ヴォーン・ウィリアムズ:幻想的五重奏曲/弦楽四重奏曲第1番, 第2番

ヴォーン=ウィリアムズ 幻想五重奏曲


イギリスの作曲家としてエルガー、ホルスト、ブリテンと並び、日本でも人気を博すヴォーン=ウィリアムズ。
9つの交響曲、グリーンスリーブスによる幻想曲、タリスの主題による幻想曲などが有名だ。
僕は吹奏楽経験者なので、「イギリス民謡組曲」で彼を知ったのだが、まあ田舎くさい曲を作る人だな、と思っていた。
だがヴォーン=ウィリアムズのそういうイメージを一新するきっかけになったのが、この彼の室内楽曲である。
CDの帯に「ドビュッシーもラヴェルもびっくりの美しさ!!」と書いてあって、本当かよと思って手に取った。
この幻想的五重奏曲は、弦楽四重奏と第2ヴィオラのための五重奏曲で、1912年に作られた。


ヴィオラの五音音階から始まる1楽章プレリュードは、日本の民謡のようにも聴こえ、我々日本人には親しみやすい。
高低メロディーの受け渡しとその絡み合いが、透き通るように美しい幻想世界を生み出している。
2楽章のスケルツォ、ここで僕の体に、身体の髄を掴まれたような衝撃が走った。
躍動するリズムが生む推進力は、魂を揺さぶるだけでなく、作品の華麗さ・美しさをも増す。
それとうってかわって、3楽章のアッラ・サラバンダは、優しく、あったかく、幼少時代を思い出してしまうような、夢見心地のする素朴な旋律が魅力的だ。
4楽章ブルレスカは、得意の民謡調から始まる。
徐々に多声化していき、突如場面が力強い舞曲風に変わると、民謡と現代の入り混じったような、ヴォーン=ウィリアムズ特有の不思議な旋律。
濃厚なうたを重奏で歌い上げ、ドローンの上のカデンツァ風のヴァイオリンソロ聴き惚れているうちに、再現部に入り、あっという間にフィナーレを迎えてしまう。
終わるのが惜しいような、美しく天に昇華するフィナーレは、他の作曲家の作品にも多く見られるが、室内楽の持つ最大の魅力の1つだと思う。
ドビュッシーとラヴェルがびっくりするというのは大げさかもしれないが、彼らの弦楽四重奏曲に引けを取らないのは確かだ。
やはり島国だからか、それとも単に僕がこてこての和風が好きだからか、親和性のあるイギリス音楽は本当に落ち着く。
印象派のような響きを持ちつつも、ドビュッシーやラヴェルのようないわゆる印象派ほど洒脱ではない。
むしろその繊細な和音の内には、ちょっと泥臭く、田舎じみた雰囲気が漂っている。
そうであるからこそ、ヴォーン=ウィリアムズの幻想世界は、僕の心を驚くほど自然に歓迎してくれるのだろう。

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