きょうの猫村さん 1 きょうの猫村さん 1
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ほしよりこ きょうの猫村さん


いよいよ猫のマンガについて、正直猫のマンガはそこそこ色々なものを読んでいるので(それでも読みつくせない程に多くの作品があるけど)、何から書こうか迷いましたが、悩んだ末に猫村さんに決めました。だっていきなり矢吹神が描く「迷い猫オーバーラン」とか書いたらみんなどうせドン引きするんだろ。まあいいや。100回連載までにはいつか上手くぼやかして書いてみようじゃないの。


猫村さんって? 猫村さんは猫ですが、家政婦です。よく言っている意味がわからないかもしれませんが、ウソは言っていない。これがシュールというものか。猫だけど、言葉も話せるし、家事も一通りこなせる。その前に2本足で立てるというのも重要か。性格はおせっかいやきで、ちょっと頑固なところもあるけど、夢に向かって頑張る努力家で……。

 


一応猫舌だそうです。


「きょうの猫村さん」は、ほしよりこのマンガで、世の中に数多くある drama における重大な一テーゼである「家政婦は見た」というやつです。そう、家政婦は色々なものを見ては、ちょっかいを出して問題を大きくし、そして予定調和の中で解決を見出すもんですね。猫村ねこ、彼女は家政婦です。家政婦というのは皆さん、メイドとは違うのだよ、メイドとは。家政婦という古き良き伝統を持ち、また西欧の伝統であるメイドを進化発展させ主に秋葉原を中心に文化を発信し続けている、この日本という素晴らしい国、そこに生きる者として、ここの間違いは許されません。海外の人に「アナタは日本でナニをマナンダンデスカー?」と怒られても知りませんよ。


Wikipediaでのこのマンガについての説明を読むと、大して詳しいことが載っている訳ではないのですが、もう十分内容についてはわかるし、読まなくてもいいか、というくらい、単純な話です。以下説明。


「ネコの猫村ねこは家政婦紹介所「村田家政婦」の求人に応募し、猫ながら家事の腕を認められ住み込むことになった。それからひと月、家政婦たちともすっかり馴染んだねこに村田家政婦の奥さんは、犬神家での奉公を言いつける。犬神家は由緒ある家柄の裕福な家だが、家族の人間関係はあまりよろしくない様子。そこでねこが見たものは一体?!!」


ありがちな設定、ありがちな展開、ただ主人公が猫であるという点を除けば。もちろん、読んだ人がびっくりするようなストーリーも何もありません。というか、もしこれ猫村さんが猫じゃなくて人間だったら絶対読んでなかった。それくらい、普通のお話です。

 


ネコムライスが得意料理。「ぼっちゃん」とは離れ離れになった過去があり、彼と会うのが夢の猫村さん……


では猫である点にどの程度意味があるのか? どの程度もなにも、それが全てでしょう。猫が家政婦だからいいんであって、それ以上深いものではないです。不倫経験のある大学教授、犬神金之助の一家に奉公に出る猫村さん。犬神家の奥さんは整形しまくり、長男のたかしは大学生で就職のことばっかり気にしてる。長女の尾仁子は中学生で不良。そんな他愛もない話です。ただ猫村さんが猫だから、猫好きには愛おしいんですよ。

 


まあ普通猫が家政婦やってたらもっとびっくりするだろ。


それでも、もう少し言うなら、たとえば人間が語る少し人生訓めいた言葉や、人間に対して語る猫にとっては少し不思議なことへの疑問などは、家政婦が猫だからこそ、ちょっと深いものになるのかもしれません。皮肉めいたものや、人間らしさというものが、猫というものを通して、一層はっきりしていると言えば、まあそうかもしれない。


1ページを2つに割った2コマしかなく、鉛筆書きの線画。味があると言えば味があります。手抜きじゃないのよ。読んだ感覚として、僕のように猫さえいればそれで両手離して楽しめるような人間には素晴らしいマンガですし、このシュールさに癒される人も多いかもしれません。某マンガの注意を借りるなら、「この物語は猫村ねこの日常を淡々と描いたものです。過度な期待はしないでください」というやつです。


そもそも、世の中妙に頭が良いと(思っている)人ほど、「中身のないものへの理解」がないものですね。そういう人は内容の深いものへの理解はあるんでしょうが、どうして逆向きのベクトルの大きなものへの理解力がないのでしょうねえ。あれ、なんか愚痴になっちゃった。いや、何が言いたいかってさ、一見して中身がないようなものを、それを理由に批判するのは己の思慮のなさを露呈していることになるのよ、とね。好きか嫌いかは読む方の感情だから何でもいいのだけど、良い作品か悪い作品かは、なかなか量れないですよね、ということです。


しかし! 「きょうの猫村さん」は、本当に大した内容はない! 猫じゃなかったら読んでなかったくらいの内容です、ですが、これが猫だから読んでいて面白いと少なくとも僕には思われるんです。人間として可愛いのか、猫として可愛いのか、よくわかりませんが、猫村さんには本当にシュールな魅力があります。