ロフェ指揮新日本フィル 定期演奏会 ルビー第21回

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チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第2番/協奏的幻想曲


コンサートに行くのも久しぶりな気がします。東京春祭のピアノ以来。趣味と仕事・育児の両立は大変です。でもやるしかないのでやるだけ。チャイコのピアノ協奏曲第2番なんて珍しいですねえ。もっとも、スクリャービンの2番の方が珍しいですが。


【ロフェ指揮新日本フィル 定期演奏会 ルビー第21回】
(2019年4月26日、すみだトリフォニーホール)


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番 ト長調 op. 44
アンコール ラフマニノフ:13の前奏曲 作品32 第12番 嬰ト短調
スクリャービン:交響曲第2番 ハ短調 op. 29
アンコール チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71aより「小序曲」
指揮:パスカル・ロフェ
ピアノ:アレクセイ・ヴォロディン


ヴォロディンの弾くチャイコの2番、これは凄まじかったですね。なるほどヴィルサラーゼ女史の弟子。弾き方、鳴らし方が似ています。しかしもっとずっとパワフルだこと。あまりあるパワーで音数の多いチャイコの2番、オケともよく合っていて、十二分に堪能いたしました。圧倒的なカデンツァ。よく響かす音で、決して煩くなく、さすがロシアピアニズムだなあと。すいませんね語彙がないので大した感想も言えなくてあれですが、とにかく良かったです。2楽章はコンマスのヴァイオリンとチェロがピアノの横に来て三重奏の構え。ヴァイオリンもチェロものびやかに歌っていて聴き応えありました。ロフェはもう少しスマートにしたかったのかもしれませんが、その辺の応酬も含め聴いてて楽しかったです。ソリストアンコールのラフマニノフも絶品でした。チャイコはバリバリ弾きましたので、ここでぐっと繊細に。ギャップ萌え。ああ、リサイタル行きたいね。


意外にも収穫ありだったスクリャービンの2番、こんな扱いにくい曲(というか詳しくないだけですね)をどうするのかしらと思っていましたが、ロフェ/新日フィルの、テンポ早め、かつ、音量デカめでグイグイ歌い続けるという、現代的な演奏の良さとロシア伝統のブレない退かない濃厚演奏のハイブリッドという感じで、とても面白く聴けました。曲としては、スクリャービンの作風が変わる前の曲で、まあいわゆるロマンティックな曲ですが、スクリャービンより前の世代の巨匠たちからは不協和だなんだと批判も多かった曲だそうです。しかし今日のプログラムと演奏で、後の交響曲3番や4番の面影はもちろん、この曲の不協和音の中に確かに存在するチャイコフスキー風の響きを嫌でも意識させられましたし、むしろ、なんというか「チャイコフスキーの突然変異」のような曲に聴こえました。多分変に前世紀的ロシア風演奏(もちろん念頭にあるのはスヴェトラーノフですが)にしてしまったら、それはそれでやっぱり、今の時代に聴いたらちょっとつまらない冗長な曲に聞こえてしまっていたかもしれません。かと言ってあまりに締め上げ過ぎてクリアにスマートにやり過ぎても、それならいっそのこと法悦の詩とか、もっと別のコンテンポラリーでもやってくれよという感想になっていたような気もします。実に巧みというか、いいとこついた指揮&演奏でした。ロフェの実演は初ですが、彼は宣材写真より実物の方がかっちょいいレアケースですね。好きになりました(笑)

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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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