チャイコフスキー: ロココ風の主題による変奏曲イ長調Op.33/カプリッチョ風小品ロ短調Op.62/ブルッフ: コルーニドライ(ヘブライの旋律)/ブロッホ: ヘブライ狂詩曲「ソロモン」

ブロッホ ヘブライ狂詩曲「シェロモ」


チェロと管弦楽のための作品で、ほとんどチェロ協奏曲だと言って良いだろう。
ユダヤ人作曲家のブロッホは1880年生まれ。非常にわかりやすいユダヤ音楽を作る人で、アメリカで活動し、新古典主義を掲げた人物でもある。
イザイに師事し、弟子にはロジャー・セッションズという同じく新古典の作曲家もいれば、前衛寄りのジョージ・アンタイルもいる。
「シェロモ」とは「ソロモン」のことで、ブロッホの友人のチェリスト、アレキサンダー・バルヤンスキーの妻で、彫刻家のカサリンが制作したソロモンの彫像から着想を得て作曲された。
ソロモン王がテーマとなっている作品で、その激しい盛り上がりや感情の大きな表現は、古代イスラエルの王の中でも最盛期を築いたソロモン王の時代そのものだと言えよう。
ソロモン王というと賢者・知者のイメージが強いが、曲全体としては意外と荒々しい。つまりソロモン王が現れているのは曲全体ではなく、チェロのソロがソロモン王の声で、オーケストラは周囲の状況を表している、とブロッホは述べている。
演奏時間は20分ほど。チェロ協奏曲としても申し分ない程よい長さで、演奏会ならこのあとにメインを持ってくることもできよう。
実際に初演されたときは、ブロッホ自身の指揮により、これまたブロッホの代表作である独唱付きの交響曲、「イスラエル交響曲」と併せて演奏会が開かれた。


渦巻くような高音の弦楽器に、重低音もブイブイ鳴らす金管、激しいラッパの応酬、弾けるシンバルと轟くティンパニ……非常に力強く、重厚なオーケストレーションは、聴くものを圧倒させる。しかもそれらは、民族色の濃い旋律でできているのっだから、尚更だ。
のびのびと歌うチェロはどこか哀愁を帯びつつも、叡智を感じさせる。チェロは本当に泰然として知を湛える様を表現するのに適した楽器だと再認識される。
オーボエやファゴットがふんだんに使用され、オリエンタルな雰囲気を醸しだす。
なにより、この曲はクライマックスが興奮するほどの格好良さ。ブロッホの感動展開には舌を巻く。ひと通り盛り上がると、チェロが最後の言葉を残して静かに終わる。実に良い最期である。
イタリアの音楽評論家グィド・ガッティは、チェロの旋律について、息の長いフレーズやメロディックでこの上なく叙情的な瞬間、大げさで強い光と影、これらがソロモン王をその栄光とともに蘇らせていると指摘する。チェロのパートの説得力ある感情的な力、そしてどれひとつとして無表情なフレーズが無い部分、それが名曲たらしめるのだ、と。
まことにガッティの言うことは正しい。実に魅力的なソロだ。
チェロという楽器を非常に上手く用いてること、そして全体の構成の良さ、それがこの曲の名曲たる所以だ。もう少し日の目を見ても良い曲だと思う。

チャイコフスキー: ロココ風の主題による変奏曲イ長調Op.33/カプリッチョ風小品ロ短調Op.62/ブルッフ: コルーニドライ(ヘブライの旋律)/ブロッホ: ヘブライ狂詩曲「ソロモン」 チャイコフスキー: ロココ風の主題による変奏曲イ長調Op.33/カプリッチョ風小品ロ短調Op.62/ブルッフ: コルーニドライ(ヘブライの旋律)/ブロッホ: ヘブライ狂詩曲「ソロモン」
チャイコフスキー/ブルッフ/ブロッホ,ブルッフ,ブロッホ,チャイコフスキー,ゲルハルト・マルクソン,アイルランド国立交響楽団,マリア・クリーゲル(Vc.)

Naxos
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