メンデルスゾーン 華麗なるロンド 変ホ長調 Op.29
ピアノのための小協奏曲、とでも言うような、実に可愛らしいロマン派の香り高い小品。
この「華麗なるロンド」は、ピアノと管弦楽のための作品で、「華麗なるカプリッチョ ロ長調 作品22」と同様に単一楽章で構成されている。
管弦楽はあくまで伴奏といった役割で、ピアノがメイン。メンデルスゾーンのピアノ曲やピアノ協奏曲が好きな方にはぜひお薦めしたい曲だ。
メンデルスゾーンの師であり、友人でもあるピアニスト、モシュレスの依頼をうけて、1834年作曲を完成させた。
何より、ピアノの技巧的な動きが聞いていて飽きない。激しく飛び回るオクターブ、細やかに華やかに魅せる高速アルペジオなど、短い曲ながらもその技は数限りない。
まさしく“華麗な”という形容詞が似合う作品だ。
10分程の小品だが、メンデルスゾーンらしい美しい旋律が楽しめる。
まず管弦楽による序奏、それに乗ってリズミカルなピアノのロンド主題が奏でられる。
ピアノで奏された主題が管弦楽によって再現されたり、絶妙な合の手を決めたりと、伴奏も良い味である。
またこの曲の良いところは、サクサクと曲が展開し、ぐだぐだ飽きるような雰囲気がない。非常にキレがよく、テンポよく進むのは聴いていて快感だ。
勿論、やや緩徐的な部分もあり、それはそれで美しく、そしてクライマックスも堂々たる響き。メンデルスゾーンの技量は計り知れない。
交響曲やピアノ協奏曲のようなスケールの大きさはないが、これぞまさに珠玉の名曲。
それらと同等のクオリティの音楽が、ほんの10分ほどの短時間で味わえる、こういう曲は数も少ないだけに貴重だ。
知る人ぞ知るメンデルスゾーンの名曲と言えるだろう。
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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more
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