リターン・トゥ・フォーエヴァー


アマチュアのコンサートを聴く意味は「人」にあるんだと、つまり何を聴くのではなく「誰」を聴きに行くのかというところにあるのだと、今年唯一聴きに行ったアマオケの演奏会の後に更新したブログ記事に書きましたが、このくらい演奏が上手いと誰が聴いても楽しめるんだろうなあと素直に感動です。良い演奏会でした。


【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】(2014年12月21日、ルーテル市ヶ谷センター音楽ホール)
C.コリア(旭井翔一編):アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ:トルメンタ・タンゴ
木山光:ハデヴィッヒII
J.S.バッハ(伊藤康英編):シャコンヌ
D.マスランカ:レシテーション・ブック
アンコール
T.エスケシュ:タンゴ・ヴィルトゥオーゾ
村松崇継(浅利真編):彼方の光


今回のコンサートは“Sacred and Profane”(聖と俗)というテーマだと聞いていて、良いテーマだなあと楽しみにしていました。厳密なことを言い出すととても難しいテーマだということはわかっていますが、音楽について言えば、宗教音楽と世俗音楽とやろうというとき、果たして「俗」とは何を軸にして語るべきものなのかという難しい問題が出てきます。というのは、大概は何かしらの信仰がある人が「俗」と対比して「聖」を語るという構図であり、「俗」そのものを「聖」と対比して語るのは宗教の聖俗概念としては普通ありえない訳です。しかし両方の音楽をやる以上両方について考えないといけないですし、例えば「聖」=キリスト教としたら「俗」=キリスト教以外だなんて簡単に割り切られてしまっては、前者は神々しい音楽になるかもしれませんが、後者はぼんやりした音楽になってしまうでしょうね。


とかまあ適当なことを言いましたが、チック・コリアのアルマンド・ルンバは、奏者が一人ずつステージに現れると、ステージ上にクリスマスプレゼントがあり、それを見つけて驚いたリアクションをして取りに行くと、箱の中には打楽器が入っていて、打楽器も叩きつつ演奏するという、僕はこれこそまさに「俗」ではないかと感激した次第です。日本ではクリスマス文化が世俗化している、ついでに言えばバレンタインデーもそうだなんて話もよく耳にします。これぞ「俗」です。この「俗」の表現、アマチュアの吹奏楽団が定期演奏会でやりそうな「俗」っぽい演出に大ブラボーです。編曲自体はごく普通のアルマンド・ルンバなので、もしこれが楽譜の指示であれば名アレンジといったところ。


バッハのシャコンヌのサクソフォン四重奏版なんて初めて聴きましたが、これは有無を言わせない名アレンジですね。演奏するのはとても難しい曲だとも思いましたが、迫るものがありました。感動しました。同様にレシテーション・ブックも、プロなんじゃないかというくらい素晴らしい演奏でした。「聖」の方の2曲については、僕はここ最近11月後半にウィーン弦楽四重奏団、12月前半にフォーレ四重奏団と、異なる形の四重奏団を聴いていますが、そんな一流のカルテットたちの演奏にも引けをとらない、良い演奏だったと思います。ただ同時にこの2曲は、僕は後方の席だったのでお客さんの様子もよく見えたのですが、何名かそれなりの数の方々が安らかな休息を得られて天に召されていらっしゃったので、「聖」なる音楽としては大成功だなーとかくだらないことを思ったり、やはりタンゴやハデヴィッヒみたいな音量とインパクトがデカくてブイブイいわせてるものの方がウケるのかなあとも思ったり。


あとは「アンコールの前にメンバー紹介を」、と声がかかった瞬間に女性陣3人が一斉に拒否していたのが面白かったです。プログラムの詳しい曲紹介が、メンバー紹介をしたテナーサックスの人のブログに載っているので、興味のある方はそちらへどうぞ。素敵な演奏会で大満足でした。

リスト:ピアノ・ソナタ、バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ リスト:ピアノ・ソナタ、バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ
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