プロコフィエフ:ピーターと狼
プロコフィエフ 子供のための交響的物語「ピーターと狼」作品67


プロコフィエフ自身が作った物語に音楽を付け、1936年、モスクワの児童劇場で初演された。
子どものための管弦楽作品としては、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」と並び、評価が高い。
わかりやすいストーリーとわかりやすい音楽で、子供の興味を引くようにできている。
少年ピーター(ロシアではペーチャ)が小鳥と一緒に狼を捕まえる、という話で、アヒルと遊んだり、アヒルと小鳥の喧嘩、それを狙う猫、勝手に野原で遊ぶピーターを諭すおじいさん、アヒルを襲う狼、狼を狙う狩人、小鳥とピーターが狼を捕まえる様子、狼を捕まえて意気揚々と行進する様子など、多くの場面が、それに即した音楽で表現される。
ピーター:弦楽 小鳥:フルート
アヒル:オーボエ 猫:クラリネット
おじいさん:ファゴット 狼:フレンチホルン
狩人の射撃:打楽器
と割り振られ、それぞれに固有のモチーフがあり、その場面合わせた変奏や音の重なりがある。


この作品は世界中で愛され、演劇を取り入れたり、アニメ化したりと、その表現も実に様々である。
それらもとても面白いのだが、忘れてはいけないのは、この曲はもともと視覚的に訴えるものではないということだ。
登場人物に短いながらも固有の主題を持たせていること、物語に沿ったそれらのオーケストレーションを子供たちに示していること。
そこにプロコフィエフの、音楽に対する思いを感じる。
音楽を聴くだけでも、「このアヒル、きっとドジなんだろうな」とか「この猫は絶対デブ猫だ!」などと、頭に思い浮かんでくるのだ。


僕のお気に入りは、やはりアヒルが狼に食べられてしまうところだ。
思わず「あっ!」と声が出るような迫真の音楽、そしてそのあとの狼のニヤリ顔まで浮かんでくる。
他にも、狼が大口開けて「バクッ!」っと小鳥を捕らえようとするところの合奏も印象的だ。
さらには曲の最後、狼の腹の中にいるアヒルの声なんかが出てくるというのは、実にシュール。
大人が聴いても十分楽しめるし、大人だからこそ楽しめるものも秘めている作品だ。
正直この交響的物語が子供向けの音楽教育として本当に良いものかどうかは別にして、プロコフィエフの卓越した音楽性のおかげで、これ程に愛される作品になったことは間違いない。

プロコフィエフ:ピーターと狼 プロコフィエフ:ピーターと狼
ニューヨーク・フィルハーモニック,バーンスタイン(レナード),プロコフィエフ,サン=サーンス,ブリテン

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