世の中はクリスマスイブであり、僕も人から「小さいお子さんがいるとクリスマスは忙しいですね」と言われるが、確かに子どもたちがもっと小さい頃はお出かけしたり、旅行に行ったりもしたけど、子ども二人共もう小学生になると、24も25も普通に学校がある。よってパパはありがたく都響の第九、平日昼公演にふらふらと。上野でランチ食べると激混みだろうし、御徒町まで足を伸ばして吉池へ。新潟のものがたくさん食べられる良いところです。ヒカキンがYouTuberになる前に働いていたらしい。わが地元の日本酒、菅名岳も飲めますよ。こっちの記事も読んでくださいね。
【小泉和裕指揮 都響スペシャル「第九」】
(2024年12月24日、東京文化会館大ホール)
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125《合唱付》
指揮/小泉和裕
ソプラノ/迫田美帆
メゾソプラノ/山下裕賀
テノール/工藤和真
バリトン/池内 響
合唱/新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
昨年はデ・フリーント/読響の第九を聴いて大満足。今年は予定的にこの日しか行けなそうだったので都響にしたんですが、小泉さんの指揮って僕よく知らないのでどんな感じなんだろうなと楽しみにしていました。そもそも、僕が年末の第九に求めるものは、基本的には大爆発の熱狂演奏で、今年も一年よく頑張った感動したと今年の疲れを吹き飛ばす年忘れ大忘年会的な重厚濃厚音量マシマシで身体も心もぽっかぽかどころか大火傷する旧世代演奏なんですけど、どういう訳かここ数年は予定が合う日が古楽系ばっかりだったり。なんでやねん。でもそういうときは割り切って聴くので全然良いんです。シンプルに今年はあまり指揮者の音楽性について知らないので、ちょっとワクワクでした。
で、聴いた感想としては、とても良かったです。なんかすごく丁寧でしたね。僕は割と、粗雑でも押し切れる力があれば年末の第九に関してはそれで良い、というかそういう力こそパワーな演奏が良いんですけど、こういう丁寧な音楽作りも温かくて満足です。良い第九聴いたなって素直に感じました。始まってからずっと丁寧ではありましたが、一番そう感じたのは2楽章のトリオでした。歓喜の歌を予見する場面でサラサラ流れたりキレキレに鋭くしたりしないで、ゆっくり穏やか丁寧なのって、なんでしょうね、指揮者の人柄が出るのかしら(笑) まあ人柄とか知らないんですけど。3楽章も丁寧でとても良い。ゆっくりだけどダレるほどでもなく、安定感がありました。木管上手いなあ、そのおかげもあるでしょうね。4楽章でも歌が入ってきた直後からの木管が素晴らしくて感激。よく調和してきれいに響いていました。最後までめちゃ真面目な第九で、先に言ったような僕の欲しているものとは遠くかけ離れた演奏でしたが、そうはならんだろうなとはなんとなく予想していたので、ほっこりした聴後感。別に穏やかとか丁寧ってのは、ぬるいということではなく、ぐっと力が湧き上がるような瞬間や華やかで祝祭的な瞬間も要所要所で聴けたし、そういうバランスも含めて丁寧だったということです。
こういう真っ当な演奏、好きな人が多いのもよくわかるわ。今や逆にちょっと変わったような第九が多かったりするしね。まああとは、僕が素面で聴いたからっていうのもある。夜、運転する予定があったので。東京文化会館のロビーもアルコール出すんですね、ビールもシャンパンもあった。お酒飲まないで年末の第九聴くなんて、うう、悔しい……と、指を咥えて見ていましたが、おかげで真面目な第九の演奏も真面目に楽しめたのかもしれん。あと、こういう演奏は文化会館が似合う気がするなあ。再来年から改修工事ですか? なんか今年は、文化会館の音が良い悪いとちょっと話題になったなと思い出し、僕も別にあらゆる席で聴いたわけではないけど、今回も良かったと思うわ。耐震とかバリアフリーとか色々あるでしょうが、良い感じに改修してほしいですね。東京の建物、新しく作るのもそうだけど、古いのを直すと残念な結果になることが多い気がする。良い点は失わないでほしい。日本ってさ、苦手だろ、そういうの(笑) 絶対残した方が価値あるでしょってものガンガンぶっ壊すもんな。まあそれはともかく、今日のような第九も後世に残したい演奏でしたね!
邂逅の紡ぐハーモニー(中経マイウェイ新書)
小泉 和裕 (著)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more