伊福部昭:全歌曲


お世話になった打楽器の先生が出演なさるということで、急でしたがチケットを用意していただき、ティンパニ・リサイタルという初体験の演奏会に行ってきました。


【永野哲 ティンパニ・リサイタル in 東京’14】
(2014年9月9日、すみだトリフォニーホール小ホール)
ベック:ティンパニ・ソナタ第3楽章/《ティンパニのための3つのエピソード》より第2楽章/《5台のティンパニのための3楽章》より第3楽章
カーター:《8つの小品》より
三村恵章:「Waving Mode」 2人の打楽器奏者のための
伊福部昭:アイヌの抒情詩による対話体牧歌
中村滋延:大地よ、私を受け止めて-女声とティンパニ、打楽器による音詩-
アンコール
フィンク:インプレッション
八木節
永野哲(Timp)、小野山幸夏(MS)、田中裕哉(Perc)


前半は永野氏のティンパニ・ソロステージ。ベックの作品は意外にメロディアスで、ジャズ風なところもあり、聞きやすかったですね。エリオット・カーターのものは、これもまたクリエイティブな作品で、一方のヘッドが柔らかく、もう一方が硬質なヘッドになっているマレットを、クルクル回して持ち替えて叩いたり、あるいはスネアドラムのスティックで叩いたりと、音色の変化やリズムの変化も目まぐるしく、永野氏のテクニックを堪能できました。しかしさすがはカーターですね。音の生み出す空間の芸術性の高さは、今回のプログラム中でも圧倒的なところがありました。ティンパニ・ソロでこれほど創造性豊かな作品があるとは、ティンパニの世界も奥が深いですね。永野氏も、この作品はライフワークだそうです。それだけ懐の深い作品であることは伝わってきました。


休憩を挟んで最初の三村作品は打楽器アンサンブル。永野氏のティンパニ・タムに田中氏の宮太鼓・締太鼓が加わり、いわば和と洋の太鼓コラボレーション。この曲はいかにも打楽器アンサンブルという曲で、有と無の音世界、プリミティブなリズムと音色、そして迫力ある音圧。打楽器アンサンブル経験のある僕と嫁さんは楽しく聴いていました。そして伊福部のティンパニ伴奏とメゾソプラノによる作品、これも面白い曲でしたね。アイヌの伝承詩をもとに1956年に作曲されたこの曲は、1953年に書き上げられた伊福部の著書『管弦楽法』、そして54年の『ゴジラ』、『シンフォニア・タプカーラ』に続く時期の作品。歌手の小野山さんが最初に各曲の解説をしてくださったおかげで、感情移入して聴くことができました。永野氏も2曲目は涙が出そうだと語っておられましたが、表現力豊かな素晴らしい歌唱。最後の「ラーマーヤナ」をテーマにした中村氏による委嘱作も、心の叫びを熱く歌い上げておられました。


アンコールにソロのふんわりした心地よい楽曲と、田中氏の樽演奏と永野氏のティンパニの旋律による八木節。お二人が揃いの青い半被を着て熱い演奏を披露してくださいました。背中の「田酒」の文字が良かったですね(笑) 普段あまりない、ティンパニを中心とした様々なスタイルの楽曲が聴けて、実に刺激的で楽しいリサイタルでした。

伊福部昭:全歌曲 伊福部昭:全歌曲
藍川由美,伊福部昭,遠藤郁子,中谷孝哉,百武由紀,野坂恵子,岡田知子,吉田將,木村茉莉,戸澤宗雄,中川昌巳

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