サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」:余韻という響き

Spread the love

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」/フランク:交響曲ニ短調

サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調作品78「オルガン付き」


フランス後期ロマン派の作曲家、サン=サーンスの作品のうちで、最高の作品と言ってもよいだろう。
サン=サーンスはいわゆる神童・エリート・天才肌で、フランスの音楽家の中で、唯一国葬で送られた作曲家である。
彼が一番芸術的に円熟していたであろう時期の作品で、彼自身この作品に「私の全てを注ぎ込んだ」としている。
最大の特徴はなんといっても「オルガン」であり、パイプオルガンが非常に重要な役割を担い、壮大な雰囲気を持つ。
通常の1、2楽章を第1部、3、4楽章を第2部とした2部構成の曲で、「循環形式」(ある主題が曲全体に渡り登場すること)を用い、統一感を持たせている。
リズム・和音が様々に変化しつつも、ある決まった印象を与え続けるのは、サン=サーンスの見事な手腕。
そういった綿密さとスケールの大きさの共存が、この曲を誰もがうなずく傑作たらしめているのだろう。


以前吹奏楽に編曲された、世にも珍しいオルガンなしの「オルガン付き」を聴いたことがある。
聴く前は友人と「オルガンなしで…?」と残念というか全く期待していなかったのだが、聴き終わったら「案外良かったね…」と二人で驚いた。
もちろん演奏そのものが上手かったというのもあるが、編曲してもしっかり良さは残る、これはやはり名曲と言わずにはいられない。


サン=サーンスらしさというべきか、オルガンだけでなく、ピアノの使い方も実に憎い。
第2部プレストのハープのような音階、マエストーソのこそばゆい程のアルペジオ伴奏はそれだけでも鳥肌ものだ。
オルガンが圧倒的なのはハ長調主和音の強奏。
いざフィナーレへと向かう鬨の声のごとく、或いは天の裂け目から光が麗々と降ってくるかのように鳴り響く。
後半、マエストーソ以降のオルガンで僕が特に感激する点は2つ。
まずffで弦五部とオルガンが循環主題を奏でるところ、ここのオルガンが4分音符、弦が8分音符という長さの違いが、非常に美しいハーモニーになる。
そしてはずせないのは、一番最後のフェルマータ。
曲の終わり、興奮も極まった最後の和音が、指揮者によって切られた瞬間、その余韻である。
管弦とオルガンの異なる余韻は、筆舌に尽くせない絶妙な感覚だ。

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」/フランク:交響曲ニ短調 サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」/フランク:交響曲ニ短調
レナード・バーンスタイン

SMJ
売り上げランキング : 1541

Amazonで詳しく見る by AZlink


ここまで読んでくださった方、この文章はお役に立ちましたか? もしよろしければ、焼き芋のショパン、じゃなくて干し芋のリストを見ていただけますか? ブログ著者を応援してくださる方、まるでルドルフ大公のようなパトロンになってくださる方、なにとぞお恵みを……。アマギフ15円から送れます、皆様の個人情報が僕に通知されることはありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございます。励みになります。ほしいものリストはこちら

Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

にほんブログ村 クラシックブログへ にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ 
↑もっとちゃんとしたクラシック音楽鑑賞記事を読みたい方は上のリンクへどうぞ。たくさんありますよ。

Spread the love

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください