R.シュトラウス:アルプス交響曲、4つの最後の歌


はからずも、これが2014年の初コンサートになってしまいました。まあお目出度い雰囲気なので良しとしましょう。


【NHK交響楽団 1774回定期公演 Aプログラム】(2014年1月26日、NHKホール)
オルフ/カトゥリ・カルミナ*
オルフ/カルミナ・ブラーナ**
指揮:ファビオ・ルイージ
ソプラノ:モイツァ・エルトマン
テノール*:ヘルベルト・リッパート
テノール**:ティモシー・オリヴァー
バリトン**:マルクス・マルクヴァルト
合唱:東京混声合唱団
合唱**:東京藝術大学合唱団
児童合唱**:東京少年少女合唱隊


カトゥリ・カルミナの注目すべきはその独特の編成で、ソプラノ独唱、テノール独唱、混声合唱、ピアノ4台、打楽器10人という、音の響きとしてはかなり原始的な響きを持つ編成になっています。基本的に合唱メインで、思ったより打楽器は大暴れしないのですが、打楽器ファンとしては上手な打楽器の演奏を間近で見れて楽しかったですね。タンバリンも皮の音がよく鳴っていて迫力がありました。何にも増して、この曲は性愛の悦びを謳ったものであり、歌詞がお○ぱいを連呼したりち○ちんを連呼したりするとっても素敵なもので、そのような卑猥な歌詞が天下のNHKで映像と音声と文字として表れ残るということに、意味のない喜びと芸術の勝利の感(?)を禁じ得ません。


そしてお待ちかねのカルミナ・ブラーナ、指揮のファビオ・ルイージは非常に端正に、ややもすれば過重になりがちなこの曲を、締めるところをしっかりと引き締めながら、気合と迫力十分の熱い演奏に仕上げていました。まさに、こいういうのを聴きたかったんです! なぜでしょうか、先月聴いたN響第9では、同じように端正でスマートな演奏だったのですが、それと同じようなスタイルにもかかわらず、ルイージのカルミナは、聴衆にも絶えることのない緊張感と感情の昂ぶりが伝わってくる演奏でした。もっとも、先月のデ・ワールトの第九は、端正にして謙虚な、小さな祈りのような第九で、聴く者に現代の悲哀や諦観と、僅かながら確かな希望を抱かせるようなものだったので、感動もやや複雑な感情が相まってしまいました。しかしルイージのカルミナは、先月と同じような合唱と管弦楽という構成、また同じような端正なスタイルによるアプローチではありますが、聴衆にはむしろ、現代人が心の奥底に秘めてしまっていた熱いものや、再び取り戻したい感情をわかりやすく示してくれるような演奏でした。結果的に感動もシンプルで、強いものになったのかなあ、なんて思います。曲がプリミティブなほど、かえって襟を正して、勢いに呑まれずに演奏すると、これまた良いものなんですねえ。


開場前、NHKホールの近くのスタバで時間をつぶしていたら、外で何やらやかましい声が。僕はちょうど通りに面した窓側の席にいたので、外に目をやると、特定秘密保護法反対のデモ隊が渋谷公園通りを闊歩していました。デモをするのは勝手ですが、あまりコンサート前に出会いたいものでもありません。「特定秘密!」ドンドン、ドドドン、「保護法いらない!」ドンドン、ドコドン、という様子を2階の席から見下ろして、これから演奏会に行く自分のことを考えました。僕は政治に無関心ではありませんが、必要以上にインターネット上で語りたいとは思いません。出来得る限り、現象界の要らぬ心配や悩みに苛まれることなく、天上の遙か高い芸術世界に触れて生きていられたら幸せだなあ、なんてことを思ってしまいました。

オルフ:カルミナ・ブラーナ オルフ:カルミナ・ブラーナ
ヤノヴィッツ(グンドゥラ),シュトルツェ(ゲルハルト),フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ),ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団,シェーネベルク少年合唱団,オルフ(カール),ヨッフム(オイゲン),ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団ユニバーサル ミュージック クラシック
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