アイカツスターズ!のCDについて語る その6

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アイカツスターズ!のCDについて語る その6


【序文】
このブログは基本的にはクラシック音楽について語るブログだが、どうしても記しておきたいと思うに至ったものについては、ここに記録して残しておこう。つまり、アニメ「アイカツスターズ!」の音楽はそれほどに素晴らしい音楽であることは保証したい。ポップミュージックの進化の歴史の最先端は常にアニソンなのだ。なお、前提として、僕はクラシック音楽オタクではあるがアニソンオタクでもないし、アニメオタクでもないと思っている。前作である無印のアイカツについてはそれほど詳しくないし、データカードダスもやったことはない。しかしこんなに1つのアニメにハマったのはローゼンメイデン(2004-)以来かもしれない。自分でもびっくりしている。あ、ネタバレ注意。

TVアニメ/データカードダス『アイカツスターズ!』挿入歌シングル3 アキコレ


TVアニメ/データカードダス『アイカツスターズ!』挿入歌シングル 3 アキコレ
01 Dreaming bird
歌:ななせ from AIKATSU☆STARS!
作詞:ヒカリツカサ 作曲・編曲:南田健吾(onetrap)
02 One Step
歌:かな・せな・みき from AIKATSU☆STARS!
作詞:Amon Hayashi 作曲・編曲:Mitsu.J
03 ドリームステージ☆
歌:ななせ・みほ・かな from AIKATSU☆STARS!
作詞:YADAKO 作曲・編曲:YUKI FUNAKOSHI
04 Halloween Night Magic
歌:みき・ななせ from AIKATSU☆STARS!
作詞:神田怜鴎 作曲:長橋健一 編曲:Integral Clover(agehasprings)


いよいよ、歌唱担当ななせのハマリ役、ツンドラの歌姫、リリエンヌこと白銀リリィの曲が登場する。アキコレ収録曲はナツコレ収録曲と比べるとそこまで驚くような神曲ではないにしても、どれも平均的に質は高く、落ち着いている。ジャケットも秋らしく、オシャレ番長でこのCDにメインで歌う曲のある真昼ちゃんと、このCDで初登場のリリエンヌ。組み合わせとしてはアニメ本編ではあまり見られないレアもの。


Dreaming bird
さすが本編で「歩く個性」とまで言われたリリエンヌ(歌唱担当ななせ)の曲なだけはあって、他のアイカツスターズの音楽とは異彩を放っている。僕はあまり詳しくないが、水樹奈々とかと同系統のカッコイイ女の人ヴォーカルのアニソン、という感じだろうか。数少ない、アイカツスターズの音楽の中で変拍子を取り入れてもOKで、がっつりマイナーもOKと思われているキャラなのだろう。ちょこちょこ拍子を変えて個性を出していくのがなんとも愛おしい。3拍子を所々で使用しつつロックを基調にしたディーヴァのための音楽という感じ。イントロも初めて聞いたときは「お、ケツに8分の3挿入するパターンか」と思って聞いていたけど、よく聞いてみたらアウフタクトで8分音符1つ分食って入っていたので、変拍子っぽく聞こえるけどそんなこともなかった。しかし3拍子のメロディーと4拍子のメロディーはコロコロ入れ替わる。拍子も気になるところだが、メロディーラインも凝っている。ディーヴァらしく美声を張る聴かせどころもあるし、早口3連符の連続もあるし、歌は大忙し。しかしリリエンヌの歌唱担当ななせはアイカツスターズの歌手の中でもトップに上手いので問題なし。Bメロの7拍子にポリリズム的なヴォーカルは印象深い。2番サビ後の間奏の宗教曲風のコーラスも良いし、その後のCメロの音数は少ないが力強いピアノもかっこいい。歌詞もまたよくマッチしている。病弱キャラのリリエンヌが、歌詞では翼を失った鳥として描かれ、それでも歌声を届けたい!と強く願う曲。


One Step
爽やかなEDMで、取り立てて語るような特徴的なものはない。もちろん良曲ではあるが、他のアイカツスターズの音楽が凝ったものが多い中、この曲は毒気の少ない、マイルドな楽曲となっている。音楽自体は特に語るところもないが、こういういわゆる「普通」の曲が、アニメ本編で実に効果的に用いられているところに素晴らしさを感じる。この曲は、主人公ゆめちゃんが幼なじみの小春ちゃんとの別れのショックと、その送別ステージで失敗してしまうショックと、二重のショックで落ち込んでいる状況で、あこちゃんとゆず様から半ば強引に誘われてユニットを組み歌うことになる曲である。主人公の心情的にも視聴者の感情としても、しんどいムードで使われる楽曲であり、あまりにしんみりしても辛過ぎるてだめだし、奇抜過ぎても興ざめしてしまうところ。そういうときに、様々な点で「程良い」音楽はとても意味があり、必要不可欠なのだ。余談だが、この曲(アニメではイベントの課題曲という扱いである)を歌っているかな・せな・みきは、アニメではユニット「ゆずこしょう」として歌っており、別ユニットの「SKY-GIRL」より上位を勝ち取る演出がとても素晴らしかった。アイドルユニットではセンターの実力がものを言うのである。詳しくはこちら。


ドリームステージ☆
この曲もキャラたちがユニットを組んで歌うことになるもの。ツバサっち(歌唱担当ななせ)、夜空たん(歌唱担当みほ)、真昼ちゃん(歌唱担当かな)は歌に不安もないし、美女キャラ3人が歌っているアドバンテージは大きい。アニメ本編でこの曲を歌うのは、ブロードウェイをテーマにしたイベントステージであり、この曲もまたブロードウェイ感あふれる音楽だ。サビの4つ打ちスネアと軽やかなブラスは、ショーガールが颯爽と歩く劇場の雰囲気を醸し出している。そういうテーマ性の強さがありながら、サビ以外は相当こなれた感じの、王道J-POPという感じがする。TOKIOのAMBITIOUS JAPAN!を彷彿とさせる。シンセサイザーとブラス、ストリングス付きの爽やかロックで、3人のヴォーカルの入れ替わりやコーラスの魅力など、実に“まともな”ポップ、つまり歌謡曲の延長線上にあるポップミュージックである。後は個人的に取り上げておきたいのは、学園らしさを出すチャイム音が頻繁に使われることと、サビのベースラインだろうか。ドナルド・ダック・ダンみたいなフレーズでちょっと笑える。聴けば聴くほど興味深い曲である。作曲者も映画音楽寄りの人らしく、なかなかクセのありそうな人である。


Halloween Night Magic
ハロウィンソングというものはどの程度根付いてきているのか知らないが、アイドルの世界は流行に敏感でないといけない世界なので、こういう曲もあるんだなあと、しみじみ。個人的にはハロウィンが日本に定着することに一切興味もなければ、ハロウィンソングってきゃりーぱみゅぱみゅが出してたけどどんな曲かはもう忘れちゃったなあ、くらいの関心の低さなのですが、純粋に楽曲としてはよくできていると思う。サビのメロディーラインとコード進行は、楽しさとホラー風味をよくブレンドしたものだし、やはり女児向けなのであまりホラー寄りにならず、音のチョイスもかわいさやコミカルさを意識しているのが伝わる。時折見せるAug5やdimや、あえてハーモニック・マイナー・スケールのメロディーラインなどが、いかにもという感じで良い。こういうのを楽しめる器量がないと若い子たちに付いていけなくなるんだなあと、ちょっと寂しい気持ちにもなりました……。


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アイカツスターズ!のCDについて語る その4(2018年1月24日)
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Author: funapee(Twitter)
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more

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