阿部加奈子指揮新日本フィル すみだクラシックへの扉 #17

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金曜昼の「すみだクラシックへの扉」に来たのは昨年の5月以来。新実徳英の風神雷神を聴きに来たんでした。今回はたまたま予定が合ったのと、以前浜離宮かどこかで三浦さんのピアノを聴きに行けるはずだったのに結局行けなくなって無念だったので、今回またチャンス到来、聴いてみたいなあと思っていたのです。


【阿部加奈子指揮新日本フィル すみだクラシックへの扉 #17】
(2023年9月29日、すみだトリフォニーホール)

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(管弦楽版)
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
 アンコール ドビュッシー:忘れられた映像
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op. 74「悲愴」

指揮:阿部加奈子
ピアノ:三浦謙司


指揮の阿部加奈子さんはオランダから来られたそうです。亡き王女のためのパヴァーヌで幕開け、結構たっぷりめに聴かせる感じの演奏のおかげか、開始早々お昼寝タイムに突入する爺さん婆さんを視界から消しつつ、美しい音楽を堪能しました。続いて三浦さん登場でラヴェルのピアノ協奏曲。あ、コンサートに来る前に三浦さんのTwitter見たんですけど、二児の父なんですね。お子さん小さいらしく、家族を残してベルリンから遥々来られたそうで、なんか僕も同じ二児の父なので、勝手に応援したくなってしまいました。よし、パパ頑張れー!と思いながら聴いたラヴェルの協奏曲、パヴァーヌから察せられたように結構重心の低いオケ、ピアノは割に軽やかで、なんか不思議。違和感はないけど、所々でちょっと変わった趣向みたいなのも聞かれて、結構面白かったです。そんなサウンドは面白いけど横線のノリはつまんなくて、個人的には重いならドスドス重いので良いし軽快にやるならそれでも良いんですけど、今回はどっちでもないって感じ、終始狐につままれるように聴いていました。まあまあ面白いっちゃ面白いけど、今日の僕の気分的には満足度低く、次このコンビでコンチェルト聴くなら(あるのか知らんけど)モーツァルトとかベートーヴェンとか聴きたいなあと思いました。待ってまーす。ソリストアンコールのドビュッシーはめちゃ最高でした。ラヴェルも2楽章とかすごかったし、三浦さんのそういう路線の演奏会も聴きたいですね!

後半はチャイコフスキーの悲愴。休憩時間に携帯をつけたら、個人的に悲報が入ってきて(自分のことではなく、他人の残念だった報告)、自然と脳内に4楽章の冒頭が鳴り響いたのだった……ということで、謎の先取りをしてから聴いた悲愴、これは満足。ラヴェルのときもそうですがスタイルとしては極端な方に振れることがないのに、まるでロシアンブラスを聴いたときのような強いパワーも流れてきたし、お涙頂戴濃厚コテコテ弦奏ってこともないけどロマンチックな情感あふれる場面が多々見られて、なんともいい塩梅、大満足。多分ラヴェルにしてもチャイコフスキーにしても同じような阿部さんの巧みな意趣があったんでしょうが、曲の違いやソリストの有無で、楽しみ方が変わりますね。あ、あと悲愴はファゴットですかね、大ブラボー、素晴らしかった……。3楽章後に拍手が出る金曜昼の有閑老人タイムの割には、曲の終わりの拍手でフライングする人がいなくてびっくり。かなり皆、待ったよね。この曲だし、平日マチネだし、速攻誰か空気読めない人が一人だけ拍手し続けるようなのを想像してただけに、そっちにびっくりしちゃったよ(笑) 楽章間の咳は多くてイライラしたし、曲中の物音もそこそこしてて、ああ、これはもう無意識の、止められない爺さん婆さんの仕業だなと諦めましたが、拍手は意識してやるだろうから、みんな自分の気持ちで待ったってことか。やるじゃないか……(笑) それもきっと演奏が素晴らしかったからでしょう。


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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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