クラシック音楽の楽曲に関する話題を中心に、芸術について考えたこと、哲学・文学・美学などのちょっとアカデミックな話、聴きに行った演奏会や観に行った展覧会、うちの猫ちゃんのことやクラシックCD聴き比べ、その他日常の諸々を含め、適当な文章を書き綴っていきます。「ボクノオンガク」というブログ名は、よくあるパソコンの音楽フォルダ名“My Music”の和訳と、小澤征爾さんの本『ボクの音楽武者修行』から。

  • レブレヒトのウィーン・フィル「ニューイヤーコンサート」批判(前編)
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ヴァイゼ 交響曲第5番:ロマン派時代の古典派交響曲

ヴァイゼ 交響曲第5番:ロマン派時代の古典派交響曲

ヴァイゼ 交響曲第5番 変ホ長調 クリストフ・エルンスト・フリードリヒ・ヴァイゼ(1774-1842)はデンマークの作曲家で、ほぼベートーヴェンと同時代を生きた人物だ。アルトナという当時のデンマークの主要な港町で生まれ(現在はドイツ領)、15才でコペンハーゲンへ移り研鑽を積み、20才頃からコペンハーゲンのいくつかの教会でオルガニストを務め、45才で宮廷作曲家になる。晩年にはリストやウェーバーが表敬 […]
ラロ チェロ協奏曲:セロ弾きのオルフェ

ラロ チェロ協奏曲:セロ弾きのオルフェ

ラロ チェロ協奏曲 スペイン交響曲で有名な作曲家ラロは、一応誤解のないように言っておくが、スペイン人ではなくフランス人である。 さらに言えば、この人の音楽性が最も発揮されているのは室内楽だ。これは間違いない。何かの文章で「ラロのオーケストラ作品を理解するには、彼の室内楽作品を聴けばよくわかる」というようなよくある文言を目にして、本当かなあと疑いながら聴いてみたら、これが思いの外素晴らしい作品だらけ […]
バックス 交響詩「春の火」:音楽のダフネフォリア

バックス 交響詩「春の火」:音楽のダフネフォリア

20世紀の初め頃、ロンドンでリヒャルト・シュトラウスやドビュッシー、シベリウスらが認知されてきた頃に、イギリスの作曲家サー・アーノルド・バックスは若くして円熟期を迎えていた。 自身のルーツであるアイルランドの音楽と、ヨーロッパのビッグネームたちが作っていた印象派やロマン派の音楽の影響と、彼の中にコンフリクトがあったことは窺えるものの、バックスは彼らからの得たものを、自身の音楽言語の中にすっかりと吸 […]
グラナドス ヴァイオリン・ソナタ:近代フランス音楽へのアプローチ

グラナドス ヴァイオリン・ソナタ:近代フランス音楽へのアプローチ

グラナドス ヴァイオリン・ソナタ グラナドスのヴァイオリン・ソナタに関する情報は恐ろしく少ない。少ないが故に話題にする人もおらず、たまにインターネット上で見かけても、詳しく語っているものはほとんどない。 しかし、この曲の演奏の録音を聴いて、あっという間に魅了されてしまった。こんなにも美しい名曲が埋もれたままだなんて勿体ない! そこで今回ブログで取り上げることにした。多分このページが、素人の音楽ファ […]
シューベルト 交響曲第1番:愛すべきエピゴーネン

シューベルト 交響曲第1番:愛すべきエピゴーネン

シューベルト 交響曲第1番 ニ長調 D82 シューベルトが第一交響曲を仕上げたのは1813年の10月18日、彼がまだ16才のときで、コンヴィクト(寄宿制の神学校であり、アントニオ・サリエリの下で音楽を学べた)を去る直前の頃だとされている。 1楽章には大きな繰り返しもあり、また草稿にあまり苦労した形跡が見られないため、相当の速筆だったのではないかとされることもあるが、一度聴けば非常に印象的で、よく磨 […]
スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」:“自叙伝カルテット”のパイオニア

スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」:“自叙伝カルテット”のパイオニア

スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」 6年間もブログを続けてきて、未だに1曲も記事を書いていないビッグネームがちらほらいるのだが、スメタナもその一人で、本日解禁。 ロマン派音楽というのは、古典派からの移行期であるシューベルトにしろ後期のマーラーにしろ、大まかに捉えるとプライベートな感情の音楽であると言えるが、それに国民性という特徴を付したのがスメタナの大きな功績である。 いわゆる「国民楽派 […]
カントルーブ オーヴェルニュの歌 第1集:情緒と表現に酔いしれて……

カントルーブ オーヴェルニュの歌 第1集:情緒と表現に酔いしれて……

カントルーブ オーヴェルニュの歌 第1集 おそらくこの曲を愛好する日本人の中で、実際にオーベルニュに行ったことがある人はほとんどいないだろうが、たとえオーヴェルニュのことを何一つも知らないとしても、この曲の持つ普遍的な美しさを味わうことは可能だ。 そもそもオーヴェルニュがきっかけでこの曲を知る人よりも、むしろお気に入りのソプラノ歌手が歌っているのを聴いて知るという人の方が多いのではないだろうか。マ […]
コーツ ダムバスターズ・マーチ:もうひとつの威風堂々

コーツ ダムバスターズ・マーチ:もうひとつの威風堂々

コーツ ダムバスターズ・マーチ なんと、エリック・コーツ(1886-1957)という偉大な作曲家が、日本語のウィキペディアには載っていないのだ。イギリスのノッティンガムシャーに生まれ、クラシックとポピュラーの中間のような所謂「ライト・ミュージック」を開拓した第一人者である。先達たるアーサー・サリヴァンが道を照らし出してくれたこともあってか、この時期のイギリスはライト・ミュージックの世界を代表するよ […]
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番:コミュニティを形成する力

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番:コミュニティを形成する力

ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調 作品47 ソヴィエト政府は、ショスタコーヴィチの交響曲第5番を「正しい批判に応えて書いた、ひとりのソビエト芸術家の実際の回答」であると公表した。この批判とはもちろん、1936年1月26日に上演されたショスタコーヴィチの歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」に対して、上演2日後にソビエト政府が出した、いわゆる「プラウダ批判」である。 このプラウダ誌に掲載された […]
チャイコフスキー 組曲第3番:交響曲の呪縛と解放

チャイコフスキー 組曲第3番:交響曲の呪縛と解放

チャイコフスキー 組曲第3番 ト長調 作品55 「これ程の勝利は味わったことがない。私の目には、満席の会場にいる全ての人が感動し、感謝している様が飛び込んできた。私の芸術家人生の中で、最も美しい瞬間だった。この瞬間のためだけでも、生きる価値、働く価値があるというものだ……」 チャイコフスキーは、1885年のサンクトペテルブルクでの組曲第3番の初演の後で、パトロンのナジェンダ・フォン・メック夫人に宛 […]
小川寛興 交響曲「日本の城」:内に燃える日本人としての意識

小川寛興 交響曲「日本の城」:内に燃える日本人としての意識

小川寛興 交響曲「日本の城」 「城」というのは実にわかりやすいテーマだ。そして大変に懐が深い。日本の伝統文化は数あれど、古来より日本に根付き、形として現代にも残っているもののうち、何よりそのスケールと存在感が圧倒的なのはまさしく「城」であろう。 明治元年(1868年)から起算してちょうど100年目となる昭和43年(1968年)、日本独自の美しさと力強さを表現する交響曲を作るという目的で、キングレコ […]
高田三郎 混声合唱組曲「内なる遠さ」:限りない問い

高田三郎 混声合唱組曲「内なる遠さ」:限りない問い

高田三郎 混声合唱組曲「内なる遠さ」 ベンジャミン・ブリテンと共に、実は今年2013年が生誕100周年という、記念すべき年を迎える日本の作曲家、高田三郎。合唱作品が特に有名であり、多くの合唱団が彼の作品を愛唱しているし、コンクールの課題曲として取り上げられることも多い。敬虔なクリスチャンであり、彼が作曲した日本語の典礼聖歌は200曲を超える。 彼の合唱作品以外が演奏されることは今日では殆ど無いので […]