ビュクナー&東京シンフォニア モーツァルトマラソン第1回

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Complete Piano Works & Assorte


阪神ファンの巨匠ピアニスト、ビュクナーのモーツァルト協奏曲マラソンを聴きに来ました。なお、第1回しか聴く予定はありません。久しぶりに銀座に来たような気がします。銀座は結婚式を挙げた思い出の地です。式場の前を通って、門の写真を撮ってきました(笑) あとは、ざぎんでしーすーキメて、いざ王子ホールへ。


【ビュクナー&東京シンフォニア モーツァルトマラソン第1回】
(2019年6月29日、王子ホール)
モーツァルト ピアノ協奏曲第8番 ハ長調 K.246「リュツォウ」
モーツァルト ピアノ協奏曲第5番 ニ長調 K.175
モーツァルト ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414
ピアノ:サラ・デイヴィス・ビュクナー
指揮:ロバート・ライカー
弦楽合奏:東京シンフォニア


ビュクナーというピアニストを知らない人のために、簡単にプロフィールを紹介しましょう。1986年のチャイコフスキーコンクールで、ファイナルでヤマハを選んだ初の入賞者(6位)、その頃はまだデイヴィッド・ビュクナーという男性でした。1995年、初めて甲子園球場に行って以来、熱狂的な阪神ファンになったそうです。1998年、性転換手術をしてサラ・デイヴィス・ビュクナーに。色々情報多いですね。


波乱万丈で、自由闊達で、まさにビュクナー自身がモーツァルトそのもの……そんなようなことを、指揮者のライカーさんは紹介トークで話していました。モーツァルトのピアノ協奏曲マラソンをやろうというのもビュクナーからの提案だそうです。以前演奏を聞いた方から、力感のあるモーツァルトだったと聞きましたが、まさにそんな力強く、枠にとらわれない、自由でアイデア豊富なモーツァルトでした。面白かったですね。しばしば激しく叩くようなタッチもありますが、それほどビンビンに音が鳴らないのは奏法による倍音の少なさか、あるいはヤマハの音の特性か、ホールのせいか、よくわかりませんが、まあスタインウェイでギラギラ輝かすよりかは伴奏の室内オケと良いバランスを保っていました。特に協奏曲第5番の2楽章、3楽章それぞれのカデンツァ(バドゥラ=スコダ作でしたっけ)は、華麗なテクニックと緩急の差が美しい、お見事なカデンツァでした。非常にチャレンジ精神旺盛で、攻めたモーツァルトでしたね。こういうのばかりではアレですが、たまに聴くのは、いやあ、たまらんですね。


このチクルスはなかなか壮大なプロジェクトだと思いますし、そのプレミアということもあり、オーストリア大使はじめ、なんかすごい格好の社長さんとか、いかにもお金持ちそうな感じの人とか、客層が何とも不思議でした。なんというか、僕のようなただのクラシック好きな一般人が聴きにくるようなものではなく、普段行くコンサートとは違う異様な雰囲気を感じたので、後で調べたのですが、どうもフリーメイソン関連なんですね。指揮者とオケは日本のフリーメイソン御用達で、ジャパンロッジとかでモーツァルトのバースデーコンサートなど、よく弾いているようです。というか、あくまで僕の想像ですが、このオケのスポンサーがフリーメイソンの人で、その繋がりで、今回の演奏会もスポンサードという流れでしょう。だから客層も普段と違ったんですね。その割には客入りは微妙で、招待客(たぶん奏者の関係者とスポンサー会社の社員、あとマジの偉い人)が大半だったでしょうが、それでも5割強~6割くらいの入りくらいでしょうか。プレミアで、招待あって、ですからね。チケット売上ではとてもとても、スポンサーなくしては成り立たないですよね。演奏は(特にピアノは)良いので、もったいないです。あまり大きくプロモーションしていないのも訳があるのでしょうか、知りませんが、指揮のライカーさんが何回以上来場すると景品があります、全ての回に来場するとスポンサーのサントリーからモーツァルトリキュールプレゼントというアナウンスも、どこか虚しく感じました。ただまあ、大きく広告打って人入れようというより、オケの紹介にも定期会員になってくれとか次は友達呼んで来てくれとか書いてあったので、知り合いが行く親密な演奏会みたいなものを目指しているのではないでしょうか、知りませんけど。モーツァルトの時代っぽくていいんじゃないですかね。


指揮のライカーさんは英語でとてもよく解説してくれて、その後通訳が入ります。若いリスナーのために協奏曲というものを説明します、と言った直後に客席から赤ちゃんが声を上げたので「いますね」と言ったのは微笑ましかったですし、ビュクナーさんも演奏中に赤ちゃんが泣いたとき穏やかな笑みを浮かべていました。そんな雰囲気には癒やされましたが、オケ自体は特別上手い訳でもなく、トラの金管も微妙でしたし、まあちょっと場違い感もあるので、再来はあるかというと……さすがに終演後のカクテルパーティーに出るのも気が引けるので、早々に退散しました。

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第1-6番
Universal Music LLC (2017-08-11)

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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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