イ・ムジチ合奏団 来日公演

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ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」


今後お世話になる(かもしれない)かつしかシンフォニーホール、下見も兼ねて車で来ました。駐車場は台数もそこそこあり近隣相場の半額、良いですね。イ・ムジチ合奏団、こんなに超有名団体なのに、生で聴くのは初めてです。録音は、ホリガーの協奏曲なんかはよく聴いていましたね。コンサートの前に、ホール近くの蕎麦屋でお昼食べてたら、お店のテレビでものすごく久しぶりにNHKの「生活笑百科」を見て、笑福亭仁鶴さんじゃなくて桂南光さんが司会をしててびっくりしました。仁鶴師匠、体調を崩されていたんですね。「四角い仁鶴がまぁ~るくおさめまっせぇ」のフレーズ好きだったんですが。


【イ・ムジチ合奏団 来日公演】(2017年7月8日、かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール)


ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第5番
グリーグ:「ペール・ギュント」より アニトラの踊り
ドヴォルザーク:2つのワルツ op.54
ハチャトゥリアン:剣の舞
武満 徹:「他人の顔」より ワルツ
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」 op.8
アンコール
ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 ニ長調 RV123からアレグロ
ピアソラ:リベルタンゴ
山田耕筰:赤とんぼ(イ・ムジチ編)
マスカーニ:オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 ト長調 RV151「アラ・ルスティカ」から第3楽章


こうやってプログラムを書いてみても、アンコールが多いですね。事前に14時開演15時半終演と掲示があり、なんだ1時間半しかないのか、と思っていたら、アンコールで5曲やって30分。これは悪質なアンコール商法ですね、消費生活センターに報告が必要だな(笑) まあきっと、アンコール枠増やしておばさま方から「サービスいいわね」って思われるのがイ・ムジチの来日公演では定番なんでしょうし構いません。しかもアンコールの方が圧倒的に良いという……もっと言えば、ヴィヴァルディの四季“以外”は、なかなか素敵な演奏でした。


ルーマニア民俗舞曲まで終えると休憩を挟んで、後半はイ・ムジチの代名詞とも言える「四季」。これがまあ、なんとも、面白くもなんともない、退屈な演奏なんですね。普段クラシックを聴かない人が、「うーん、クラシックの大作を聴いたぞ!」って思えるものには違いありませんが、それ以上のものをこの演奏から聴き取るのは困難でした。強いて言えば、皆さん上手ですね、くらいでしょうか。もはや古楽も世にあふれ、ピリオドアプローチが新鮮味を失いごくごくスタンダードなものになった現代において、イ・ムジチのような編成・楽器・奏法でヴィヴァルディ四季をやるのが、かえって特殊なようにすら思えます。その特殊性をオリジナリティとして前向きに捉えようとした上で言いますが、四季は聴いていてつまらなかったなあ……。


バロック復活の先駆けとして、何十年も前の録音にはとても大きな意味があったでしょうし、録音作品として聴く分には、きれいで聞きやすくて今でも素敵なものだと思います。しかしライブで聴く意味はなんでしょう、先に挙げたようなものしか思い浮かびません。やはり四季がつまらなく感じたのは、好意的に解釈すると、前半の短いクラシックのマスターピースが楽しかったからなのかもしれません。ブラームスのハンガリー舞曲1番も5番も僕は大好きですし、剣の舞もルーマニア民俗舞曲も、飽きるほど聴いてますが好きです。何度食べても好きなものは美味しいんですよね。そういう色とりどりの楽しいバロック以外の作品の後に、新鮮味を失ってしまったバロック演奏、と考えると、つまらないと感じたのも仕方なかったかなあと思います。


イ・ムジチ合奏団自体は、彼ら自身は、おそらくその辺のことはよくわかっているんでしょうね。それでも伝統を守ることに意味はあると思いますよ。腐ったと言われようが(誰も言ってなかったらごめんなさい笑)、今は徹底的に素人ウケしか取らない・取れないでもいいんじゃないでしょうか。このスタイルであと30年50年やり続けたら、もしかしたら玄人が鼻息荒くイ・ムジチを絶賛して聴いているかもしれない、それは誰にもわからない、クラシックなんてそんなもんですよね。ただ、今の段階で言わせてもらえれば、バロックはそれほど面白くないので、まあ適当にプログラムに入れといて、あとは古典派以降の有名曲バリバリやって、クラシック・ファンの裾野を広げて欲しいですね。だから、アンコールで超短いバロックを入れ込んでいることも良いと思いますし、リベルタンゴもカッコよくやったら良いですし(僕はそれほど好きじゃないけど)、赤とんぼとカヴァレリアは、それはもう、大変に美しい素晴らしい演奏でした。結局のところ美しいメロディーをヴィブラートマシマシでやるのが似合うアンサンブルなのではないでしょうか。もう行かない、とは言いませんが、一人で行くのはなしかな。クラシック初心者の人を誘って行くなら良いかもしれないですね。赤とんぼという曲の持つ魅力、美しさ、素晴らしさを多くの人に実感してもらいたいものです。

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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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