なんだかずいぶん久しぶりに錦糸町に来たので、鯛ラーメンはどこだっけなと少し迷ってしまった。結局ラーメンではなくハヤシライスを食べた。美味しかった。すみだトリフォニーホールに来たのも、2020年1月の新日フィル以来。
【井上道義指揮新日本フィル すみだクラシックへの扉 #07】
(2022年5月13日、すみだトリフォニーホール)
サン=サーンス:糸杉と月桂樹 op. 156より「月桂樹」
新実徳英:和太鼓とオルガンとオーケストラのための「風神・雷神」
ファリャ:バレエ音楽『三角帽子』第1組曲、第2組曲
ラヴェル:ボレロ
アンコール ラヴェル:ボレロ(w/林英哲)
指揮:井上 道義
和太鼓:林英哲
オルガン:石丸由佳
サン=サーンスの糸杉と月桂樹の月桂樹のみ。こういうコンサートの始め方もあるのかと、勉強になりました。要はコンチェルト用にソリストとしてオルガンと和太鼓がいるコンサートなので、こういうこともできるんですね。中々生演奏で聴けない曲なので、聴けて良かった。正直、このご時世だったら普通は絶対、糸杉もやるでしょう、それを敢えてやらないのは時間の都合ではなさそうだし(だって公演自体は2時間ないくらいだった気がするし)、井上道義の意向なのか、何なのか。オープニングだから華やかに凱旋だけしたいのかしらね、知らんけどね。まあ新日フィル50周年記念のお祝いだから辛気臭いのはなしで、ということなのかなと勝手に解釈しておきます。
学生時代にCDで聴いて以来、いつか生で聴いてみたいなあと思っていた、新実徳英の風神雷神、今日はこれを聴けて大満足。生演奏と録音の違いが、普通のオーケストラ曲以上に出るよね、こういう曲はね。どでかい和太鼓も、どでかいパイプオルガンも、ホールの中の空気をこれでもかと揺らして、ドッカンバトル。熱い、熱過ぎる!生演奏の意味が100%感じられる、本当に良い時間でした。こんなにも集中して1曲を聴けたのは久しぶりかもしれない。オルガンの石丸さんが、サン=サーンスのときの衣装に加えてショールのようなものを羽織って出てこられて、おおー風神!風神が来た!と感動。もちろん演奏にも感動しましたが、林英哲さんの衣装もかっちょいいし、これも演奏会に足を運ぶことの醍醐味だなあと。いやあ、楽しかった。
風神雷神が終わるとミッキーが「節目です。新日フィルは50周年、英哲さんは太鼓始めて50年。まだまだ続きます」とコメント。休憩を挟んでファリャの三角帽子、正直もう、風神雷神で魂を抜かれてしまったので、あまり印象にないですね……ファリャ自体は好きなんですが。なんかミッキーが指揮台に上がる前にハットを取り出して、お、かぶって指揮するのか洒落てるなと思ったら、振る前にすぐ脱ぎ捨てるという、謎の小ボケを見せられて「いや、こういうのは生演奏の醍醐味じゃないから」とちょっと冷めてしまったのはナイショです。あとミッキーのタコ踊りで笑い取ってました。演奏は多分、良い感じだったと思います。
ラストはラヴェルのボレロ、ボレロってオルガンっぽいし良いプログラムだなあと思っていた開演前の自分はどこへやら、もうあんまり僕もテンション上がらなかったので、オケいじった小技もいまいちピンと来ず、トロンボーンのソロがめっちゃ上手くてうおお!と思いちょっと上がってきたら、途中からスネア2台になって、いや2台にすること自体は全然良いんだけど、スネアの二人が舞台真ん中と下手奥と奏者の距離も離れてるせいか結構ずれる、盛り上がるはずが逆に興ざめ。無念。
カーテンコールでミッキーが「50周年出血大サービス、英哲さんもう一回やるよ!長いよ!」とフリを入れて、英哲さん登場で和太鼓入って何をするかと思えば、まさかのボレロ。英哲さんはボレロのリズムを和太鼓で小さく叩いて(叩くふりかな?)、スネアが普通に入ってボレロ冒頭を演奏すると、いきなりクライマックスへ。最後に和太鼓がドドン!と締める、楽しい。僕、こういうくだらないアンコール大好きなんですよ。昔、吹奏楽でショスタコーヴィチの革命4楽章をメインでやる指揮者の方と飲んでて「アンコールはショスタコの冒頭からアフリカン・シンフォニーに入るので行きましょう!」と酔った勢いで提案したのを採用されたの思い出した。それはともかく、爆笑アンコールに拍手です。ナイスなくだらないアンコールで満足満足と思っていたら、アンコール後のカーテンコールでミッキーが「三拍子、三拍子」とか何とか言って手拍子誘ってたのかしら?よくわからなかったけど、いらんことしてすべってるようにしか思えず、最後の最後にまたズッコケたよ……翌日の公演では上手く締められてたのでしょうか。まあ、とにかくお祝いしたい、盛り上げたい、という気持ちは伝わってきました。
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more