バーンスタイン:交響曲第2番「不安の時代」、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 Op.47 (Shostakovich : Sym No. 5, Bernstein : Sym No. 2 / Lipkin, Bernstein, New York Philharmonic (1959 Live))


久しぶりにN響の定期に行ってきました。指揮はジョン・アクセルロッド。


バーンスタイン/交響曲 第2番「不安の時代」
ピアノ:ステュアート・グッドイヤー
ショスタコーヴィチ/交響曲 第5番 ニ短調 作品47


このプログラムは、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルがザルツブルク音楽祭にデビューしたときのプログラム。冷戦下に米ソの作曲家を並べて政治色も滲ませる、なかなか意義深いプログラムです。そのときの演奏は録音に残っていますし、CDもあります(記事上の画像)。1959年のザルツブルク、バーンスタインは前年の1958年にニューヨーク・フィルの音楽監督・首席指揮者に就任したばかりの時期で、もっとも勢いのある時期と言えるのではないでしょうか。バーンスタインにとって、このザルツブルクは自身をアピールする場としてはこれ以上無い舞台だったでしょう。指揮者としての才能、そして自作の交響曲を持ってくるという、作曲家としての才能も十分に発揮された、名盤だと思います。


今回N響を指揮するのはジョン・アクセルロッド氏。これからどんどんN響と頑張って行ってくれるんではないかと思われる(たぶん)気鋭の指揮者(適当)。ちょうどバーンスタインとニューヨーク・フィルのように!


期待していたバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」は大満足の演奏でした。何より、ピアノのグッドイヤー氏の隙のないメカニカルなテクニックと、感情豊かに聴かせる腕あっての今回の名演だったと思います。打楽器もなかなか。第1部は緊張感が良かったし、第2部エピローグでは素直に感動しました。


メインのショスタコーヴィチの交響曲第5番「革命」は、なんというか、非常にメリケーンな演奏を味わいました。アクセルロッドらしさなんでしょうね。バーンスタイン指揮の1959年ザルツブルク・ライブと比較して。という意識が僕の中にはあったのですが、バーンスタインで言えばこれはむしろ79年の東京ライブ的な革命でしたね。3楽章はN響の美しい弱音にうっとり。やはり革命は3楽章がキモですね。


ザルツブルク・ライブを踏まえて今回のN響定期を振り返ると、「冷戦時代と現代の違いと共通点」が表現されてたと思います。両交響曲も、もう当時ほど先鋭的な音楽ではないですから、そんなにトンガって、ツッパって、ギスギスとやることもないのでしょう。アクセルロッドがザルツブルクのバーンスタインのような「勢いある音楽」ではなく、ある程度冷静に、分析的に聴かせてくれたのも、ひとつの時代の反映ではないでしょうか。


また、そういう演奏でこそ表現されるのが、現代の不安なのかなあ、と僕は思いました。政治的にも、芸術的にも。バーンスタイン譲りのソウルフルな雰囲気が、アクセルロッドの音楽には確かに垣間見えました。しかし一方で、アクセルロッドにとっては、今日の演奏会はザルツブルクと同じような、N響お披露目ライブにもかかわらず、よく言えば非常に落ち着き払った、悪く言えば情熱のない表現も混在していた音楽というのは、これは現代の危機的状況の表現であり、また同時に表現の危機でもあると思います。考えすぎかもしれませんが、バーンスタインやフルトヴェングラーの音楽から感じられるようなものを、今感じることは、少なくなっていると言わざるを得ないですし……。


僕の見方は非常に偏っていると思います。ザルツブルクと比較することは必須なことではないです。それでも、そういう見方をしてしまうのは、僕のバーンスタインへの愛によるものなんです。今回そういう見方をして気づいたことは、バーンスタインの音楽は受け継がれても、バーンスタインはもういないということです。当たり前のことかもしれませんが、この事実を音楽を通して認識することは、意味深いことだと思います。

ラヴェル:バレエ音楽《マ・メール・ロワ》/ラヴェル他: バレエ音楽《ジャンヌの扇》 ラヴェル:バレエ音楽《マ・メール・ロワ》/ラヴェル他: バレエ音楽《ジャンヌの扇》
ロワール国立管弦楽団,ジョン・アクセルロッド,ラヴェル

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