随想1
本当はこんな記事を書いている場合ではないのだ、アイカツの楽曲について紹介する記事を書かなければならないのだ、まだスターズしか終わってなくて、はやく無印アイカツの分を書き終えねばならぬのだ。え、クラシック?クラシックはいいよ別に、どうせほとんど読まれないしさ……。ということで、最近気づいたことを書き残す。
先月末、子どもたち連れて水族館に行ったんだけど、車の中でBGMにフジファブリックの全曲をランダム再生していた。一応前提として書いておくと、僕はメジャーデビュー以来のフジファブリックのファンで、だからもう聴き始めて15年以上経つかな。ヴォーカルの志村が亡くなったときは衝撃だったし、実は前々からブログでも「フジファブリックの全アルバム収録曲について語る」という記事を書こうと思っていた。いや、今も書きたいとは思っているんだけど、先にアイカツ曲の紹介に手を付けてしまったので、フジファブリックは手つかずになっている。
ということで、フジファブリックの曲が相当数たまってからは、よく車の中でBGMでランダム再生している。同じようにTOKIOもランダム再生していたが、今は聴くと悲しさが勝るので頻度は減っている。で、たまたま『シャリー』という曲が流れた。“LIFE”というアルバムの収録曲。歌詞はこちら(j-lyricのサイト)。この曲の「黄色いゆずのシャーベット」という歌詞のところで、あ、ゆず様、と思ったのだ。もちろんアイカツスターズの二階堂ゆず様ね。ゆず様が歌ったらどうかなと。もう一回リピートして、これはいける、とガッツポーズ。速いテンポのエイトビートで、ゆず様の持ち歌『ネバギバ』的なアゲ感。ゆず様の声で、『シャリー』の歌詞で、クソダサ洋楽ガールズロックのMVみたいな、焼肉食ってるコミカルな映像を思い浮かべたのである……例えばシャーベットを差し出したり、やっぱ引っ込めてデカイスプーンでパクっとしたり……は?何?激可愛いゲキカワデビルじゃないすか?尊い。アリよりのアリと。思ったのであります。
好きなものは勝手に混ぜ込んでお楽しみする質なもので、今までだってフジファブリック曲もアイカツもその他諸々混ぜて、自由に妄想して楽しんでいたのだけれども、この発想はなかった。シャリーとゆず様を結びつけるという斬新な発想である。多分世界で僕だけだろう、これ思いついたの、特許取らないと特許。脳内のシナプス新規開通。うーん、僕って天才では……と、じゃあ他もいけるかと『シャリー』っぽい(あるいは『ネバギバ』っぽい)フジファブリックの曲って何かあるあなと思い、最初に思いついたのが、PUFFYの『DOKI DOKI』。歌詞はこちら(j-lyricのサイト)。PUFFYだけど、フジファブリックの志村くんが提供した曲だから実質フジファブリック曲である。これなんかもう、イントロのリズムは『ネバギバ』風だし、アゲ系ソングでおけおけおっけー、しかもですよ、PUFFYだからデュエットなんですね。もう、ゆずっとリリィなんですよ、歌詞も。仲良しのデコボココンビなんですよ。うわ。完璧じゃんこれ。「寝ーても覚めても変わらないー、気持ちのプレゼントーです、です、ですですですニャオ!」だよ。かわいすぎる。悶絶。いやー、完璧か。歌詞がやばいね。本当のところ、PUFFYが歌っても別にときめかないんだけど、これをゆずリリでですよ、相思相愛の歌詞を歌うんですよ。やばい熱い。もはや志村はアイカツスターズ意識して書いたとしか思えん。志村、天国でガッツポーズしてるか!?僕がガールズボイスなら歌ってみた一直線なんだけど、残念ながらバリトンボイスなので、とりあえずブログで書くしかないのである。
色々な音楽を聴いていると、突然思いもしないようなところで何かが繋がって、新しい発見があったりする。まあ上に書いたようなことは個人の人生を豊かにするだけで、別に誰の何の役にも立たないけどね。もちろんクラシックでもロックでもなんでもそう。そういう頭の回路がバシバシつながる人ってのが、頭いい人なんだろうね。僕はそんなことめったにないので、逆にレアで興奮しちゃって、勢いで書いちゃった次第。
随想2
こういうのは、よほど頭がいいか、よほど好きでそのことが無意識でも頭の中で駆け巡っているかしていないと起こり得ない事象なのではないか。僕はクラシック音楽に関して、そういうナイスなクロスオーバー的発想がほとんど出てこないあたり、自分の本来の趣味嗜好を再度考え直すべきか。
僕は常々、他人から「クラシック聴くのが趣味なんですね、良いですねえ」みたいなこと言われたときはだいたい「クラシック聴くよりアイカツ全シリーズ見た方が人生が豊かになりますよ」と答えていて、相手も冗談と思って笑ってくれるんだけど、冗談だと思う人は、はなっから「アイカツ?なにそれアニメ?クラシックより下なんでしょ」という思考があってこの冗談は成立しているわけで、僕が冗談で言っていない可能性を考えることは一ミリもないでしょう。なまじクラシック音楽について語るブログなんかやってるから、人からそう思われるのかもしれないけど、実は僕がアニメ業界で働いていてアイカツの制作に携わっている人(※携わっていません)だったらどう思うのかしら、なんてね。
「じゃあアイカツとクラシックとどっちかしか選べなかったらどっち選ぶ?」と聞かれたことがある。その質問はアンフェアである。アイカツがアニメの一作品であるのに対し、クラシックは大きなジャンル。だからアイカツと比べるなら、クラシックなら一人の作曲家とか一人のアーティストとか、そうでないとフェアじゃない。しかしベートーヴェンとかモーツァルトなんて有名所、アニメで言えばドラえもんとかアンパンマンくらいの有名所じゃないとダメでしょ。そうなるとアイカツって、どうかな、ドヴォルザークとかメンデルスゾーンとか無理無理、もっとマイナーでしょ、フィンジとかアルチュニアンとか、せいぜい大きく見積もってもスメタナくらいの知名度が限界じゃない?それとアイカツどっちか選べって言われたら、余裕でアイカツ。
クラシック音楽好きの中には、アニメでもなんでも見下すのが好きな人が相当数いるけど、その割にはクラシック音楽を支えてきた教養主義の没落に対して無関心だったり妙に冷めていたりする人もいて、「アニメなんて見てるの?」と同じニュアンスで「クラシックなんて聴いてるの?」の時代に突入したがっているのかと思ってしまう。教養は死んだ、不要だと言い出して、もうそういう時代じゃないと言うなら、さっさとサブカルチャーでも取り込んで新しい価値を創出したらいいのに、クラシック界隈はアニメはもとより他ジャンルの音楽への関心すら足りないというか、徹底的なインプットがないように思う。もっとも、頭のよろしい人はちょっとの情報だけで脳内の新規回路がササッと開通するのだろうけど、多いに越したことはないでしょ。
とかなんとか言っといて、僕のクラシック音楽とアイカツへの好みはそれはそれとして、個人的には、死にゆく本人を横目に冷静に死んだ後の話をするのは気が引けるというか、そういうのは性分に合わないんだよね。それよりかは、最後まで「まだだ!まだ終わらんよ!」とか「教養主義の栄光!俺のプライド!やらせはせん!やらせはせんぞ!」と足掻く方が好き。僕もあの偉大な歴史学者のように、来たるべき時代には高尚で非凡なる文化は滅び去ったとしても、自分は滅び去る方でありたいと、そのくらい熱く深く愛してあげたいじゃないですか、僕もこう見えてクラシック音楽好きだからね。
TVアニメ/データカードダス『アイカツスターズ!』挿入歌マキシシングル2「ナツコレ」
AIKATSU☆STARS!
都内在住のクラシック音楽ファンです。コーヒーとお酒が好きな二児の父。趣味は音源収集とコンサートに行くこと、ときどきピアノ、シンセサイザー、ドラム演奏、作曲・編曲など。詳しくは→more