小澤征爾ベスト・セレクション


サントリーホール30周年記念コンサートということで、おそらくこの10月1日と2日に行われた世界中のコンサートの中で、東京の本公演が最も豪華なメンバーだったことは間違いないでしょう。小澤征爾とメータがウィーン・フィルを振って、ムターとヘン・ライスがソリストをつとめるなんて……東京はおっかないところだ(笑) 僕は2日の方に行きましたが、1日は安倍首相も聞きに来ていたんですね。各界のお偉いさんや音楽関係者も多く来ていたようです。まあ、私には関係ない話ですが。


【サントリーホール30周年記念ガラ・コンサート】
(2016年10月2日、サントリーホール)
第一部
モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』K492から 序曲 …(M)
シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 D759 「未完成」 …(O)
第二部
武満徹:ノスタルジア ―アンドレイ・タルコフスキーの追憶に― …(O)
ドビュッシー:交響詩『海』-3つの交響的スケッチ …(M)
第三部
J. シュトラウスII:オペレッタ『ジプシー男爵』から 序曲
ワルツ『南国のバラ』 op. 388
アンネン・ポルカ op. 117
ワルツ『春の声』 op. 410
ヘルメスベルガーII:ポルカ・シュネル『軽い足取り』
J. シュトラウスII:『こうもり』から「チャールダーシュ」
トリッチ・トラッチ・ポルカ op. 214
第三部 全曲 … (M)
アンコール
レハール:オペレッタ『ジュディッタ』から「私の唇にあなたは熱いキスをした」
クライスラー:ウィーン奇想曲 op.2
J.シュトラウスⅡ:ポルカ・シュネル『雷鳴と電光』 op.324
(M)=指揮:ズービン・メータ  (O)=指揮:小澤征爾
ヴァイオリン:アンネ=ゾフィー・ムター
ソプラノ:ヘン・ライス
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


正装コンサートを謳っており、皆さん素敵なお召し物で、ホールにはお花がしつらえてあって、なんとも華やかできらびやかな雰囲気です。まずこんな素敵な場に立ち会えたことを幸運と思いましょう。そして、プログラムの素晴らしさに感心しましょう。モーツァルトとシューベルト、ウィーンの古典派を代表する作曲家の名曲を、「メータがモーツァルト」、「小澤がシューベルト」をやる、良いじゃないですか。これもし逆だったら大騒ぎですよ、誰が小澤とウィーンという組み合わせのモーツァルトなんて聞きたいんだ、でも怖いもの見たさでちょっと気になる!なんてことにならず、コンサート開始から王道を聞かせてくれる良いプログラムです。そういえば昨年はエッシェンバッハがウィーン・フィルの来日を振りましたが、そのときもアンコールにフィガロの結婚でしたね。いやはや、真逆もいいところ、まあ緩い緩い、これほど緩いモーツァルト、これが聞きたかったんです。大満足。小澤さんも渾身の未完成でした。いつも駆け足で指揮台に上りますが、そろそろ倒れてしまなわいか、見てて本当に心配になります。


二部は小澤指揮とムターのヴァイオリンで武満。2016年は武満徹没後20周年だそうです。この記念すべき年に、小澤とウィーン・フィルが武満をやるということ自体に意味がありますね。ムターのヴァイオリンも素敵でした。個人的にはアンコールのウィーン綺想曲の方がずっと満足ですが、まあそれは良いとして、武満に加え、ドビュッシー「海」という、すぐにあの北斎の絵が思い浮かぶ楽曲を持ってくるあたり、第二部の「日本」というテーマに思わず笑みがこぼれます。ああ、ありがたや、ありがたや(笑) メータのドビュッシーなんて聞いたことないですし、ウィーン・フィルのドビュッシー「海」だって、マゼールくらいでしょうか。そういう意味では小澤の武満よりずっとこっちの方が希少価値が高いのでは?なんて思いながら聞いていました。ウィーン・フィルのあの年季の入ったシンバルで聞く海は新鮮ですねえ。生演奏だとデュトワ&RPOの演奏が記憶に新しいのですが、メータ&WPhの演奏は、もはやドビュッシーというより、R・シュトラウスのような響きでした(笑)


第三部、ここからはメータとウィーン・フィルによるシュトラウスファミリーのコンサートです。良いですね、メータのシュトラウスは古き良きウィーンの香りです。やはりある程度の緩さが必要不可欠なのです。しかも、定番名曲がズラリで、逆にこうなるとニューイヤーでは聞けないですね。アンネン、春の声、トリッチトラッチ、雷鳴と電光、こんなド定番ばかりの並びは、かえってレコードか何かでなければお目にかかれません。アンコールではヘン・ライスがレハールを歌い、ムターが艶やかにウィーン綺想曲、そして最後の雷鳴と電光では小澤征爾も再び登場し、メータと一緒に2人で上っていました。2人して座り込んだり、こそこそ何か話し合ったり、お茶目でしたね(笑) フィニッシュにはキャノン砲で金のテープが舞い、とにかく豪華絢爛、黄金のウィーンに浸る時間、といったところでした。


ガラコンサートでなければ、またサントリーホールでなければこんなプログラムは不可能だったと思いますし、今度は40周年まで待たないとですね。このコンサートの直後にサー・ネヴィル・マリナーの訃報を聞いたので、今回指揮したお二人も齢80を超えていますし、いつまでもお元気で音楽を届けてもらいたいものです。

小澤&ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 2002 小澤&ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 2002
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 小澤征爾,小澤征爾,J.シュトラウス,Jo.シュトラウス,J.シュトラウス(1世),ヘルメスベルガー,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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