「アイカツ!シリーズ」オーケストラコンサート「オケカツ!」2nd Stage 10th Ver.

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待ちに待ったオケカツ。2019年が初回(感想記事はこちら)、2020年の2nd Stageはコロナで無観客に、そしていよいよ2022年、シリーズ10周年の記念すべき年に「オケカツ!」2nd Stage 10th Ver.として有観客開催。開催されるだけでもう感無量です。しかも会場がサントリーホール。すげええ! 数多くのアニメ作品のオーケストラコンサートが行われる昨今ですが、昭和女子大学人見記念講堂、ミューザ川崎、そしてサントリーホールと、首都圏の3つのホールで音楽が演奏されたアニメはそうないんじゃないでしょうか。初回の会場の昭和女子大学人見記念講堂は、80年代には海外の多くの有名オーケストラや巨匠指揮者が来日公演で使用したホール。サントリーホールが出来てから役割が移りましたが、カール・ベーム最後の来日となったウィーン・フィルとの杮落とし公演や、カルロス・クライバー指揮バイエルン国立歌劇場管の伝説的な来日公演などで有名な、伝統ある場所です。次に、残念ながら無観客となってしまったミューザ川崎シンフォニーホールは、耳の肥えたクラシック音楽ファンたちから「首都圏(あるいは国内)で最も良い音響」と評されることも多いホールで、何より、オケカツを演奏する東京交響楽団さんの本拠地ですね。僕は「ここまで登っておいで席」のチケットを取っており、ミューザのこの席に行くには本当に結構登るので、早めに座って誰かが「アイカツ、アイカツ」と言いながら登ってくるを見ようと、めっちゃ楽しみにしていました。今回のサントリーホールは言わずと知れた国内最高峰のコンサートホール。巨匠指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの勧めで日本初のヴィンヤード式(要はベルリンと同じ)を採用した響きの良いホールです。2016年の開館30周年ガラコンサートでは小澤征爾さんがウィーン・フィルを指揮して話題になりました(その公演の感想記事はこちら)。前置きが長くなりましたが、大体こういうアニメのオケ公演って池袋の東京芸術劇場で行うことが多いイメージで、まどマギの演奏会とかに行ったことあるんですが、コロナ禍で全体の公演数が減ったのもあるとはいえ、サントリーホールという10周年を祝うにふさわしい豪華な会場で聴けることは幸いです。

サントリーホールでオケカツ!穏やかじゃない!
舞台上の楽器が超豪華。パイプオルガンも使う。
う~ん、オケカツ前のコーヒーはスペシャルにおいしい。


【「アイカツ!シリーズ」オーケストラコンサート「オケカツ!」2nd Stage 10th Ver. 昼公演】
(2022年8月30日、サントリーホール)

・「カードもともだち!」(「アイカツフレンズ!」より)
・「君のEntrance」(「アイカツオンパレード!」より)
・「ひとりじゃない!」(「アイカツフレンズ!」より)
・「アコガレカスタマイズ☆」(「アイカツオンパレード!」より)
・「アイカツフレンズ!」BGMメドレー
・「ドリームステージ☆」(「アイカツスターズ!」より。歌唱:星咲花那)
・「Happy∞アイカツ!」(「アイカツプラネット!」より)

・「アイカツ!」BGMメドレー
・「Precious」(「アイカツ!」より。歌唱:ささかまリス子)
・「チュチュバレリーナ」(「アイカツ!」より)
・「荒野の奇跡」(「アイカツスターズ!)より)
・「絆~シンクロハーモニー~」(「アイカツフレンズ!」より)
・「硝子ドール」(「アイカツ!」より)
・「いばらの女王」(「アイカツ!」より)
・「タルト・タタン」(「アイカツ!」より。歌唱:藤城リエ)
・「STARDOM!」(「アイカツスターズ!」より)
・「The only sun light」(「アイカツスターズ!」より。歌唱:相沢梨紗)
・「輝きのエチュード」(劇場版「アイカツ!」より。歌唱:霧島若歌)
・「アイカツ!シリーズ10thオーケストラパラフレーズ」~「SHINING LINE*」

アンコール
・「MY STARWAY」
・「芸能人はカードが命 ~ SHINING ROAD ~ カードもともだち!」
・「アイドル活動!オンパレード!ver.」

指揮:水戸博之
演奏:東京交響楽団
編曲:穴沢弘慶
出演:霧島若歌 / ささかまリス子 / 藤城リエ / 星咲花那 / 相沢梨紗
MC:逢来りん


感動、感激、感謝、さすがオケカツ、さすがアイカツ、さすが10周年。2019年の初回公演を遥かに上回る圧倒的なステージ。進化するんだなあ、アイカツらしいなあ、すごいなあ……圧倒されました。本当に良かった。ここから先の文章は、クラシック音楽オタクとアイカツのフアンを兼任する珍しいタイプの人の正直な心の叫びとして受け取ってください。


開演5分前、予ベルが鳴り、姫石らきのアナウンス。らきちゃんの声が聞こえると、かわいいんだけど、色んな意味でドキドキするよね。こっちの方が逆に「おい始まるぞ、姫石、そのシンバル落っことすなよ」とか思いますよね。オケも指揮者も入場し、幕開け曲は「カードもともだち!」、フレンズのフィッティング曲。フィッティング曲はやっぱり「始まる!」って感じがするし、この曲は2019年の初回公演のアンコールでやったフィッティングメドレーの最後の曲で、そこから繋がってるんですよね。もう、そういうとこが既に熱い! そして元がインスト曲だから、オケを聴き慣れていない人がいきなり聴いても違和感が少ない。続く「君のEntrance」と「ひとりじゃない!」もまるで吹奏楽のポップスみたいで、多くの人が(中高生の頃に学校とかで)聴いたことのあるような音の響きに近い、良い導入ですね。前回の感想でも書いたけど、フレンズ(オンパレ)曲はそういう点でオケと合うんですよね。なんというか、優しい音楽。


「アコガレカスタマイズ☆」の話に行く前に、ちょっと大事な話を。僕の前回のオケカツ感想記事を読んだ方ならお分かりかもしれませんが、大体は絶賛し、ただ編曲については、担当された穴沢さんに最大限のリスペクトを送りつつ、結構批判もしました。基本的に感想は正直に思ったことを書くようにしているので、有り難いなと思いながらも、つまらない編曲はつまらないと書き残したくて。前回の編曲について、他の方と「単に原曲の音をオケの楽器に移しただけ、歌なしで管弦楽の響きになった曲を体験するものであって、繰り返し聴くようなものではない」という旨の話をしたこともありました。よく最近のアニメファンは批判を拒絶して賞賛しか受け付けないとか、そういう話題も見かけますけど、僕もアイカツ好きなんで褒めまくって布教したいと思うのと同時に、どうしても「もっと凄いと確信してるから、わざときつい言葉も言った」という詞も頭をよぎるんです。それが2019年の話。2020年、オケカツ2ndのBlu-rayを見ていたら、僕の大好きな曲の一つ「アコガレカスタマイズ☆」が、結構ぶっ飛んだ編曲で衝撃。最初は「なんだこのアレンジ、この曲がいつぶりのいちごちゃん曲なのかとか、そういう事情知ってんの?」などと喧嘩腰で聴き始めたんですが、でもよく考えると僕はこういう「オケでなければ聴けない編曲」を聴きたかったのではと思い直し、そうだ、本編の文脈に寄せた編曲でなくとも、逆に原曲から大きく離れてオーケストラならではのサウンドに寄せた編曲なら楽しいかな……うんうん、これもまたオケカツだねと、妙に感慨深くなりました。そして、今回、生演奏で「アコガレカスタマイズ☆」を聴いて「ああ!このアレンジ!これこそ、僕が聴きたかった“オーケストラの音で奏でられるアイカツの音楽”だ!」と確信。さながらモーツァルトかチャイコフスキーか、オーケストラの音が持つ本来の魅力、コンサートホールで聴く意味のある音楽だ、と。今日の演奏会は絶対に素晴らしいものになる、と決定づけられたようでした。穴沢さんと、この曲をそういう風に編曲してほしいとディレクションした方に、心からの拍手を送りたいです。だって、カスタマイズしたら、新発見ミクスチャーだもんね!


とってもいい気分にしてもらったので、フレンズのメドレーも楽しく聴けました。そして「ドリームステージ☆」、かなさんの熱唱、もう最高。素敵過ぎる……これはBlu-rayの段階で素晴らしかったんですが、やっぱり生は段違いに良い。この曲はAメロやサビで気持ち走り気味になっても、Bメロでぐっと落として立て直せるから良いですね。音源流すのと違って、生のオケでないと、歌と合わせた心地よい走り気味の、あの独特の前のめり感みたいな魅力って出ないじゃないですか。いやあ、良いもの聴かせていただきました。かなさん、いつか水戸さんの指揮とニューヨーク・フィルで歌ってくださいね!ブラボー!!


「Happy∞アイカツ!」も素晴らしいアレンジ。これこそまさに、オケで聴く価値のある音楽でしたね。美しい弦楽、感動的なメロディ。パンフは終わってから読んだので劇伴風になるのは知らず、曲が曲だけにアゲアゲな感じで来るかなと思っていたので、不意を突かれたのもありますが、前半クライマックスにふさわしい音楽でした。ハナが皆からサプライズでお花もらって嬉し泣きしているシーンを思い出してしまいました。


前半が終わり、休憩中、ホワイエで携帯の電源を入れると、Twitterで花音さんという方にフォローされたと通知が来ている。これ、マジで偶然なんですけど、ビビったー。もちろんこれを読んでいる方なら全員ご存知と思いますが、アイカツの登場人物の「花音さん」は輝きのエチュードを作った人です。



後半開始は「アイカツ!」BGMメドレー。2019年当時の僕は無印よりもスターズの方に思い入れあったはず。その頃に比べ、今はますます無印アイカツへの思い入れも(が、ではなくて、も)強くなってきており、このメドレーを聴いた興奮もひとしおです。もう、大分テンション上がっているのに、この後に美月さんだと!? 無理だよ、まだ気持ちの整理が付いてないよ、という声が届くはずもなく、名曲「Precious」へ。いやいや、感動するに決まってるじゃんね……パンフ掲載の編曲者による解説では、WM解散で別々の道を歩む二人の想いを表現すべくピアノ(みくる)とヴォーカル(美月)のデュエットに見立てて云々と書いてあり、うーん、なるほど、めっちゃいい観点だ(が、それはアニメ見た上で美月ソロでもエンディングでもなく敢えてトゥインクルスターカップの演出を編曲の主題として選んだの?それともそういう風な指示があったの?そもそも原曲がピアノ伴奏ヴォーカルの部分多いんだけどそこを編曲のオリジナリティとして挙げたのはナゼ?)と感心したのは、公演終わってパンフを読んでからの話で。この曲も2ndのBlu-rayにあったけど、なんというか、リス子さん登場した瞬間ってもう「美月さん降臨」って感じがするじゃないですか。美月さんって普通によくオケ従えてそうなイメージだから、すごく自然なんですよね。なんか「美月さんとオケ、当然でしょ、むしろ専属オケよ」的な。歌も迫力あってめっちゃ良かった。編曲も、原曲の良さを出しつつ、僕も以前ブログで書いたベースの「ブーン」がオケでは無いので、縦のビート感ではなく横の線、つまりリス子さんの朗々とした歌がいっそうノッて、歌姫を最高に輝かせる良い編曲でした。


ここから怒涛のゴシック曲6連発、オケカツの真骨頂とも言えるコーナー。まずは「チュチュバレリーナ」、パイプオルガンのソロ。今年は5月にもパイプオルガンの活躍するオーケストラ曲を聴いて感激したので、縁があるわ。やっぱりあの空気の振動は生演奏でないと体感できないですし。サントリーホールのパイプオルガンでチュチュバレリーナが奏でられる日が来ようとは夢にも思わなかった。音圧すごい。頬にそっとキスするおやすみどころじゃない、全身に激しくブローする(永遠の)おやすみチュチュバレリーナだった。続く「荒野の奇跡」、これがめっちゃ良い。編曲も演奏も激アツ、リリエンヌも溶けてしまいそうな熱さ。リムスキー=コルサコフ顔負けの彩り豊かなオーケストレーションもガンガンに冴え渡り、まるで光の中、闇が、光が……なんだっけ、わかんないけど、とにかく大迫力から繊細な響きまで堪能できる、もう普通にオケのレパートリーにあっても良さそうな音楽に仕上がっていました。大興奮。お次は「絆~シンクロハーモニー~」、冒頭のショパンの引用を、ショパンの原譜で、生ピアノで聴ける贅沢さ、ぶち上がりますね!!演奏後、ソリスト紹介されていました。拍手拍手。あとは吠えるホルン!かっこいい!!やっぱゴシック最高だな、もう何も言えねえわと思いながら、大名曲の「硝子ドール」へ。僕が文句を言ったおかげで冒頭のスネアのパターンが変わっている、というかアクセントが変わったのかな? ともかく、パワーアップしたのは確か。グッとカッチョよくなってる。もうこっちのテンションも上がってるし、生だし、興奮に次ぐ興奮で逆にしんどい。間奏のオルガンも良かった! そして「いばらの女王」、これは元の曲が超良い曲なんで、最高に良かったですね。何かやらかさないか心配になる曲ですが(姫石がシンバル落っことさないかとか、姫石がシンバルのカウント間違って入らないかとか)、アピール成功でしょう。僕この曲大好きなので、主にこれを聴きに来たと言っても過言ではないんですが、堪能しました。そしてリエさん登場で「タルト・タタン」、最近ブログで書いた曲ですが、いやー、もうね、良かったですね。ウィスパーで詠唱するところも最高ですし、とにかくかわいい、素敵すぎる。編曲も、この曲のスネアはさながらショスタコーヴィチのレニングラードのように進んでいきますね、嗚呼、さらばシベリア鉄道(その18参照)、ゴルビーにRIPを捧げる(2022年8月31日に書いています)。マジで、すごく良かったです。


もうゴシック6連発で魂抜かれてるというか、ちょっと気持ちが追いつかないくらいで、もうひと休憩して心を整えさせてくれと思っていた頃に、間髪入れず「STARDOM!」、本来ならこの曲なんてアゲアゲな気持ちで聴くんですが、ちょっとリラックスして聴かせていただきました。じゃなきゃ無理だよ、ハートが壊れるよ。まったく落ち着くこともなく、りささん登場で「The only sun light」、うーん、エルザ様でしたね。圧巻だわ。もう冷静に聴けてないんで言語化できなくなってるんですけど、オケはバスドラム良かったよね! 全体通してバスドラム良かったけど、ガガ様もぶっ飛ぶ生音4つ打ちよ、アガるね。この曲もオケに合う、超かっこいい。グイグイ攻めるオケに、負けじと王者の風格のりささん、カッコよかった!! もう心に余裕がない状態で、さらに心を乱すようなブチアゲ曲が来るというのか……ついに若歌様登場、「輝きのエチュード」、Twitterでご本人が終演後にチェンバロの前に座る写真を上げられていましたが、まさかのチェンバロを使った伴奏とは! こういうサプライズあるアレンジ、大歓迎。まあどうやっても良くなる曲には違いないんですが、予想を超えてくるというね、そういうの欲しかったわ。面白いじゃない!ってやつよ。いや、普通に唸ってしまいました。凝ったなー。そもそも、チェンバロだけでなくてオルガンもチェレスタもあるアニメの演奏会ってどんなだよ、普通のオケの演奏会より豪華じゃんかと、天を仰いだわ。編曲者解説でバッハの引用とバロック風の話が出ていましたが、個人的にはバロックはもちろん、チェンバロの音色って往年のアイドルソングとか往年のアニソン感があるなあと感じましたね。原曲は聖子ちゃんだけど、今日はそこにクラシック音楽風でもあり、同時に往年のアイドル的な「少し昔」の趣きもあり、若歌様が絶対聴いてほしいと熱弁するのも納得。新アレンジに気合い十分だったからでしょうか、歌にいっそうパワーがありましたね。最高でした。


もう心が限界なんですけど……というか、僕の周りはもう崩壊してる方もいました。めっちゃ泣いてたわ。泣くよね、そりゃ。しかし追い打ちをかけるように、「アイカツ!シリーズ10thオーケストラパラフレーズ」~「SHINING LINE*」という、なんかヤバいものが来る。編曲者コメントが良い。人気曲を並べただけじゃなくて、ストーリーを感じられる編曲にしたい、と。ほら、僕が言ったおかげで、これこそ、本物のオーケストラの芸術音楽であり、アイカツの元々の音楽の持っている良さを「芸術」として表現する編曲と演奏だったなと、感無量です。これだよ、こういうのが、オーケストラでアイカツの曲をやる、オケカツ!だよ、と。すごいなあ、本当に感動しました。MCのおりんが「穴沢さんに無理言ってお願いした」と言ってて笑いましたが、これを頼むのが正解なんだよなあと、うんうん、これもまたオケカツだね、と。正直、もう心が保たないと前々から書いていますが、そういう状態で聴いていたので尚更、パラフレーズの巧みさに呆気にとられたのもあり、あの曲この曲と目眩く様はまるで走馬灯、ああ死ぬ時こういう風にアイカツ曲が流れてくるのかもな、なんて。と同時に、聴きながら「これ録音してないとか嘘だろ……」とも思いましたが。「何曲登場したかわかりますか」じゃねーっつの、わかるわけないだろ、こっちはさっき若歌様の熱唱で瀕死にさせられてるんだぞ、おいマジでさ、これだろー、録音として残して繰り返し聴くべき音楽ってのは。そしたらストーリー性ももっとわかると思いますし。散りばめられた宝石のように輝くアイカツ楽曲のフレーズたちに感激しつつ、正直、いきなり一回聴いだけで使用曲を全部拾いきることもできず、パラフレーズしすぎだよパラパラのチャーハンかよと心の中でぼやきながらも、でもやっぱり、最後にアイドル活動からのSHINING LINE*と来たら、もう言うことないよんだよね。先月の映画の舞台挨拶で、下地紫野さんがあなたにとってアイカツとはと聞かれて「SHINING LINE*」と答え、木村監督が「それ出せばいいと思ってるでしょ(笑)」と言って笑い取ってましたが、でもそうなんだよな、出されたらね、良いんだわ。普遍の真理よ。感動でした。


この激アツなプログラムを無事に聴き通すには星宮先輩並みの体力が必要なんだろうなと思いました。さあ、アンコール。まさかまさかの。いやー、ありえん、「MY STARWAY」って、マジかよ。信じられんわ。僕の隣の隣の女の人、また泣き出したよ。泣くよ、それは。神が作ったコンサートなのか、こんなに感動するコンサートはめったに無いですよ……。次いでフィッティングのメドレー、ここで僕の隣の隣の女の人(以下略)。もしこれでアンコール終わりなら、芸カ1曲だけにしてスターズフレンズは無くていいかなと一瞬思ったんですけど、フィッティング曲ってスターズの曲が一番泣けるメロディしてるよね。弦楽器で奏でられると、本当に美しい。結局その後、歌手勢揃い(おりんも)で「アイドル活動!オンパレード!ver.」もやったので、フィッティング3曲で最高です。オンパレバージョンって元のアレンジが超良いしね、ぐうの音も出ない。ただただ素晴らしい音楽を浴びていました。歌手登場して即、水戸さんが指揮棒構えたんですが、その後ちょっとMCが入って、しばらく棒上げたまま固まってた水戸さんがぬるっと指揮棒下ろしたのは面白かった。そしてそれからちゃんと、ラストのアイドル活動を振り始める直前に、胸に手を当てられていました。うう、泣ける……心から出て心へ向かうんですね、音楽って。

サントリーホールの看板にアイドルたちが揃う感動。


素晴らしい演奏会でした。お土産付きチケットにはしていません、僕は吹奏楽(と少しオケ)の打楽器経験者なので、あの絵の真ん中のらきちゃんを見ると不安になってしまうからです。シンバルってさ……難しいんだよ? 絶対あらぬところでバシャーンて鳴らして「え、私何かやっちゃいました?」みたいな感じになって、ツバサっちに怒られるだろ。あ、パンフはもちろん買いました、上の文章でも書いてますが、全体的にですね、編曲者解説がですね、めっちゃ、めっちゃ、めっちゃストーリーに触れていて、面白かった。前回の感想で「原作見て」と書いた手前、僕もそこは気にして読みましたが、まあ実際のところ穴沢さんが全話見たかどうかは知らんですし、もし見たとしてどんな思いがあるかも知らんですけど、ここまで書かれていたら文句ないどころか、ちょっと語り合いたいですよね。さっきの「Precious」の話もだし、あと「いばらの女王」でスミレちゃんをクイーンにしたくだりとか書いてあるんですけど、僕はさっきアピール成功って書いたんけどやっぱSAアピール成功してたらあかりちゃんより高得点だったと思いますか、というか穴沢さんはスミレ推しなんですか?とかね……いやいや、もちろん冗談ですよ。「The only sun light」で書かれていたエルザ様の孤独とその解放とか、キャラと音楽の関連があって、素敵だなと思いました。あとは、4gamerのリハーサルレポートで本当に愛のある文章を書かれていた蕪さんという方が書いた(佐久間さんという方もですね)、エピソード解説も、楽しみながら読みました。


悔やまれるのは夜公演のみの曲が聴けなかったことです。久しく夜のコンサートには行ってないんです、うちにはリアルな幼女アイドル様がいて、夜は育児活動なので。それはともかく、良いアレンジと、素晴らしい熱い演奏だったことでしょうね。東京交響楽団さんの演奏も良かったです。家に帰ってからノット指揮東響の第九2019年のやつ聴きました。せっかくだからサントリーホール公演の何かを聴こうと思って。歓喜の歌も聴きたくなる日でしたよ。僕は前回の感想でオケの人みんなアイカツなんて知らないだろうに凄いなと書いたんですけど、確かりささんが、アイカツが好きな奏者の方から声をかけてもらって、みたいなことを話していたので、知ってる方もいらっしゃったんですね。今回はフルートの方がガチのアイカツ好きだったとも知りました。そういうことが起こるアニメなんだな、アイカツって、最高だなと、改めて思いました。

サントリーホールはアンコール曲をホームページに出しますが、これを刻んだ尊さよ。
サントリーホールのホームページに「オケまる」て。噛むと餃子も。今回の座席区分の名前も良いですよね。


夜公演はわかりませんが、昼公演はお客さんはみんなマナーをよく守れていたと思います。正直、声を出さないのは本当にしんどいくらいの最高の内容だったので、隣からめっちゃ荒い息が聞こえたときは「寝てるのかこの人」と思ってちらっと横見たら、違うんですね、興奮というか、感心の唸り声でした。気持ちはわかるわ……。やっぱりカーテンコールが途切れそうになったので、一応クラシック音楽ファンとしては意地でも拍手し続けましたし、オケ団員がはけるまで皆が拍手を続けていたのは前回と同じです。というかね、この内容だったらスタンディングオベーションものですよ、でも僕だけ一人立ってファーストペンギンになるのは怖かったので(みおちゃんに言い寄られるならなるけど)、しませんでしたが、本当にそれくらい良かったです。きっと会場にいた全員が、心の中ではスタンディングオベーションして、心の中でブラボーブラボーと叫んでいたと思います。


前回も参加したクラシック音楽オタク兼アイカツのフアンの僕としては、次はこうなったらもっと良いのになと思っていたところが本当にもっと良くなって、それも想像を超えてくるレベルだったので、感服した次第です。マジで、さらに良くなるってすごくないですか? 上昇志向は止まらない、きらめく世界にアプローチ、ってやつですよ。2回め3回めと下降を辿るものも多いじゃないですか、アニメでも、クラシックのコンサートだってそうですけど。そこで「前回よりもっと良いものを届けよう」と本気で準備されたから、10周年を祝うに相応しい、よりパワーアップしたコンサートができたんだと思います。本物の音楽、芸術だったと、そう確信しています。今回のお客さんの入りを見て、正直な話どこまで採算取れたのかは不明ですけど、ただ、クラシック音楽好きとして、これは言わせてほしい、「芸術は商売じゃない」と。そもそもオーケストラに代表されるクラシック音楽業界は往時と比して下火ですし、貧すれば鈍する、お金がないと良いものは作れない、それは当然そう。アニメは作品でありまた商品でもある訳で、企業が儲からないと話にならず、特にずっとアイカツシリーズを応援しているフアンは「これ売れないと次が……」とシリーズ存続を心配する人も少なからずいるのは知っています。それはそれとして! 芸術としての善し悪しはまったく別の話です。特にオーケストラのコンサートは、他のイベントに比べて「芸術性」に重きが置かれるところにオリジナリティがあるイベントです。また素晴らしい芸術が絶対売れる訳ではなく、また売れているからといって必ずしも芸術的に素晴らしい訳でもない。今回のコンサートが興業として成功か失敗かは商売人に任せるとして、長く芸術音楽を愛してきたつもりの僕が言いたいのは、この「オケカツ!」というコンサートは確かな「芸術」であったと、そこだけは声を大にして伝えたいですね。良いものを創ろうという高い創造性と向上心、プロフェッショナルな技術、そして音楽への愛と作品への愛。これらすべてが存在した、真の芸術だと、僕はそう思います。オケカツ!開催にあたり、携わった全ての人たちへの感謝の気持ちが湧き上がるのと同時に、次会うのが楽しみになるコンサートでした。え、次あるよね? 思い出は未来の中に……!!

TVアニメ/データカードダス『アイカツオンパレード! 』OP/EDテーマ 「君のEntrance/アイドル活動! オンパレードver.」
らき(逢来りん),あいね(松永あかね),みお(木戸衣吹) from BEST FRIENDS!/わか(霧島若歌),るか(遠藤瑠香),せな(堀越せな)


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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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