子
ピアノ:松本和将


ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを聴くのは実はかなり久しぶりでしたが、「春」の旋律の美しさ、もちろん前橋さんの繊細な演奏あってのことですが、いつ聴いてもはっと息をのむほど美しいですね。久しぶりにCD出して聴きたくなりました。ベートーヴェンも良かったのですが、それ以上にフランクが圧巻でした。テンポもゆっくりめに構えて、ホールの隅々に音の響きを一つ一つ丁寧に届けるような演奏でしたね。特に3楽章は、一瞬別の曲かと思うほどに遅く、ヴァイオリンはもちろんピアノの音も一音入魂が伝わってきます。この演奏(演出・解釈)はライブならではでしょう。前橋さんは2楽章くらいからどんどん神がかって行きました。しり上がりに音色も煌めき出して、4楽章も渾身の演奏。素晴らしいフランクでした。休憩時に飲んだビールもいっそううまい!


そういえば、サントリーホールのビールはプレモル500円なのですが、できればプレモルでなくてモルツをですね、400円くらいで出してもらえると嬉しいんですがね、いかがでしょう。


それはさておき、後半のはじめに皇后美智子様が鑑賞にいらしてびっくりしました。2階席上手側でご台覧され、後半の1曲目と2曲目は、不思議と咳をするお客さんの数が減ったような(しかし3曲目のショーソンで再び咳こむ方急増。ショーソンなめてんのか!)。前半は繊細で丁寧なヴァイオリンを聴かせてくれた前橋さんは、後半の小品群でぐっとギアチェンジし、パワフルで情熱的な演奏。気合が入り過ぎているのか、ウィーン綺想曲の冒頭が上がりきらないほどでしたよ(笑) 全体的にテンポも軽快でテクニックを披露されていました。さて、僕の大好きな曲でこの日もっとも期待していたショーソンの詩曲も、静謐に燃える炎のごとき熱演。いやはや良いショーソンでした。アンコールも4曲で大満足のボリューム。愛の挨拶で終わるとっても後味の良いコンサートです。


こんなに素晴らしい演奏が、こんなに良いホールの良い席でとっても安いお値段で、アンコール4曲つきとはサービス精神旺盛ですね。カジモトさーん、この調子で来日オケもサービスしてくださーい。

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